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第40話 衝撃の助言

ダイチについて、何か手がかりが欲しい。


 その思いが、頭から離れなかった。


「ローダルス」


「なんでしょう?」


「ダイチという少年を、知っているか」


 ローダルスは、少し考える素振りを見せてから肩をすくめた。


「さっぱりですね。何年も眠っていましたから」


「……そうか」


「私ではなく、校長に聞いてみては?」


「校長?」


「ええ。上に立つ者ほど、情報は集まるものです」


 ローダルスは、口元を歪めて笑う。


「……明日、聞いてみるよ」


「少年探し、私も同行しましょう」


「助かる」


 アレンは一瞬黙り込み、ふと視線を鋭くした。


「気になっていた。お前の能力は、何だ」


「ほう?」


「俺の記憶を覗いただろう」


「ええ。私は他者に“憑依”できます。人間だけでなく、生物であれば何にでも」


「……」


「憑依した対象の能力は、最大限引き出せますし、記憶も読み取れます」


「まだあるんだろ。」


「それに加えて、姿を見ただけでその人に姿を変えることも出来ますよ。例えば...貴方の友人に、ね」


「その時、その人の能力は使えるのか?」


「中を覗いていませんから、使えません」


「……それだけか」


「まぁ、“それだけ”ということにしておきましょう」


 ローダルスは意味深に笑った。


「明日、校長に話を聞いて、その後スミレに会いに行く。着いてきてくれ」


「承知しました」


 ローダルスは、楽しそうに目を細める。


「それと、その姿は気が散る。何とかならないか」


「女性の姿にでも?」


「いらない。床で寝ろ」


「ご安心を。私は眠りません」


「……その間、何をしてるんだ」


「さぁ。ですが、危害を加えるつもりはありません」


「……そうか」


 アレンは、それ以上聞かず、ベッドへと身を沈めた。


 だが、眠りは浅い。


 夢の中で、また“あの光景”を見る。


 燃える村。


 叫ぶ人々。


 助けを求める少年。


 ――守れなかった自分。


 胸を締め付ける後悔と喪失。


 目覚めた時、心臓の鼓動だけが、やけにうるさかった。



校長室


 朝。


 アレンは校長室の扉の前に立ち、軽く拳を当てた。


「失礼します。アレンです」


「おぉ、珍しいね。入ってくれ」


 校長は、机から立ち上がり、深く頭を下げた。


「先日の件、本当にすまなかった。私の判断ミスだ」


「いえ……校長先生は悪くありません。守れなかった、僕の責任です」


「……思い詰めないでくれ」


「ありがとうございます」


 アレンは一呼吸置き、切り出した。


「今日は、聞きたいことがありまして」


「ほう。何だね」


「ダイチという少年を、ご存じありませんか」


 その名前を口にした瞬間。


 校長の表情が、はっきりと凍りついた。


 目を見開き、言葉を失う。


「……校長先生?」


「……アレンくん」


 校長は、ゆっくりと息を吐いた。


「名前だけでは断定できない。だが……可能性に賭けるなら、急いだ方がいい」


「どういう意味ですか」


「昨日、ある筋から情報が入った」


 校長は、重く告げる。


「――ダイチという名の少年が、“処分”されることが、決まったと」

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