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第26話 置いていかれた...

ショッピングモール。


 雑踏と、甘い匂いと、眩しい照明。


 クラスメイトたちは、自然に楽しそうに振る舞っている。


「これ安くね?」


「食べ歩きしよーぜ」


「アレンも何か買えば?」


「……うん」


 だが、時折向けられる視線は、どこか探るようだった。


 ――彼は、何者なのか。

 ――本当に安全なのか。


 そんな無言の問い。


 アレンは気付かないふりをして、皆の後を歩いた。



「なぁ、次どうする?」


「お化け屋敷じゃね?」


「うわ、無理」


「アレンは?」


「……分かんない」


 数秒の沈黙。


「じゃ、決まりな!」


「え、ちょ――」


 気付けば、入口の前に立たされていた。



 中は、想像以上に暗かった。


 不規則に鳴る金属音。

 遠くから聞こえる呻き声。


「やっぱ無理!」


「ちょ、待って――!」


 次の瞬間。


 全員が、一斉に走り出した。


「え……?」


 気付けば、アレンだけが取り残されていた。


 静寂。


 暗闇。


 赤い非常灯だけが、ぼんやりと点滅する。


 アレンは、ゆっくりと歩き出した。


 ――その時。


 背後から、何かが動く気配。


「……?」


 振り返った瞬間。


「うわあ!!」


 よく分からない格好をした人が、目の前に飛び出してきた。


 だが――


 次の瞬間。


 彼女の視界に映ったのは、


 闇の中、静かに浮かび上がる

 赤く光る二つの瞳。


 銀色の髪。

 無表情。

 異様なほど静かな存在感。


「……」


 空気が、凍りつく。


「………………」


 数秒の沈黙。


「――ひ、ひっ……ギャィァァァァ」


 女の喉から、音にならない声が漏れた。


「ま、まさか……本物……?」


 足が震え、後退る。


「え……?」


 アレンが一歩踏み出す。


「ち、近づかないでぇぇぇ!!」


 女は絶叫し、転倒した。


「ご、ごめんなさい……」


 アレンが慌てて謝る。


 その姿が、逆に恐怖を煽った。


「謝る幽霊……!? やっぱ本物ぉぉぉ!!」


 泣き叫ぶ女。


 そこへスタッフが駆け込む。


「またあなた!? 何回やれば気が済むの!」


「ち、違うんです今回は……!」


「はい、今日でクビ!」


「えええ……」


 崩れ落ちる女。


 アレンは、胸が締め付けられるような気持ちになった。


「……僕のせいですよね……」


「違う違う! 君は悪くない!」


 そう言われても、アレンは頭を下げた。


「……すみません」


 その瞬間。


 女は、仮面を外した。


 現れたのは、整った顔立ちの女性。


 涙目のまま、アレンを見つめ――


 そして。


「……え」


 数秒、固まる。


 次の瞬間。


「……はぁぁ……なにこの顔……」


 目が、異様なほど輝いた。


「ねぇ君! 一緒にランチ行かない!?」


「え?」


 場の空気が、一気に崩壊した。

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