引き留めてくれたのは 【ラルド√】
ふいに、ラルドに肩を引き寄せられた。
彼の腕が背中に回り、そこでようやく、自分が抱きしめられていることに気が付いた。
彼の胸に当たった頬から、体温と鼓動を感じる。
「ラ…ルド……?」
溢れ出る涙が彼の服を濡らしてしまう。
離れなくてはいけないのに、突き放すことなんて到底できはしなかった。
「馬鹿かお前は」
「え……?」
「お前は言ったな、俺たちは何も知らない、と。───ああそうだ、何も知らん。知るわけがないだろう。お前が何を抱えているのか、何に苦しんでいるのか、お前以外誰も分からない。────だから、分かるように話せ。でないと、お前を助けられないだろう」
「助け…る……?」
「そうだ。少なくとも、今こうして腕の中で震えているお前を、捨て置くことなどできるわけがないだろう。そう考えるくらいには、お前という人間のことを知ってしまったからな。本当のお前ってやつを知って、どう思うのか、どうするのかを決めるのはお前じゃない。俺たちが決めることだ」
(ラルドたちが……決めること……)
「……ふふ、ラルドに言いたいことを全部持っていかれてしまったね」
「ホントだよなー、おいしいところ持っていきやがって……オレもリルちゃん抱きしめたいんですけどー」
セシアンの言葉で、ラルドの身体が強ばったのが分かった。
「………。………………。───!?!?!」
バッと勢いよく彼の腕の中から解放される。
「なっ……俺は、何を…………」
「え……は? うっそ、無意識?」
「ふはっ、お前にしては珍しく大胆なことすると思ったのにな! 無意識かよ! ま、でもよかったんじゃねぇ? だって、こいつの涙止めたんだし」
言われて気づいた。
さっきまで溢れていた涙が止まっている。
「ラルドに全部言われてしまったけれど、僕たちも同じように君を想っているよ。だから───君が抱えているものを、僕たちにも分けてくれないかな?」




