引き留めてくれたのは 【ルデン√】
ふいに、ルデンに肩を引き寄せられた。
彼の腕が背中に回り、そこでようやく、自分が抱きしめられていることに気が付いた。
彼の胸に当たった頬から、体温と鼓動を感じる。
「ル…デン……?」
「……驚かせてごめんね。けど、今君を手放したら、君が二度と戻って来ない気がしたんだ……」
「……それは…………」
溢れ出る涙が彼の服を濡らしてしまう。
離れなくてはいけないのに、突き放すことなんて到底できはしなかった。
「僕は、ベリルが抱えているものを理解したい。……共感してあげることはできないかもしれないけど、それでも、君を知ることはできると思うんだ。君が何故平凡になりたいのか。何故、君がそんな顔をしなくちゃいけないのか。全部、全部、僕に教えてほしい。君の力になれるなら、僕はなんだってするよ」
私の頭をふわりと撫でた彼は、悲しくなるほど優しい表情を浮かべていた。
「……ふふ、ルデン様に言いたいことを全て持っていかれてしまいましたね」
「ホントだよなー、てゆーかいつまでリルちゃん独り占めしてんの! オレもリルちゃん抱きしめたいんですけどー」
「ふふ、ごめんね」
彼の腕の中からふわりと解放された。
「お前じゃルデンには敵わんだろう」
「正論パンチやめて」
「ふはっ、まぁ今日は許してやれよ。だって、こいつの涙止めてくれたんだし」
言われて気づいた。
さっきまで溢れていた涙が止まっている。
「ルデンと同じように、俺らもベリルを想ってる。だから───あんたが抱えているもの、俺たちにも分けてくれよ?」




