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RoughJewel ──ラフジュエル──  作者: norn
第四章 〜過去〜

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本音


※次回エピソードで〝シナリオ〟の分岐があります。

会話の内容が変化するため、目次から

〝一番好感度の高いキャラクター〟

のシナリオ(エピソード)に飛んでください。



 


 ───────────────────



 ───子供の頃から、私は魔法を使うことが得意だった。

 大人をも凌駕するこの力は皆から疎まれ、次第に私は独りになっていった。

 あの時から、私の時間は止まったまま。

 認めてもらいたい。

 受け入れてもらいたい。

 そんな思いを抱えたまま、私は己の魔力を封じ込め、平凡であることを選び続けている。


(平凡って、普通って、なんなのだろう……)



 意識が夢の中から現実に引っ張り上げられる。

 視界に入った時計の針は、すでに夕方を指していた。

 少しの仮眠で済ませるはずが、最近よく眠れていなかったせいもあって、寝すぎてしまったらしい。

 今日はダイヤ生の活動は無い日なので、ここを使わせてもらったのだが……。

 ぼんやりとした意識のまま辺りに目をやると、そこにはいるはずのない人物の輪郭が、徐々にクリアになっていく。


「……ん? あ、みんなー、リルちゃん起きたみたい」


「…………セシアン?」


(どうして彼がここに……? それに、みんなって───)


「おはよう、ベリル。よく眠れた?」


「おは、よう……? ……あれ、なぜ私、ソファーで寝て……? 机に突っ伏して寝てしまったような……」


(わり)ぃな、俺がソファーまで運んだ。あんなとこじゃ気持ちよく寝てられねぇだろ。そんで、ついでに言うとそのブランケットはラルドがかけた」


「え……あ、本当だわ。どおりで暖かいと……」


「……ふん。風邪でも引かれたら面倒だからな」


「そこは面倒、じゃなくて心配、でしょ。素直じゃないんだから」


「ベリルさんのご友人に、貴女はここにいらっしゃるとお聞きしまして」


(友人……ってアッシュ、よね? でもアッシュと別れたのは昼のことだから……)


「もしかして……私が起きるまで待っていてくれたの……?」


 だとしたら何時間、彼らを待たせてしまったのか。


「最近眠れてないって聞いたよ。……ああ、本当だ、まだ顔色が良くないな……」


 ルデンは優しく私の頬を撫でた。


「ごめんね……君をここまで追い詰めてしまって……。こんなことなら、初めから君を囲ってしまえばよかった。そうしたら、君が危ない目に合うこともなかったかもしれない……」


 ルデンは苦しそうに顔を歪めた。


「貴方がそんな表情(かお)をする必要はないのに……。もしかしてみんなも、私が階段から───って話を聞いて探しに来てくれたの? 心配かけてしまってごめんなさい。でもこの通り、私は元気だから」


「そんな顔で言われても、説得力の欠片もない」


「そうだよ〜。例え身体は大丈夫でも、心が大丈夫じゃないでしょ。リルちゃんはもっとオレたちを頼っていいんだよ? ていうか頼ってよ! 寂しいじゃん」


「セシアンさんの言う通りですよ。私たちに遠慮など必要ないのですから」


「あぁ、あんたは俺らの中心で、笑っててくれりゃそれでいい」


 照れ隠しなのか、シェナは少し乱暴にわしゃわしゃと私の頭を撫でた。


(……やめて、これ以上、優しくされたら……手を伸ばしてくれたら……)


 私はまた、期待してしまう。

 その手を取りたいと願ってしまう。


「みんな、ベリルのことが大好きなんだ。だから────」


 最後のルデンの言葉で、私の中で張り詰めていた糸が、プツリと切れた。

 堪えていた涙が頬を伝う。

 泣きたくなんてないのに、その意思を無視して涙がこぼれ落ちて止まらない。


「べ、ベリル……!?」


「ど、どうしたの!? な、泣かないでリルちゃん。あ!? やっぱどっか痛くした!?」


「ちが、う……違うわ……。もう……期待したくないの。裏切られたくないの! 貴方たちは優しいから───何も知らないから……! 私を好きでいてくれる。でも───本当の私を知ったら……貴方たちも、きっと離れて行ってしまう! 私は……貴方たちに嫌われたくない……貴方たちを騙すことが苦しくても、痛くても、拒絶されるよりずっといい……!」


 涙を滲ませて俯く私の背を、誰かが優しくさすってくれている。

 ───思えば、ずっとそうだった。こんな風に優しくされるたび、彼らを騙している罪悪感が私を苛み、そのたびに心を殺した。平凡な自分を偽った。


「ずっと、努力してきたの……普通になろうって、平凡でいようって! そうすれば……私を化け物だと言う人はいなくなるから……!」


(あんな思いをまた味わうくらいなら……いっそ、彼らを突き放してしまった方が───)


 そんな考えが頭をよぎった瞬間───



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