Select4:レド
【選択肢】
▶︎レド
※共通ルートシナリオも少しだけ入ってます。
次回エピソードで選択肢の分岐があります。
会話の内容が変化するため、目次から好きな選択肢のシナリオに飛んでください。
なお、選択肢が分岐する場合、後書きの方に選択肢を記入します。
「私もご一緒しますよ」
立候補してくれたのはレドだった。
「うん。ベリルを頼んだよ」
ルデンもあっさりと別行動を認めた。
レドはルデンの従者だ。だから、彼が今回買い出しに立候補をしてくれたのは少し意外だった。
主の側を離れてしまって大丈夫なのだろうか……。
しかし、料理の場はレドが中心となるのもまた事実。
きっと、自分が調理する食材は自分で見ておきたかったのだろう。
「んじゃレドとリルちゃんで買い出し頼むわ〜! 残りのメンバーは設営班ってことで!」
※
「設営場所はどうなさいますか?」
「ん〜あんま人の往来が気になんないとこがいいよな?」
「僕らがシーラに着いた時、最初に見た海岸辺りはどうかな?」
「お、いいんじゃねぇか? あとで合流すること考えたら分かりやすい方がいいし」
「それじゃあ早速準備に取りかかろうか!」
───────────────────
設営班と別れた私たちは、バーベキューの食材を買いに市場へと向かった。
「結構賑わっていますね」
市場に入る前から人の多さを感じてはいたが、市場に近づくにつれそこは驚くくらい人でごった返していた。
「そうね……この前来た時はちょうど人の流れが切れたタイミングだったのかも」
人の波を避けることに集中して歩いていたら、レドと少しだけ距離が空いてしまった。
急いで彼の後に続こうとした矢先、地元の青年と思われる男が私とレドの間に入ってきた。
すると男は突然私の腕を掴み、人の少ない道の端まで引っ張った。
「えっ、」
「おねーさん大丈夫? 人混みでふらついてたけど……観光客だよね、一人?」
声を上げる間もなく男が話し出した。
「おれ案内するぜ? どこ行きたい? せっかくだからおれとデートしよーよ」
「今連れと歩いていたのだけれど……」
(どうしよう、このままじゃレドとはぐれてしまうわ……!)
レドと歩いていた道に戻ろうと足を踏み出すと、男はそれを邪魔するかのように立ち塞がった。
「連れ? そんなのいなかったじゃん。ねーいいでしょ? ちょっとだけだから遊ぼうよー」
男がさらに距離を詰めてくる。
「(ふーん? 顔見ないで雰囲気だけで連れ込んだけど当たりだな)」
上から下までねっとりとした視線を向けられた。
「おねーさん美人だね? スタイルもいいし……」
「……っ」
その視線に不快なものを感じ、自然と後退りをする。
「おねーさんの連れって男? 女? おねーさんと一緒にいる女の子だったら、その子もすごく美人なんだろーね? なんだったらその連れも一緒に────」
「残念ながら彼女の連れは私です」
「……ア?」
声の主を想像し安堵しながら振り返ると、そこにはいつになく真剣な面持ちのレドがいた。
「私の恋人から手を離していただけますか?」
男に問うように言葉をかけたレドだったが、彼は男の意志など初めから聞く気がなかったらしく、言葉と同時に腕を掴み強制的に手を離させた。
「痛って!?」
男は痛みで顔を歪ませている。
(え……今そんなに力を加えたようには見えなかったけれど……ってそれより、)
「レド……助かったわ。はぐれてしまったと思って……」
「いいえ、早めに気付けてよかったです。大丈夫ですか?」
レドは優しく微笑み、私の腰を抱いた。
「? ええ……」
(この格好は一体……?)
「チッ、男連れかよ。あー! いててて!! 骨折れたかもなァ!」
「おや、あの程度の力では人間の骨は折れませんよ?」
「アァ? こっちが折れたって言ってんだから折れてんだよ! オイ、アンタらお貴族様なんだろ。ほら、慰謝料寄越せよ。い・しゃ・りょ・う。あぁ、そこの美人を置いてくってならそれでもいいぜ。心配すんな、ちゃんと可愛がってやるからよ」
典型的な難癖のつけられ方をされている。
しかし、レドは微笑んだまま表情を変えずに男に近づいた。
「っ、ンだよ」
レドが男の肩に手を置いた。
次の瞬間、物理的にピリッとした空気のひりつきを感じた。
レドと男の周りの空気だけがひりつくような感覚。
これは……私が一番よく知っている感覚。
強い魔力を持つ者が、強い魔法を使った時に起こる現象だった。
(これは……レドの魔力? でも、魔法を使ったようには見えなかったけれど……)
男の顔がみるみるうちに青ざめていく。
レドは男の耳に顔を寄せ───
「(失せろ。さもなくば……命はないと思え)」
何かを呟いた。
「ヒィッ!?」
男は怯えたように尻もちをついた後、バタバタと足音を響かせながら逃げていった。
「……」
「レド、あの人を追い払ってくれてありがとう。随分慌てたように逃げて行ったけれど……最後、なんて言ったの?」
「あぁ、大したことではありませんよ。日頃ルデン様と行動を共にしていると、このようなトラブルもよくありますからね。対応に慣れているだけです。最後の言葉は……ふふ、内緒です」
レドは人差し指を口元にあてがい、いつものように微笑んだ。
「そうなの……流石ね。ルデンも、貴方のような従者がそばにいてくれたら安心ね」
「……安心、ですか。それは……どうでしょうね」
「え?」
「……いえ。それより、買い出しの続きと行きましょうか」
「え、ええ……」
(どうしたのかしら……。一瞬、レドの表情が曇ったような気がしたのだけれど……)
「人も多いですし、ベリルさんが嫌でなければ、私の腕に掴まってください」
レドはパーティーのエスコートをする時のような形で、私が腕に掴まりやすいように身を寄せた。
(大丈夫……と言っても、一度はぐれてしまったわけだし、またはぐれてしまうのは嫌だから、ここは彼の言葉に甘えよう)
「ありがとう。それじゃあ……そうさせてもらうわね」
少し遠慮がちに伸ばした手を彼の腕に絡める。
見上げると、いつもより近くに彼を感じ、少しくすぐったくなった。
気を取り直しレドと共に露店を巡る。
彼と食材を選んでいる中で、とある調味料に目が止まった。
【選択肢】
異国の調味料
シーラの調味料




