表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RoughJewel ──ラフジュエル──  作者: norn
デート編 レド√

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/147

Select4’:異国の調味料


【選択肢】


▶︎異国の調味料



※共通シナリオも含まれています。



 


「これ……」


 手に取った木箱の中には、粘度のありそうな薄茶色いペースト状のものが入っている。

 私が木箱の中身をまじまじと見ていると、レドもそれに気がついた。


「……! それ、は……」


 レドは驚いたようにそれを見ていた。


「レドもこれを知っているの? これ、〝味噌〟よね?」


「え……ご、ご存知なのですか……?」


「ええ、ヘリオドールでは珍しいものよね。ここよりずっと東の地───極東にしか分布していない特別な木から採れる樹液、だったかしら」


「何故この調味料のことを……?」


「私の家の遠い祖先が極東の出身なの。その事を知った私は、極東の国がどんな所なのか気になってしまって。小さい頃に母と極東料理を再現したことがあったの。その時に偶然、味噌を取り寄せることができたのよね」


「貴女には……極東の血が流れているのですか……?」


「ええ、そうね? だいぶ薄まってしまっているけれど」


「……ヘリオドール人で、貴女のような瞳の色は珍しいとは思っていましたが……そういう、ことでしたか……」


「瞳の色? ああ、そういえば……」


(極東人は赤い目の者が多いと誰かが言っていたような……ひいお爺様だったかしら)


「レドは極東の国に詳しいの?」


 私が聞くと、レドはハッとした表情を浮かべたあと、視線を逸らし少しだけ俯いた。


「…………詳しい、と言うほどではありませんが」


 何かを懐かしむような、悲しむような。

 彼はそんな表情を浮かべている。


「……レド?」


「…………あぁ、すみません。極東は、私の……知り合いの故郷、なんです」


「え、そうなの?」


「……貴女の話を聞いて、少し……懐かしく思っていました。……もう二度と戻れない地。あの地の情景も、今はもう朧気になってしまいましたね」


(二度と戻れない……距離的な意味で言っているのかしら……?)


「とても遠いところにある国だけれど……海で続いているのだし、見上げた時に見る空も一緒。広く見たら同じ世界にある国なのだから、絶対に行けないってことはないんじゃない? シーラにもこうして極東産の味噌が売られているくらいだし。だから、きっと大丈夫。そのお知り合いにもきっとまた会えるわ」


「え……」


「……えっと、お知り合いの方に会えないことを寂しく思っていたのかと……そういうことではなかった?」


「知り合い……あぁいえ、そうですね。また会う機会はあるかもしれません」


「ええ、もし極東へ行く機会があったら、私も一緒に行きたいわ。また一緒に旅ができたらいいわね」


「……はい。いつか、貴女とまたこうして旅をする日が来ることを……切に願っています」


 笑顔を返してくれた彼の表情には、切なさのようなものが混じっていた。


(極東の地に相当思い入れがあるのかしら……。これ以上踏み込んで聞くのは無粋ね)


 手に持っていた木箱をそっと戻す。



 ※


 一通り食材を揃えた私たちは、みんなの待つ海岸へと急ぐのだった。





レド 好感度+30


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ