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RoughJewel ──ラフジュエル──  作者: norn
デート編 ルデン√

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54/147

Select4’:青い宝石の首飾り


【選択肢】


▶︎青い宝石の首飾り



※共通シナリオも含まれています。



 


(あ……この透き通った青い宝石、ルデンの瞳の色と一緒だわ)


 チラッと彼の顔を見ると、視線が交わる。


「ん?」


「!」


 あまりにも穏やかで優しい表情を向けられていたことに驚き、慌てて再び首飾りの方に視線を戻した。


(い、いけない……集中して選ばないと……)


 すると、私の目線に気がついた店主が、宝石について補足してくれた。


「ははは、この青い宝石の首飾り、綺麗でしょう? キャッツアイと呼ばれる宝石なんですよ」


「猫の……瞳?」


 ふっくらとした露草色の石の中央には、白い光の帯がくっきりと縦に走っている。

 それはまるで、猫の持つ妖艶な眼差しのようで。


(なるほど……だからキャッツアイという名なのね)


「キャッツアイ……」


「……?」


 何故だろう。

 宝石の名を聞いた時、ルデンの表情に少しだけ影が落ちた気がした。


「ルデン、この宝石を知っているの?」


(……て、ルデンは王族なのだから、宝石の類には詳しいか……)


「…………」


「……ルデン?」


「……あ、ああ。キャッツアイは僕の……」


「?」


「いや……なんでもない。それより───」


 ルデンが私の耳元に口を寄せ、店主に聞かれぬよう小声で囁いた。


「(ベリル、この宝石は……残念ながら模造石だ)」


「えっ」


「?」


 予期してなかった言葉に思わず声を上げ、店主の顔を見てしまったけれど、店主は不思議そうに首を傾げただけだった。

 彼が詐欺を働こうとしているようには、到底見えない。


「(おそらく、店主にも見抜けていない。キャッツアイの光は模造石で再現しやすいものなんだ……)」


「(じゃあこの石は……)」


「(残念ながら、ただのガラスだ)」


 そう告げたルデンの声音は、何故かとても辛そうに感じた。

 そんな彼の表情もまた、依然曇ったまま。


(この首飾りの宝石が偽物だったから店主に怒っている? ……いいえ、ルデンはそんなことで気分を害すような人ではないわね。このキャッツアイを通して、彼は別の何かを見ているような気がする……。どうして、そんなに悲しい表情(かお)をしているのかしら……)


 何故彼がそんな顔をするのか。

 理由は聞けなかった。

 今は聞くべきでは無いような気がしたから。


 私は少し考えた後、ルデンに向き合い、彼に微笑んだ。


「ねぇ、ルデン。私、この首飾りがいいわ」


「え……どうして? その石は……」


「ええ、でも私は宝石で首飾りを選んでいたわけではないから」


「君は……どうしてこの首飾りを?」


「…………あー」


 彼に理由を聞かれ、バツが悪くなった私は思わず視線を逸らしてしまう。


「うん?」


 けれどこの流れ、絶対に言わなければ納得してくれない。

 それは彼とのこれまでの付き合いで学んだこと。


「……ルデンの、」


「僕の?」


 私の顔を覗く、彼の瞳が揺れている。

 私は意を決して、彼に真実を告げた。


「……貴方の瞳の色と同じ色をしていて、綺麗だったから。だから……一番気になっていたの」


「……!」


「せっかくルデンが私に贈ってくれるんだもの、貴方の色がいい。それが本物の宝石でも、偽物だったとしても、私にはあまり関係ないというか……」


「……ベリル」


 ルデンは手で口元を抑え、私から目を逸らした。


「あ……ダメ、かしら?」


「……あぁ、ごめんね。その……つい嬉しくて。(君をうっかり抱きしめてしまいそうだった)」


「え? ごめんなさい、最後の聞き取れなくて……。なんて言ったの?」


「……ううん、なんでもないよ。ありがとう、ベリル」


 ルデンはとても嬉しそうな笑顔を見せた。


「……? えっと、どういたしまして……? んん? 私が首飾りを贈って貰うのだから、ありがとうは私のセリフよ?」


「……ふふっ」


 困惑する私と、楽しそうに笑うルデン。

 そんな私たちの様子に、店主は少し困ったように眉を下げ咳払いをした。


「……ええと、お二人さん? 仲が良いことは大変結構だが……そろそろ決まったかい?」


「あぁ、すまない。ではこの青い宝石の首飾りを、彼女に」



 ※


「はいよ、まいどありー! また恋人のお嬢さんへの贈り物の際は、ぜひご贔屓に!」


「ああ、その時はまた立ち寄らせてもらうよ」


(さ、最後まで誤解されっぱなしだったけれど……ルデンはよかったのかしら???)


 露店を離れたタイミングで彼に声をかける。


「ルデン、首飾りありがとう。大切にするわ」


「どういたしまして。少し寄り道しすぎてしまったね。急いで食材を買ってみんなのところに戻ろうか!」


「ええ!」


 市場で食材を買い揃えた私たちは、両手一杯に荷物を抱えて皆が待つ海岸へと向かった。






ルデン 好感度+30


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