Select4’:青い宝石の首飾り
【選択肢】
▶︎青い宝石の首飾り
※共通シナリオも含まれています。
(あ……この透き通った青い宝石、ルデンの瞳の色と一緒だわ)
チラッと彼の顔を見ると、視線が交わる。
「ん?」
「!」
あまりにも穏やかで優しい表情を向けられていたことに驚き、慌てて再び首飾りの方に視線を戻した。
(い、いけない……集中して選ばないと……)
すると、私の目線に気がついた店主が、宝石について補足してくれた。
「ははは、この青い宝石の首飾り、綺麗でしょう? キャッツアイと呼ばれる宝石なんですよ」
「猫の……瞳?」
ふっくらとした露草色の石の中央には、白い光の帯がくっきりと縦に走っている。
それはまるで、猫の持つ妖艶な眼差しのようで。
(なるほど……だからキャッツアイという名なのね)
「キャッツアイ……」
「……?」
何故だろう。
宝石の名を聞いた時、ルデンの表情に少しだけ影が落ちた気がした。
「ルデン、この宝石を知っているの?」
(……て、ルデンは王族なのだから、宝石の類には詳しいか……)
「…………」
「……ルデン?」
「……あ、ああ。キャッツアイは僕の……」
「?」
「いや……なんでもない。それより───」
ルデンが私の耳元に口を寄せ、店主に聞かれぬよう小声で囁いた。
「(ベリル、この宝石は……残念ながら模造石だ)」
「えっ」
「?」
予期してなかった言葉に思わず声を上げ、店主の顔を見てしまったけれど、店主は不思議そうに首を傾げただけだった。
彼が詐欺を働こうとしているようには、到底見えない。
「(おそらく、店主にも見抜けていない。キャッツアイの光は模造石で再現しやすいものなんだ……)」
「(じゃあこの石は……)」
「(残念ながら、ただのガラスだ)」
そう告げたルデンの声音は、何故かとても辛そうに感じた。
そんな彼の表情もまた、依然曇ったまま。
(この首飾りの宝石が偽物だったから店主に怒っている? ……いいえ、ルデンはそんなことで気分を害すような人ではないわね。このキャッツアイを通して、彼は別の何かを見ているような気がする……。どうして、そんなに悲しい表情をしているのかしら……)
何故彼がそんな顔をするのか。
理由は聞けなかった。
今は聞くべきでは無いような気がしたから。
私は少し考えた後、ルデンに向き合い、彼に微笑んだ。
「ねぇ、ルデン。私、この首飾りがいいわ」
「え……どうして? その石は……」
「ええ、でも私は宝石で首飾りを選んでいたわけではないから」
「君は……どうしてこの首飾りを?」
「…………あー」
彼に理由を聞かれ、バツが悪くなった私は思わず視線を逸らしてしまう。
「うん?」
けれどこの流れ、絶対に言わなければ納得してくれない。
それは彼とのこれまでの付き合いで学んだこと。
「……ルデンの、」
「僕の?」
私の顔を覗く、彼の瞳が揺れている。
私は意を決して、彼に真実を告げた。
「……貴方の瞳の色と同じ色をしていて、綺麗だったから。だから……一番気になっていたの」
「……!」
「せっかくルデンが私に贈ってくれるんだもの、貴方の色がいい。それが本物の宝石でも、偽物だったとしても、私にはあまり関係ないというか……」
「……ベリル」
ルデンは手で口元を抑え、私から目を逸らした。
「あ……ダメ、かしら?」
「……あぁ、ごめんね。その……つい嬉しくて。(君をうっかり抱きしめてしまいそうだった)」
「え? ごめんなさい、最後の聞き取れなくて……。なんて言ったの?」
「……ううん、なんでもないよ。ありがとう、ベリル」
ルデンはとても嬉しそうな笑顔を見せた。
「……? えっと、どういたしまして……? んん? 私が首飾りを贈って貰うのだから、ありがとうは私のセリフよ?」
「……ふふっ」
困惑する私と、楽しそうに笑うルデン。
そんな私たちの様子に、店主は少し困ったように眉を下げ咳払いをした。
「……ええと、お二人さん? 仲が良いことは大変結構だが……そろそろ決まったかい?」
「あぁ、すまない。ではこの青い宝石の首飾りを、彼女に」
※
「はいよ、まいどありー! また恋人のお嬢さんへの贈り物の際は、ぜひご贔屓に!」
「ああ、その時はまた立ち寄らせてもらうよ」
(さ、最後まで誤解されっぱなしだったけれど……ルデンはよかったのかしら???)
露店を離れたタイミングで彼に声をかける。
「ルデン、首飾りありがとう。大切にするわ」
「どういたしまして。少し寄り道しすぎてしまったね。急いで食材を買ってみんなのところに戻ろうか!」
「ええ!」
市場で食材を買い揃えた私たちは、両手一杯に荷物を抱えて皆が待つ海岸へと向かった。
ルデン 好感度+30




