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RoughJewel ──ラフジュエル──  作者: norn
第三章 〜休暇〜

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新たな依頼

 


 旧魔術邸の一件から早くも数ヶ月が経った。


 あの一件以来、ギルドからの依頼が来なくなった───なんてことはなく、むしろ竜種を倒した功績から、魔物の討伐や調査団の護衛といった、ギルド在籍の冒険者が請け負うような高いレベルの依頼を回されるようになってしまった。


 ダイヤモンドに入る際、初めに受けた説明ではギルドの雑用的依頼の処理という話であったが、今ではギルドに名前が加えられていそうだし、冒険者の一員くらいに考えられているのではないか、と皆で疑っている。



 怒涛の依頼を処理しているうちに、学園は待ちに待った長期休暇に入る。

 ────というのに。


「シーラへの視察、ですか?」


 ルデンがゲルドの言葉を復唱する。

 今日もまた、理事長ゲルドに呼び出され新たな任務を命じられた。


「ああ。王都ヘリオドールから南西に位置する海上都市シーラ。ま、シーラがどんなところかってことは説明しなくても分かるよね」


「それは……まぁ」


 海上都市【シーラ】。

 ヘリオドール南西にあるシーラ海から名前が取られた、海上に作られた観光都市。

 水産業が盛んで、ちょうど今のような時期には多くの観光客で賑わうのだ。

 それと、王都に次ぐ独立ギルドがあることも名物の一つである。

 多くの観光客や冒険者が行き交う活気のある街。

 それがシーラの特徴であり魅力の一つだ。


「えっ……と……? ちなみにオレらの長期休暇は……?」


 恐る恐るセシアンが尋ねると、ゲルド理事長は悪びれもなく屈託のない笑顔で答えた。


「すまない」


「ウソでしょ???? 長期休暇中に? 周りがキャッキャウフフしてるのを見ながら? オレらは任務??」


「すまない」


「(絶句)」


「近年、魔物の数が増えていることは皆も知っているだろう? シーラも同様にその被害を受けているのだ」


 ゲルドの言葉に、ルデンは首を捻る。


「シーラに被害が? そのような情報は耳にしていませんが……」


「ああ、観光都市ということもあり、表立った公表はされていない。いずれ君の元にも情報が回ってくるはずだ」


「そう、なのですか……」


「観光地であるシーラにこれ以上の被害が出るとなると、ヘリオドール全体にも多大な影響を及ぼすだろう。そのため、都市付近の魔物の調査をすべく優秀な魔法使いを派遣してほしい、というのが今回のギルドからの依頼だ。あぁ、もちろん旅費はこちらで出すから心配しなくていいよ。詳しい話はシーラのギルドで直接聞くといい。皆、頼んだよ。話は以上だ」




 ───────────────────



「えっ、長期休暇中もダイヤモンドの活動あるの!?」


 アシュリーの声に驚き、中庭の鳥がバサバサーっと一斉に飛び立つ。


「そうみたい……。ごめんなさい、一緒に買い物に行く予定だったのに……」


 長期休暇に依頼が入ってしまったと、私は真っ先にアシュリーへと報告した。

 事情を説明すると、アシュリーはしょんぼりと肩を落とした。


「そっかぁ。残念だけど、そういうことなら仕方ないわねー。また誘うわ。にしてもシーラかぁ。よりにもよって超高級観光地じゃない。理事長も鬼ねー」


「アッシュはシーラ、行ったことあるの?」


「うん。何度か、父さんの仕事の関係でね。うちの商会の中でも、シーラの品は結構人気なのよね〜。海も綺麗だし! あ、せっかくだし水着とか持ってったら!?」


「理事長の話を聞く感じ、海で泳ぐ暇はなさそう……。シーラの森で魔物討伐をしろって話だから」


「うわ……海の街で森……。う、海くらい見られるといいわね……」


 はは……とお互い苦笑いを浮かべるほかなかった。


(アッシュにお土産を買う時間だけでも取れればいいのだけれど……)




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