偵察
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しばらく木を伝い走った後、地図に印されている地点へと降りる。
そこは鬱蒼とした中にある湖だった。
「下ろすぞ」
「ええ。ありがとうシェナ……重かったでしょう……」
「いや、むしろ軽すぎだ。ちゃんと飯食えよ」
「ふー、着いた〜。ここが爺さんの言ってたとこだよね」
「あぁ」
地面の土が擦れていることや、辺りの木々がなぎ倒されていることから、何か大きなモノが湖を行き来していることが伺える。
ふいに、シェナの耳が忙しなく揺れた。
「シッ、何か来る!」
シェナの指示に従い、木陰に身を隠し、息を潜める。
すると、すぐに異変は起きた。
────ズシン、ズシン。
重量感のある音と共に地面が小さく振動する。
音は次第に湖の水面に波紋を作り、その波紋は何かの接近を知らせているようだった。
────ズシンッ、ズシンッ。
音が、湖の手前で止まった。
「……っはは。誰だよ、大トカゲなんて可愛い名前つけた奴……」
私たちの目の前で水を飲むソレは、大トカゲなんて可愛いものではなかった。
あれは──────
「竜種……」
竜種────ドラゴンとも呼ばれる魔獣の頂点。
「ただそこにいるだけで……すげぇ威圧感だ」
「確かに形はトカゲっぽいけどさぁ……全長シェナ3人分くらいあるんだけど……」
「ええ……無策で挑むのは無理ね……」
竜は虫型の魔物を咥えて来たようで、バキッバキッと音を立てながら捕食している。
(虫が捕食対象だということは本当みたいね。あれだけ大きくなったとなると……この辺りの虫は全滅しているでしょう……)
「あんなのがいたら、すぐに森の環境が変わってしまうわ」
「あぁ、森には森のルールがある。それを領主の野郎がぶち壊した。もうこの森の食物連鎖は機能してねぇだろうな」
「あと数日でアイツなんとかしないとなんでしょ? 絶望的だね〜」
幸い、竜は食事に夢中なのかこちらには気付いていないようだ。
「とりあえず、屋敷に戻るぞ。3人じゃどうにもならねぇ」
「同感よ」
私たちは静かにその場を離れた。
帰りもシェナに抱えてもらい村へと戻る。
寄り道をしたせいか、屋敷に戻る頃には日が暮れてしまった。
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「たっだいま〜!」
セシアンが談話室の扉を勢いよく開けて中へと入ると、ルデンたちの心配そうな表情が安堵へと変わる。
「みんな……! おかえり、無事でよかった!」
「……戻ったか。随分遅かったが、何か問題でもあったか?」
「あー、危険なことはなかったけど、色々あってさ……」
「みなさんお疲れ様です。今、湯の準備と夕食をご用意しますね」
「頼むわ〜、あーもうお腹ぺこぺこだし明日ぜってー筋肉痛になる〜……」
ルデンたちも食事をせずに私たちの帰りを待っていてくれたようだ。
湯浴みのあと、皆で軽く夕食を済ませ、再び談話室へと集合する。




