【セシアン5-2】女の独白
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そんな二人の様子を、女は物陰からジッと見ていた。
その双眸には、嫉妬の炎が宿っている。
女はスカートの裾を握り締めながら、唇を噛んだ。
「セシアン様……どうしてですの……? 何故その女にばかりそのような視線を向けるのです! あの視線はワタクシだけのものだというのに!! ……あのベリルとかいう女も、なんなんですの? すこーーーーし、お顔が整っているというだけで、調子に乗って! ワタクシの方が断然、容姿もいいに決まっていますわ! それなのに何故……何がワタクシと違うんですの……?」
女は、自分とベリルの差違について考えた。
女には一つ、思い当たることがあった。
「……そうですわ。そういえばあの女、一度もセシアン様に好意を示していませんわ……!」
女が知るセシアンの周りに群がる邪魔者たちは、皆頬を赤らめ彼に想いを寄せている。
「ワタクシも、セシアン様の前だと妙に気持ちが溢れ出してしまうというか、抑えられないというか……それでいつも上手くお話できませんのよね……」
それなのに、ベリルはそんな様子もなく、セシアンの隣で彼と無邪気に笑い合っているのだ。
「きっと、彼の周りにいないタイプの女だから、ベリルを気に入っているんですわ……! ワタクシも、あの女のように平静を装う事ができれば……セシアン様に振り向いていただける……? 想いを抑えるクスリがあれば────」
女は不気味に笑いながら、小さくなった二人の背中を狂気的な目付きで睨みつけた。
「フフ、ウフフフフ! これでセシアン様はワタクシのものに……」
女は頬に手を当て微笑んだ。
その顔に狂気を残したまま、女の独白は風と共に消えた。




