表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RoughJewel ──ラフジュエル──  作者: norn
〜第五章〜 レド√

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/147

【レド5ー9‘ BADEND√】人形


レドルート 【BADEND】


条件:レドの好感度が50以下であること。


 

【BE√】

 ───────────────────



 ───私の血を、彼に飲ませれば……彼は、助かるかもしれない。



(……かもしれない、じゃない! 助けるの! 絶対───レドは死なせない!)


「私は────貴方と共に、生きていきたいから!」


 私は首元を緩め、上着を肩まで脱ぐ。

 顕になった首元を、机の上に置いてあった果物ナイフで少し切る。


「……っ」


 首に触れるとヌメっとした感触が手についた。


(よし……ちゃんと切れたみたい)


 そのまま、彼を抱き寄せ私の首に近付ける。


「レド、噛んで……!」


「……っ」


 血の匂いを嗅ぎ取ったレドは、朦朧とする意識の中、血を欲する吸血鬼の本能のままに、私の首に牙を突き立てた。

 ───その瞬間、じくりとした痛みが首に広がった。


「……っ、ぁ…………」


 レドが噛んだ箇所が、熱を持ったようだった。

 彼は私を床に押し倒すと、更に深く牙を刺し、容赦なく血を吸い上げていく。


「……っ、レ…………ド………………」


(よかっ……た…………これで、元気に────)


 ────ドクン、と心臓が音を立てた。

 ぐらりと歪む視界と、どうしようもない()()が私を襲う。

 正気が保っていられなくなるような感覚が、波のように押し寄せてくる。


(な……に────)


「……ぁ…………アァ……ァ……」


 私の意識は、闇の中へと沈んでいった────。




 ───────────────────



 《Sideレド》



「…………ぅ……」


 床に倒れていた()は、ゆっくりと目を開けた。


(生きてる……のか……)


 先程の賊との戦闘で、かなり多くの傷を負ったはず。

 正直、今回は助からない可能性の方が高かった。


(致命傷を逸れた……のか?)


 かろうじて賊を始末してから家まで戻って、扉をくぐった辺りで力尽きた……そこまでは覚えている。

 鉛のような重さを想像しながら身を起こそうとするが、びっくりするくらい身体が軽い。

 それに────。


(口の中が、甘い……)


 この味には覚えがあった。


(これは、ベリルさんの血の味────)


 身体を起こし振り返ると、床に倒れたベリルの姿が視界に入った。


「……ッベリルさん!!」


 ぐったりと倒れたベリルを抱き上げる。

 彼女の首元は血だらけで、首筋には切り傷と、二つの牙の跡が残っていた───。


「……っ!?!」


 まさか──────。


「ベリルさん! ベリルさん!! 目を開けてください!!」


 彼女の身体を揺すると、彼女はゆっくりと目を開けた。


「! ベリルさ─────」


「…………」


 ───ベリルの目に、光はなかった。

 名前を呼んでも、想いを告げても、キスをしても─────。

 彼女の自我は、もう……ここにはなかった。


「……っそん……な…………わたしは…………あなたを…………眷属に………………」


 心がなくなり、ただ、命じるままに動く人形。

 彼女は血を差し出すため、自らの身体を私に委ねた─────。




 ───────────────────



 ────数年後。

 ヘリオドールを出てから、随分長い時間が経った。


「ベリルさん、今日はいいお天気ですね」


「…………」


「せっかくですし、森へ散歩に行きましょうか」


「…………」


 ベリルを抱き上げて、家を出る。


「今年も花壇の花が美しく咲いてくれましたね」


「…………」


「ふふ、ベリルさんもそう思いますか?」


 自分の腕の中で()()彼女を優しく包み込む。


「…………」


 ()()()()()()彼女の頬を優しく撫でる。



「ベリルさん……私に血を、くださいますか?」


「…………」


「……」


 ベリルの白く透き通った肌に牙を刺す。


「……ん…………」


 吸血時だけ……彼女の声を聞くことができる。

 彼女の可愛らしい声をもっと聞きたくて、いつも必要以上に牙を立ててしまう。


「ベリル……」


 感情をなくした私の最愛の人形(ひと)にキスをする。


「貴女は……私だけの眷属(もの)。私が永遠に、貴女をお守りします───」


 甘く流れる蜜を吸いながら、再び彼女を抱きしめた。永遠の愛を、誓いながら────。




【BADEND / 人形(ドール)






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ