【レド5ー10 HAPPYEND√】花嫁
※共通ルートシナリオも少しだけ入ってます。
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───後日。
レドは私と共に、ルデンに全てを打ち明けに行った。
まず、ルデンを狙った賊は既に捕縛済みであること。暗殺者ギルドに王家暗殺の依頼をしてきた依頼主の情報もこと細かく伝えたため、そちらはルデンら王宮の方で対処するとのことだった。
さらにレドは、自分がずっと暗殺者ギルドの人間で、ルデン殺害の命令を受けていたことも、包み隠さずルデンに話した。
レドを許してほしい。けれど命を狙われたルデンの身になったら、彼を許してとは言えなかった。
だから代わりに、私にも彼の罪を背負わせてほしいと懇願した。私がルデンや王国のためできることは少ないけれど……永久に魔力を提供しろと言われれば喜んでするし、レドの代わりに死ねと言われたら、死ぬつもりでいた。だから、彼の死罪だけは────と。
ルデンは少し考えると、名案を思いついたかのようにパッと顔を明るくした。
「レドは怪我をして従者を続けられなくなったから、ベリルに引き取ってほしいな。君は今から彼女のものだから、もう僕の管轄じゃないよ。生かすも殺すも、ベリル次第だ」
───と、笑った。
ルデンは王子として、自分に直接的な危害を加えていないとはいえ、目的のために潜伏していた暗殺者には、それ相応の罰を与えなくてはならない。
しかし、レドを私に委ねることで、もう自分は関係ないのだと主張した。
ルデンなりの、最大の配慮だった。
レドはルデンがかけてくれた慈悲に涙し、最後に、主に最大の敬意と忠義を示したのだった────。
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※
────それから月日は流れ、私たちは無事に、ダイヤ生の任期を終えた。
組織に入った当初は、なんて所に入れてくれたんだという気持ちでいっぱいだったけれど、今となっては、ゲルド理事長には感謝してもしきれない。
(ダイヤモンドでの当初の任期は一年間という話だったのに、結局三年もこき使───ではなく、活動してしまったものね)
───こんなに素敵な居場所ができるなんて。
───こんなに大切な友人ができるなんて。
───こんなに、愛しい人ができるなんて。
昔の私には、想像もつかなかっただろう。
───そして、今日、この日。
私たちは王立魔導学園の卒業を迎えた。
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───時計塔までの道を、レドと共に歩く。
愛しい彼の横顔を眺めながら、共に学園を卒業できた幸せに浸っていた。
「ふふ、そんなに見つめられては困ってしまいます────お嬢様」
「………………」
私は彼をジト目で見る。
「もう学園も卒業なのだし……ソレ、やめない?」
「まだ学園の中ですので。それに私は、お嬢様の執事ですから」
レドがニコリと微笑むと、遠くにいた女子学生から歓声が上がる。
「………………もう」
───あれから。
レドの身柄は、私が預かることになった。
暗殺者側と手を切っているとはいえ、さすがに王子の従者を続けることはできない。
ルデンが上手く口利きしてくれたおかげで、レドが従者を辞めた表向きの理由は『怪我をして従者を続けられなくなった』ことになっている。
そこで、レドの再就職先が────なんと、エーデルシュタイン家の私専属執事ということに収まったのだ。
ルデン直々、エーデルシュタインの屋敷に出向いて、自分の従者をお嬢さんに預けたいとお願いしに来た時は、両親とも泡を吹く勢いで倒れて大変だった。
父様も母様も、王子の従者を務めていたレドが娘を守護してくれるなんて、と大層喜んでいた。
レドが私の執事になってから、学園でも私の執事として振舞っていたため、女子学生にも大変羨ましがられたものだ。
(まぁ、確かに最初は……レドにお嬢様って呼ばれるたびにドキドキしてしまっていたけれど……外にいる時に名前を呼んでくれる機会が減って、それはそれで寂しいというか……)
そんな私の想いに気付いてか、レドはクスッと微笑んだ後、私の耳元に顔を近づけ───
「ベリル────」
低く、囁いた。
「〜〜〜〜!?!!?」
赤面しながら耳を押さえてパクパク口を動かしていると、レドは愛おしそうに笑みを浮かべる。
「明日から遠慮なく、外でも貴女の名前を呼ぶことができますね。貴女に触れることも───」
「!」
私たちは明日から、極東の地へと向かうことになっている。
旅をしながら極東へ赴き、レドのご両親のお墓を建てに行く。きちんと弔いたいと、私が彼にお願いしたのだ。
それに対して、レドは本当に嬉しそうに、私にお礼を言っていた────。
「明日から、レドと二人旅……ふふ、楽しみね。明日からもっともっと、一緒にいられる時間が増えるのだもの。嬉しいわ」
「…………」
横を歩いていたレドが、急に立ち止まる。
疑問に思って振り返ると、彼は私を軽々と抱き上げ、そして─────浮遊魔法で空に飛んだ。
「レ、レド……!?」
浮遊魔法をもってしても、人間では飛ぶことのできない高度まで浮き上がる。
魔族でないと、なし得ない技だ。
「大丈夫です、落としたりしませんから」
「そ、そういうことではなく……!」
「空の上なら、誰かに見られる心配もありません────」
そう言うと、レドは私にゆっくりと口付けた。
「!」
「───血の契約。互いの命と魔力を繋ぐ、一生に一度しかできない最期の契り。貴女は吸血鬼の花嫁として────歳をとれなくなり、永遠にも近い時を生きることになる。────あの時の〝答え〟は、今も変わっていませんか?」
レドの赤い双眸が、私の瞳をまっすぐ見つめた。
私はその目を逸らすことなく見つめ返し、深く頷く。
「────ええ、もちろん。私は貴方のもの」
「……ふふ、ありがとう、ベリル」
レドは私の左手に触れると、一時的に長く伸ばした爪で、私の薬指と自分の薬指に傷を付ける。
互いの傷口から垂れた血が、重力を無視して私たちを囲むように辺りを漂い始めた。
「私の故郷では〝義〟や〝忠〟に命をかけるのです。私は貴女を、永遠にそばで守りたい。───貴女を永遠に、愛することを誓います」
「レド…………」
「私の───花嫁になってくださいますか?」
「──────はい!」
───レドと、誓いのキスをする。
その瞬間───血の契約にもとずき、漂う血がリングとなって互いの薬指にはまった。
私は、この先長い時を過ごすことになる。
けれど、一人じゃない。
ずっと、ずっと、愛しい彼の隣で生きていける────。
「愛しているわ、レド────」
「愛しています、貴女だけを────永遠に」
甘く溶けそうになる、深い口付けに酔いながら。
私は永遠に、彼の愛に溺れていくのだった────。
【HAPPY END / 花嫁】
〆




