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RoughJewel ──ラフジュエル──  作者: norn
〜第五章〜 レド√

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【レド5ー8】守護


※次回エピソードで【エンドルート】の分岐があります。



会話の内容が変化するため、目次から


【好感度が50以上ある場合はハッピーエンドルート、50以下の場合はバッドエンドルート】


のシナリオ(エピソード)に飛んでください。


 


 ───────────────────



 《Sideレド》



 自分の隣でスゥスゥと小さく寝息を立てるベリル。

 そんな彼女の寝顔を見つめながら、彼女の頬にそっと触れた。


「ん…………」


 ベリルは小さく声を漏らすと、再び規則的な寝息を立てた。


(……まったく。本当にこの状況で寝てしまうとは。こんなに安心しきった顔をして───)


 隣にいるのは男で───しかもそれは暗殺者(アサシン)だというのに。


(私は、男として見られていないのでしょうか?)


 彼女が私を好きだと言ったのは、仲間としての言葉なのだろうか?

 それとも────。


(こんな想いに駆られるとは……思いもしなかった)


 ベリルを想うと、酷く胸が締め付けられる。

 どんな痛みにも耐えてきたはずなのに、彼女が傷付く姿を想像するだけで、耐え難い痛みに襲われる。

 自分のそばにいることは、彼女にとって危険でしかない。そう頭では理解しているのに……。

 一度別れを決めたはずが、こうしてまた共にいる。共にいたいと願ってしまう。



『私が貴方の眷属になるわ!』



 彼女が言ってくれた言葉を思い出しては、何度も喜びを噛みしめる。


(あぁ……貴女を眷属にすることができたら……私はずっと、貴女の隣にいることができるのに─────)


 しかしそれは、叶わぬ願い。

 人間を眷属にすることは()()だが、吸血鬼が放つ精神汚染の能力に、人間という種族は耐えられない。

 眷属にされた人間は───自我がなくなってしまうのだ。


(あの時の私は……本当に、よく耐えた)


 先程ベリルの首筋を見た瞬間、思わず押し倒しそうになった。

 彼女の白く透き通った肌に牙を立てたなら───想像するだけで口内の牙が伸びそうになる。


(………………くそ、眠れない)


 職業柄、どこでも寝ることができるのは本当なのだが……彼女の隣は例外のようで───。


「───ッ!」


 外に気配を感じ、素早く身を起こす。


(…………五……いや、六……か────)


 もう追っ手がここまで────。


「…………」


 ベリルを起こさぬよう、ベッドを出る。

 自分一人であれば追っ手から逃れることができるだろう。

 しかし、この数を相手にベリルを連れて逃げるとなると……。

 相手も自分と同じ訓練を受けた暗殺者(アサシン)───。

 二人揃って追っ手から逃れることは叶わないだろう。


「貴女には───指一本、触れさせはしない」


 ベリルの額にキスを落とす。

 彼女に微笑みかけたあと、自分の得物を手に外へ出た────。





 ───────────────────



 《Sideベリル》



 ────カタン。

 近くで聞こえた物音が、私の意識を夢の中から引っ張りあげた。


「……ん、…………?」


 瞼をゆっくりと開けると、すぐに、隣にレドがいないことに気が付いた。


「レド…………?」


 窓の外はまだ薄暗い。

 夜明けにはまだ少し時間があるようだった。

 ベッドから出てレドを探しに行こうとするが────。


「────」


「……っ……レドッ!?」


 全身傷だらけで、血塗れのレドが扉の前にもたれかかっている。


「レドっ……!レド……っ!!」


 彼の名を呼びながら身体を揺すると、彼は薄く目を開けた。


「…………リ……ル…………」


「レド……っ! ま、待ってて、今治癒魔法をかけるから!」


 ───どうして? 一体何があったの!?

 そんな疑問で頭がいっぱいになりながらも、私は彼に全力で治癒魔法をかけていく。

 しかし───。


「な……っ、治癒魔法が効かない……!?」


 いくら魔法を施しても、彼の傷が癒えることはなかった。


(太ももと脇腹……それに肩からの出血が酷い……!)


 床に血溜りを作るくらいの出血量。

 このまま放っておいたら確実に死に至るだろう。

 上着やブランケットで傷を押さえ止血すると、レドは痛みに顔を歪めた。


(どうして治癒が効かないの? 治癒封じの魔法がかけられている? ……いいえ、そんな魔法は感じ取れない…………ならば、何故───)


 吸血鬼は血で魔力を満たす───。

 ふと、レドの言っていた言葉が脳裏に浮かんだ。


「……もしかして、彼の中の魔力───生命力が弱まっているの……? だとすると……彼を助けるには────」





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