【ルデン5ー9 HAPPYEND√】王子の精霊
※共通ルートシナリオも少しだけ入ってます。
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────それから月日は流れ、私たちは無事に、ダイヤ生の任期を終えた。
組織に入った当初は、なんて所に入れてくれたんだという気持ちでいっぱいだったけれど、今となっては、ゲルド理事長には感謝してもしきれない。
(ダイヤモンドでの当初の任期は一年間という話だったのに、結局三年もこき使───ではなく、活動してしまったものね)
───こんなに素敵な居場所ができるなんて。
───こんなに大切な友人ができるなんて。
───こんなに、愛しい人ができるなんて。
昔の私には、想像もつかなかっただろう。
───そして、今日、この日。
私たちは王立魔導学園の卒業を迎えた。
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────最後に、時計塔までの道を仲間と共に歩く。
隣を歩く彼らも、私と同じように思い出に浸っているようだった。
「この見慣れた景色も今日で最後なんて……なんだか寂しいね」
しみじみとしながらルデンが言う。
「もう卒業とか……なーんか、実感湧かないよねぇ。みんなと会うのもこれで最後……! とかだったらまだ実感湧くかもだけど」
セシアンの言葉に、シェナはハハッと笑いながら同意した。
「だな。俺ら、これからは王宮魔導師としてルデンの臣下に入るわけだし」
「あぁ、むしろ学園での講義がなくなった分、今まで以上に顔を合わせることになるだろう」
やれやれ、といったふうに言うラルドも、実は満更でもなさそうだ。
「ふふ、そうね」
───そう。
レドは元々ルデンの従者として仕えているが、私たちもダイヤモンドでの功績とルデンの口添えのおかげで、王宮魔導師として城でルデンに仕えることとなったのだ。
「配属される場所は皆それぞれ違いますが……皆さんとは同僚になるわけですね」
「だねー。あ、じゃあルデンはオレらの上司だね!」
そう言われたルデンは、恥ずかしそうに苦笑いを浮かべながら答えた。
「……臣下も上司もやめてくれ、気恥しいから。これからも肩を並べる仲間としてよろしく頼むよ」
「ふふ、もちろん」
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───学園の卒業生のため、最後に学園で煌びやかな卒業パーティーが開かれた。
「ルデン様っ、私と踊っていただけませんかっ!」
「わ、わたくしとも踊ってくださいませー!」
相変わらず、ルデンは学生達に囲まれて忙しそうにしている。
「…………」
「……モテる男が婚約者だと、あんたも大変ねぇ」
壁の花となっていた私の元に、ビュッフェで食事を楽しんでいたアッシュが戻ってきた。
「王子に決まった相手がいるって知ったら、王子の婚約者の座を狙ってる奴らが一瞬で卒倒するわね」
「あはは……」
実は、私たちの婚約はまだ正式なものではない。
学園を卒業するまでは角が立たないよう、私から公表を控えるように彼にお願いしていた。
なので、ダイヤ生のメンバーやアッシュなど、一部の身内しか私たちの婚約の事実は知らないのだ。
だから、女子学生が彼にダンスの誘いを申し込んでも文句は言えないのだけれど───。
(ルデンが他の女性とダンスする姿は……あまり見たくないわね)
ここにいても気は休まらないし、いっそ私もアッシュと共にビュッフェを楽しもうと思い移動しようとする。
すると立ち塞がるように、男子学生が私たちの前へとやってきた。
「あ、あの! エーデルシュタインさん! 俺と踊っていただけませんか……!!」
「え……私?」
アッシュが私たちを交互に見ながら「おや?」と口元に手を当てた。
「あ! ボクとも一曲いかがですか!? 交流祭でのご活躍以来、ずっと陰ながらお慕いしておりました!」
「えっ……!? あー……」
アッシュは忙しなく首を動かしながら、再び「おやや?」と口にする。
そんなアッシュに助けを求めたのだが───
「あたしビュッフェ二周目行ってくるわー」
「アッシュ!?」
───あっさり見捨てられてしまった。
(い、いつもなら助けてくれるタイミングでは!?)
「あのー、俺と踊っていただけますか?」
(どうしよう……彼、確か結構な上流貴族だから、断る方が面倒なのよね…………)
天秤にかけた結果、仕方なく、差し出された手を取ろうとする。
しかし────。
「───ベリル」
「!」
颯爽とやってきたルデンが私の前に立つ。
ルデンの顔を見上げると、彼は私の腰を抱き、そのまま───なんと、私にキスを落とした。
「「「!?!!!?」」」
ルデンからの口付けに、その場にいた誰もが驚き、そしてその驚きの整理もつかぬまま────。
「皆、紹介が遅れてしまってすまない。彼女は数年前から僕の婚約者なんだ。改めて、皆、よろしく頼むよ」
ルデンが笑顔で放ったその言葉で、会場が騒然となった。
キャーーという声が、歓声なのか、絶叫なのか、分からない。
案の定、卒倒する女子学生が後を絶たなかった。
ルデンの唐突な発表に皆少なからず動揺していたけれど、最終的には、皆私たちを拍手で祝福してくれた───。
ことが落ち着いてしばらくしてから、私とルデンはバルコニーに出て外の空気を吸いに来ていた。
「はぁ……大変だった…………」
「ふふ、やっとみんなに、ベリルは僕の婚約者だって言えたね」
「もう……言うなら先に教えてほしかったわ。私までびっくりしちゃったじゃない」
「だってベリル、あの男と踊るつもりだったでしょ? ごめんね、つい嫉妬しちゃった。ベリルをダンスに誘うのは僕が一番最初がよかったのに」
「ルデンこそ、色んなご令嬢からいっぱい誘われてたけれど……彼女たちと踊るのかと思っていたわ」
フイっと視線を逸らすと、ルデンは慈愛に満ちた表情でクスっと笑った。
「こんなに可愛い婚約者がいるのに、放って他の女性と踊るなんてできないよ。それにこれからは、堂々と皆の前で君に触れることができるんだ。今まで堂々と君に触れられなかった分、最後にみんなに見せつけておかないとなーって思って───」
そう言うと、ルデンは優しく微笑みながら私の腰を引き寄せた。
「───ベリルは僕のものなんだ、ってね?」
「…………っ!」
彼の言葉で頬が火照る。
婚約者になって分かったのだが、ルデンは独占欲が強いタイプらしい。
「ふふ、真っ赤になってる。可愛い」
「……ル、ルデンのせいよ」
「うん────嬉しい」
私を柱で隠すようにして、ルデンは私に口付けた。
角度を変え、何度も甘いキスを落とす。
彼の愛が、何度も何度も私を満たした。
「ルデン……好き…………」
「! ……うん、僕も。大好きだよ、ベリル」
彼は嬉しそうに微笑むと、私の手の甲にキスを落とした。
「ベリル───僕と踊っていただけますか?」
差し出されたルデンの手に、私は迷わず自分の手を重ねた。
「────はい、喜んで」
ルデンと、夜空の下で踊るダンス───。
それはまるで、世界に私たち二人しかいないような感覚で。
「僕を選んでくれてありがとう」
「ルデン────」
「愛しているよ。君を、幸せにしてみせるから────」
「私も───貴方を幸せにするわ」
互いに額をくっつけ合い、微笑み合った。
彼の言葉も、温もりも、甘いキスも───全部、私だけのもの。
ルデンの愛を受けながら、私は彼に身を委ねたのだった────。
【HAPPY END / 王子の精霊】
〆




