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RoughJewel ──ラフジュエル──  作者: norn
〜第五章〜 ルデン√

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【ルデン5ー8 HAPPYEND√】二人、一緒に。


ルデンルート 【HAPPYEND】


条件:ルデンの好感度が50以上であること。


 


【HE√】

 ───────────────────



 ルデンの伸ばした手が、私の腕をかろうじて掴んだ。

 宝石の光はルデンにも乗り移り、ルデンの身体も私と共に浮いてしまう。

 ルデンは私を守るように、庇うようにその身で私の身体を覆った。

 私たちの身体が宝石の窪みに収まると、宝石は私を抱きしめるルデン諸共包み込むように窪みを閉じようとしていた。


「ルデン……! 手を……離して……っ!!」


「……っいや、だ!!」


「ルデン!! 貴方まで……っ、取り込まれてしまう……!!!」


「離さ、ない……!! 絶対にッ!!」


 動かなくなってきた私の身体を、ルデンは再度宝石から守るようにきつく抱きしめた。

 宝石は、私とルデンを呑み込むと、完全にその窪みを閉じた。



「───! ─────!!」


 ストレリチア殿下が宝石の表面を懸命に叩いたり、剣で砕くことを試みながら、何かを叫んでいるようだ。

 宝石の中は無音で、外の映像だけが視界に入る。


「……ベリ、ル。大丈夫かい?」


「ど……して────私のせいで……ルデンまで……っ!!」


「ベリルが無事なら、なんだっていいよ」


「良くないわ……! だって、この宝石は外部の衝撃で壊れたりしない……っ、貴方だって、取り込まれる瞬間にそう分かったでしょう!? あの時、私の手を離していたら……貴方は助かった!!」


 溢れる涙をルデンの綺麗な長い指が掬い上げた。

 どうやらルデンは、まだ身体の自由があるようだ。


「君と一緒にいられるのなら……僕はどこへだって行けるよ。例え───そこが地獄だろうとね」


「……っ」


 涙を流す私の瞳に、ルデンは優しくキスを落とす。


「ベリル、愛してるよ。僕たちの永遠(とき)が終わるまで────ずっと、一緒にいよう」


「……っ、わたしも、愛してる……ルデン」


 ルデンの唇が、私の唇と重なった。

 最期に────最愛の人とキスを交わす。

 深く重なる口付けに彼の愛を感じながら、私も彼のことを強く想った────。



(どうか……ルデンを助けて───!)



 彼を強く想った、その時────。

 私の魔力が、身体の外に溢れ出した。


「……!」


「……っこれは!?」


 ルデンの魔力も溢れて混ざり合い、私の魔力と溶け合っていく。

 目に見えるようになった私たちの魔力は、宝石の形を型どると、次の瞬間それは弾け飛び、私たちを覆っていた宝石を内側から砕いた。


 私たちは互いの身体を抱きしめたまま、宙に浮く。

 次の瞬間、私の溢れ出た魔力がルデンの身体へと流れ込んでいった。

 砕け散った巨大な宝石は、私たちを祝福するかのようにキラキラと舞い落ちる。


「……っ……これは、一体────」


 ルデンは片腕で私の身体を支えながら、手のひらを見つめ呟いた。


「ルデンッ! ベリルッ!!」


 ストレリチア殿下が、血相を変えて駆け寄ってきた。

 眼前で起きた現象に呆気に取られていた王宮魔導師や護衛の兵たちも、ハッと意識を取り戻したようだ。

 私たちはゆっくりと地面に降り立つ。


「無事か!?!」


「は、はい……一体何が起こって───」


「……っルデン! ルデンっ!!」


「ベリ───んっ」


 ルデンの身が無事だという安堵と、はたして本当に無事なのかという矛盾した気持ちが、私を衝動的に動かした。

 ルデンの存在を確かめたくて、思わず、彼の唇を自分の唇で塞ぐ。

 ルデンは一瞬驚いたあと、けれどすぐに私の口付けに応えてくれた。


「……っ……んっ…………ぁ……」


 甘い吐息が漏れる。

 とろんとした私の顔を、両手で包み込むルデン。


「……ベリル…………よかった、無事で。……助けてくれてありがとう、ベリル」


「私は何もしていないわ……ルデンこそ、ありがとう……私と一緒にいてくれて……」


「……ベリル…………」


 再び、ゆっくりと互いの顔が近付いた───。


「………………ゴホン。ゴホンゴホン。あー……すまない、二人とも! とりあえずここは危険だから、外に出ないか!?」


「……っ!!」


 周りを見ると、ストレリチア殿下の護衛の兵や王宮魔導師数名が、全員顔を赤くしながら視線を泳がせている。

 周りの状況など気にする余裕のなかった私は、完全にルデンしか見えていなかった。

 羞恥で死にそうになりながら顔を抑える私を、ルデンはひょいっと抱き上げた。



 ───────────────────



 ───遺跡を出た私たちは、念の為医術師から治療を受けた。

 遺跡の調査は残りの王宮魔導師に引き継ぎ、遺跡から撤退した私たちは、そのままヘリオドール城へと報告に向かった───。


 ───後に調査した王宮魔導師の見解では、元々あの巨大な宝石は古代のエネルギー源の塊で、持続的に魔力を供給する装置として使われていた可能性が高いとのこと。

 宝石は欠けてしまった部位を補うため、宝石(じぶん)と共鳴できる魔力を持った私を取り込もうとしたようだ。

 宝石と魔力が共鳴した私が取り込まれてしまったら、私の身は永久に、宝石に魔力を供給するだけのエネルギー源になっていたらしい。

 ルデンが一緒に宝石の中に入ってくれたおかげで、ルデンが一種の不純物となり宝石のエネルギーの均衡が崩れたか────もしくは〝愛の力の奇跡〟だとしか考えられないと語っていた。


 そして、新たに判明したことが一つ───。

 あの一件以来───ルデンの人工精霊の加護が消えてしまったのだ。

 しかし、同時にルデンの中には新たな宝石の加護が生まれていた。

 私自身が一度宝石と融合したことで、私が彼の宝石の役割を果たし、ルデンに加護を与えたのだ。

 あの巨大な宝石の中で私の魔力と交わったことで、ルデンの中には今も私の魔力が流れている。

 初めは、強い魔力に慣れていなかったルデンが、魔法を使う度に木をなぎ倒したり建物を半壊させたりと大変なことになったのだが、今は完璧に使いこなしてくれている。



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