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全銀河娯楽小説大賞最優秀賞受賞!
そんな未来を願って、嘘です。
「ただいま〜」
「おかえり。まだご飯はかかるから先にお風呂どうぞ」
「了解です。その後は先輩のはなし聞かせて下さいね!」
「はいはい」
仕事から帰ってきた南條を出迎え、そのままお風呂に直行させる。
そして桃香は食卓の準備を始め、10分ほど経ったところで冷蔵庫から肉を取り出して切れ目を入れ、フライパンで焼き始めた。
学校から帰って来る途中のスーパーで買った高級ステーキ肉である。
両面を焼いた後にアルミホイルに包んで中にまで熱を通す。
ネットで適当に調べた方法なので合ってるかは分からないが、多少当たってもこの体なら問題ないだろうという適当さだ。
放置している間に別のおかずの準備も進める。
放置してはまた焼くという工程を何度かやっていると南條がホカホカした顔で風呂場から出てきた。
「ふぅ~。お、もしかしてステーキですか!?」
「そう、疲れたからご褒美的な?」
「転校生はそんなに疲れましたか。まあ、周りとのジェネレーションギャップは多かったでしょうけど」
「ギャップはまだそんなに感じてないかな。単純に皆がね。あ、焼き上がるから先に座ってて」
「はーい」
焼き上がった肉を切り分けてソースを掛け、別のおかずとそれぞれ持って行く。
自分の席の前にはステーキ、南條の席の前には焼きタラである。
「え?」
「いただきます」
「えっ、ちょっと」
「うん、我ながらきちんと焼けてるね」
「ちょっとー!!!」
ステーキではなく焼きタラを置かれた南條から苦情が入る。
「なんで私はタラなんですか!私もステーキじゃないんですか!?私が出した食費ですよ!?」
「残念だがこれは私のクレカからだ。そして朝の罰です。潔く受け入れなさい」
「なっ!あれは先輩のことを思っての行為だったって説明したじゃないですか!皆に一目置かれる女になるための!」
「そのせいで体育の時にめっちゃ絡まれたんじゃい!!」
着替えていた時のドタバタを思い出し、その原因の一端を担った南條に怒りを表す。
「えっ、もう体育やったんですか?どうでしたどうでした?」
「めっちゃ触られた。髪と腰と腕をめっちゃ触られた」
「え?・・・何限目でした?」
「昼休み後の5限」
南條の中で生まれる疑念。もしかしてこの小学生間違えてるんじゃ?という疑い。
その真相を求めて質問を重ねる。
「友達出来ました?」
「たぶん?」
「結構ベタベタされました?」
「あー・・・まあ、髪の毛とか、あと匂い嗅がれまくったり?」
「・・・遠回しに拒否しました?」
「・・・一応」
結論。
「高嶺の花ルートは潰えましたね〜」
「えっ、もう駄目!?」
「もう遅いですよ。先輩はクラスの可愛いお人形さんポジです」
「でも、頭の良さとか運動出来る面を見せたよ?」
「女子として周りに不快な思いをさせずに、でも笑顔と口調で圧を出す事に失敗した時点で、先輩はもう終わりです。これからクラスメイト達に可愛がられて下さい」
「そんなぁ!」
終了の意味を込めて焼きタラを一口食べる南條。
「あ、おいし」
普通に美味しくてステーキじゃない不満は消えていった。
そして作戦が失敗したことで落ち込む桃香に対してフォローを入れる。
「大丈夫だいじょーぶ。少なくともイジメとか無茶振りは来ませんし、例え来ても分かりやすく力で拒否ればいいですよ」
「そこは直接的でいいの?」
「前も言ったかもしれませんけど、綺麗で頭が良くて運動が出来る女子に喧嘩売ってもメリットがないんです。してくるとすれば先輩に告白してきた男子のことを好きな女子とかでしょうから、そういうのはばっさりで問題ありません。なんなら恋のキューピットにでもなってあげて下さい」
「・・・本当にそれでいいの?」
「さっき可愛がられるとは言いましたけど、要するに愛され系女子ってやつです。先輩はこれから山脈の高嶺の花から、川沿いの桜になると思えばいいんです。身近だけれど人気で、皆の心を癒すポジです」
タラも美味しいがやはりステーキも食べたくなりこっそりステーキを盗み食う。
どうにも理解しきれない桃香だったが、結局行き当たりばったりに過ごしていくしかないかと考え、食事を再開する。
「それで、他に何があったんですか?」
「ん?んーと、帰ろうとしたら勝負を仕掛けられた」
「ポケモン勝負か何か?」
「クイズとソフトテニスかなぁ」
「ほぉ!テニス勝負ですか!」
まさかの転校初日にテニス勝負というイベントに興奮した南條に対して説明をする。
相手との出会い、会話、そして終わりを話すと、見ていられないと言わんばかりに目を覆う南條。
「なんか、うん。その女の子はどんまいですね・・・」
「あれは不器用ってことでいいの?」
「まあ、大まかにはそうだと思います。先輩相手に対等に立とうと思ったんじゃないでしょうか?」
「対等?なんでそんなことを気にするの?」
「まあ、そこは人の常って奴ですよ。類は友を呼ぶってそういう言葉でしょ?」
「・・・なるほど」
似たもの(対等な人物)であるから自然と友になる、という事を言っているのだと理解した桃香は、佐々木がそれを狙っていたのだと理解した。
当時の桃香は、もう面倒だから早く帰らせてくれ、と思っていたのだ。
「他クラスってことで難しいかも知れませんけど、一応フォローしておいて下さいね。今回のが大きな挫折になって不登校になるかもしれませんし」
「う、うん。もうちょっと気を遣った方が良かったね」
「・・・まあ、その子もある意味社会を知れたと思えば悪い面だけではなかったと思います」
強引さは時に最良の結果を生み出すが、大抵においてしこりを残すことを佐々木が学べたかどうかは本人のみが知るところである。
「あ、ちなみに最悪の場合は爆発しますんでお気を付けて」
「爆発!?」
「リスカ女子の系譜が爆誕するかもしれないってことですね〜おそろしやおそろしや」
「やめて!そういう嫌な未来を示唆するのは!」
挫折を与えた側としてどうフォローすれば爆発させずに済むのかと、うんうん悩まされる桃香と、それを見て他人事のように楽しむ南條であった。
ステーキ肉(黒毛和牛)
100g:1200円
松阪君ではない
そして30話だヽ(=´▽`=)ノワーイ




