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お助け『魔女』になりまして  作者: ふつうのひと
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家に帰ってきたヤマトはずっと考えていた。


「ヤマト、寝ないの?」

「あ、うん。・・・ねぇ、相棒。あの猫の仮面の人って仲間なんだよね?」

「たぶんそうだと思うよ」


ヤマトがピンチだった時に介入してきた猫の仮面の巫女。現状分かっているのはその姿と、必殺技が「辰」という技名なことだけである。


最後の「タツ」という言葉の意味が分からず母に聞いた所、干支の「辰」、つまり龍のことだと判明した。


「名前、聞きたかったなぁ・・・」

「また今度って言ってたからきっと会えるよ」

「・・・でも、そのために早く敵に出てきて欲しいはおかしいよね」

「その前にヤマトも名前を考えとかなきゃいけないよ?」

「え?僕の名前?」


何のことか分からず相棒に尋ねると、頭から抜けていた事を指摘された。


「ヤマトって名乗ったら今のヤマトに辿り着くけど、いいの?」

「・・・・・・あ。た、たしかに!僕が戦ってるってバレちゃう!」


ヤマトは友達や家族に自分が変身して戦っているのを隠していた。

何故なら単純に恥ずかしいからである。(明かしてみたい気持ちもあるが、まだ恥が上回っている)


「ヤマトの仮の名前何にしようか?」

「仮の名前って言っても・・・、ああああ、とか」

「それこの前見たドラマから来てない?あと、普通に呼びづらいと思うよ」

「でも他には・・・」


寝落ちするまで相棒と話し合った結果、ヤマトが変身した時の名前はトヤマになった。

トマト(語感)とトヤマ(並び替え)とヤマトタケル(相棒案)の選択肢の中で選ばれたのが、トヤマであった。


後に富山県の事を思い出し後悔するが、それはまだ未来の話。



一方、その猫の仮面の彼女は相談していた。


「私の名前どうしよう?」

「入学前に改名ですか?」

「そんな訳無いと理解してるだろ」

「そりゃあもちろん」


肉じゃがと卵焼きとオーロラソースサラダと味噌汁という皿数は少ないが夕飯としては十分なメニューを啄きながら南條に相談する桃香。


「実は今日初めて戦いに介入してさ」

「おお!どうでした?華麗にバッサリと行けましたか?」

「いや、その、そこそこ互角にやり合ったからそこまで・・・」

「あちゃー。まあ、初戦なら仕方ないという所ですかね」

「それで、名前聞かれそうになってさ」

「逃げたと」

「はい」


素直に告白した桃香に対して南條は生ぬるい視線、少し不出来なくらいが可愛気があると考えている大人のような目を向ける。

桃香は少しイラッと来たが、甘んじてその視線を受け止めた。


「確かに、考えてませんでしたからね」

「・・・そうなんです。どうすればいいと思いますか」

「セーラーキャットで」

「明日の朝食青汁にしてやろうか」


南條の胃袋を掴んでいる桃香の武器はもっぱらメニュー決定権の乱用である。


「まあまあ落ち着いて。そんなことをしてはいけませんよ。先輩は何か考えたんですか?」

「・・・セーラーじゃないけど、月とか夜に関する名前は良いなって思ってる」

「例えば?」

「・・・・・・月光、とか」

「うーん、シンプル。その名を冠してるキャラはいったい何人いるのでしょうか」

「・・・やっぱり、そう思う?」


自分の始まりが夜である点から名前に夜か月を入れたいと考えた桃香だったが、人類と共に歩んできた月は多くの人が引用してきており、思いつく単語全てがパクリのように感じてしまい決められなくなってしまっていた。


正直、南條としては気にしなくていいのではと思ったが、一応真面目に相談に付き合い続ける。


「そういう所細かく考えちゃいますよね、先輩」

「いや、だって・・・」

「では私が決めて決めて差し上げましょう。心の準備はオーケー?」

「う、うん!」

「先輩の源氏名は・・・猫月です!」


猫の仮面を被っているから猫月である。

桃香は箸を置いて頭を抱えた。絶対に前例がいると思ったからだ。

源氏名という呼び方にツッコミが来ない点から、南條は(あ、これ結構深くまで嵌ってるやつだ)と嫌な予感を得た。


「ご飯食べてくださ〜い」

「いや、でも、猫月って、絶対にいるじゃん!猫と月を組み合わせた安直な名前が未だに発掘されて無いわけ無いじゃん!」

「月猫にします?」

「どっちも一緒な気がする・・・!」


手元のスマホで調べると、どちらも人物だったり曲名だったりが出てくる。その事実で更に桃香の体が捩れる。

底なし沼に自ら飛び込んだ桃香に対して、南條の対応はどんどん適当になっていく。


「めんどくさい人ですね〜。じゃあ先輩の案と合わせて、月光猫にしたらどうですか〜?」

「げっこうびょう・・・いや、げっこうねこ・・・?」

「響き的にはねこ読みの方が良いですね。びょうだと病気っぽいですし」

「月光猫・・・。なんかそういう種族っぽいけど、悪くは無い、か?」

「そうですよー。悪くないですよー。だから早くご飯食べましょう?」


桃香が苦悩している間に食べ終わった南條は、早くデザートが食べたいので適当に相槌を打った。

桃香が食べ終わらないとデザートが出ないためである。


「月光猫、うん、月光猫。少し長い気もするけど、これで行こう!」

「わー。それじゃあ」

「あ、でもこれ英語読みするとさ」

「まだ続くんですかー!?」


南條のデザートはもう少し先にある。



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