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快晴な土曜の朝、南條家に迎えに来た両親に車で拾ってもらい、学校指定制服が販売されている店に向かっている。
「麗華ちゃんとの生活はどうなの?メイドとしてしっかり出来てる?」
「母さん、そのセリフを良く素面で言い切れるね」
「何言ってるの。そうするって決めたのはあんたでしょ?」
「斗也がそこまで家事が得意だとは知らなかったからなぁ。知ってたら家の大掃除に巻き込んでいたのに」
「そうよね。お父さんと二人で大掃除するの結構疲れるんだから」
両親に攻められている桃香は心のなかで、タンスとかの重いのは俺がいた時にやってたじゃん、と思っていた。
しかしそんな言葉は微塵も出せず、簡単に真相を述べた。
「まあ別に得意とかではないよ。掃除は掃除機と魔法でやってるし、料理はネットのレシピそのまんまだし。」
「魔法で掃除?」
「そ。染みとかの取り方は調べても良くわからなかったり、取り切れなかったりするから魔法で消してる。あと、天井とかもはたき落とすと電化製品に悪影響ありそうだから魔法でサッと」
このような掃除を受けた結果、南條家の清潔さは家主の知らないうちに世界トップクラスになっているのだった。
この話を聞いた母は言う。
「じゃあ今度うちも掃除していってちょうだい!」
「ええ?」
「流石に20年も住むと取れない汚れが増えてきたのよ〜。色んな洗剤を試したけど深くまで染み込んでるのとかは落ちなくて」
「一応リフォームも考えてるんだけどな?それも基本的に外枠と言うか、家の中までやってもらうのは考えて無いから桃香の魔法で綺麗になるなら助かるよ」
「まあ、良いけど」
最初は少し面倒だなと思ったが、これまであまりしてこなかった親孝行をするかと思い直し、了承した。
その流れで引き払う斗也の家に関する話も行い、結果、今日一日で両方の掃除をするのが決まったのだった。
制服の販売店にやって来た桃香は大まかなサイズを合わせてから、細かいサイズ調整をしてから受け取るか?と聞かれたが2日後には編入だからと拒否した。
在庫の関係上少し大きめだったが、桃香的にはなんら問題なかったのである。(いざとなれば魔法で調整しようとも考えている)
そして予定より早めにサイズ合わせが終わったので早めの昼食を摂り、そのままかつての家に戻ってきたのだった。
「じゃあ車で言った通り、ゴミはゴミ袋に入れて、それ以外は全部私の巾着袋にそのまま入れるから」
「本当に何でも入るんだなぁ・・・○ラえもん並の便利さだ」
「うちの物置も預かってもらいましょうか」
「いや、物置なら物置いといてよ。袋は一つしか無いし、私だってそこまで暇じゃないんだから」
このままだと便利道具として引っ張りだこになりそうだと思った桃香は拒否権を発動した。
掃除くらいならばすぐに終わるし1年に1回で十分だから構わないが、アレが欲しいコレが欲しいと言われて飛びまくる生活は勘弁というものだった。
「じゃあせめて物置にしてる部屋の物くらいは駄目?」
「頻繁に呼び出されるのを防ぐために拒否ってるんだが?」
「そこはサービスで!」
「嫌どすえ」
「うちの息子はこんなにケチだったかしら・・・?」
「父さん」
「父さんに振らないでくれよぉ・・・」
親子の語らいをしながらも手を止めずにゴミと取っておくべきものを分別し、大型の家具のみが残った。
「これは業者に渡すでいいのか?」
「流石にタンスとかまで短時間で無くなってたら怪しまれそうだし」
「意外と気にしないと思うけどねぇ」
「パソコンとテレビはともかく、タンスは使い道無いでしょ」
「確かにそうだな。父さん達もいらないし」
桃香の魔法もあってまたしても予定より早く掃除が終わったので、そのまま一部の電化製品の相談を始めた。
「テレビいる?」
「うーん、いらないんじゃないか?」
「そうねぇ。それこそ桃香の方がいるんじゃない?麗華ちゃんに聞いてみた方が良いと思うわよ?」
「こっちのテレビの方が大きいからいらないと思うんだよね。個人の部屋に置く気無い、というか入らないし」
良いお値段のする南條家であっても、個人の部屋に40インチのテレビが入るスペースは無いのだ。
「そうだ、藍子に聞いてみましょう」
「あ、それなら電子レンジとかも聞いてみて。もしかしたら複数欲しがるかもしれないし」
「あら、あなたはいらないの?」
「料理するのが一人なのでいらないです」
「じゃあ、テレビ、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機で聞くわよ?」
「おっけ」
かつて「これから10年使えば実質年額1万5千、月額千円ちょいのサブスクみたいな物だから・・・!」と自分に言い聞かせながら買い集めたそこそこ良質な家電達に未練を抱くことなく手放す。
それは魔女に生まれ変わったからか、手元に大金があるからか。
ただ、大学卒業してから初めて組んだ自作パソコンだけは手放さず、なんなら誰にも言わずにグレードアップ計画を立てていた。
「めっちゃ欲しいそうよ」
「じゃあ今度シェア相手がいない時に渡しに行くよ」
「やっぱり便利ね、うちの娘は」
「ただの廃品回収なら物置の中身も預かるんだけどね」
「それなら普通に捨てるわよ」
母娘の会話と共に袋に吸い込まれて行く洗濯機や冷蔵庫を見ながら父はぼそっと呟いた。
「普通は洗濯機とかも業者に頼むと思うんだけど・・・」
結局、捨てるのが面倒だからタンスなどを置いていく理由付けをしていただけだった。




