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4:逸心「キモい俺」を変えた3年間


俺と逸乃は、保育園の頃から一緒だった。

「逸、今日はザリガニとりにいくっちゃよ」

気づけば毎日名前を呼ばれていた。

「あんた達、てげ仲がよかっちゃね」

近所でも有名だった。

「逸乃ちゃんお姉さんになってきちょうが、逸心は男の子同士で遊ばんとね?」

そう言われた時は高学年。授業でも男女分かれることが増えた。

それでも俺は逸乃と離れることはなかった。

女子グループが男子と距離を置くようになっても、逸乃は変わらなかった。

登校も、下校も一緒だった。

休みもお互いに家を行き来したし、

山にも、川にも遊びに行った。

挿絵(By みてみん)

「また逸乃?キモいんだけど」

クラスの女子。

背中に冷や水が流れた気がした。

逸乃まで変な奴扱いになる。

「俺……キモいままじゃいけない」

ただ、その時はどうしたらいいか思いつかなかった。

そんな最中(さなか)、逸乃は父親の赴任先の神奈川に引っ越してしまった。

中学に上がる直前に、母さんにねだってスマホを買ってもらった。

その日の夜、保護シールをはがさずに「リア充・高校男子」と検索した。

イメチェンの王道といえば、やっぱりコレからだろ。

「俺革命」は母ちゃんに相談済。

「逸、1000円カット卒業やじ、母ちゃん、ちゃんと美容室、予約しちょいたから、行ってきな」

差し出された紙幣は、同じ1枚でも頭文字は5のお札。

「予約していた原田です」

「は?」と返答するベテラン爺さんに任せて帰宅後、母ちゃんが想像以上に驚いた。

「逸、その頭、カツラダ理容店行ったっちゃろ!そこ行ったらみんな同じ頭になるっちゃが」

お釣りを返したが舌打ちされた。

確かにこの髪型はクラスに3人……野球部。

髪型は3ヵ月後に美容室に行き、若い美容師さんに緊張したが、リベンジを果たした。

親戚のおばさん家で習字も始めた。

部活は運動が苦手だったから筋トレをYouTubeみながら家でやった。

情報収集のために「情報処理部」にも入った。

女子がどんな男子を好きになるのか調べた。

俺の知っている逸乃は、まだ誰かを好きになる気配がない。

それでも。

逸乃の横にいても恥ずかしくない男になりたい。

好物のチーズ饅頭も減らした。字も少しだけ奇麗になった。

とうとう中2のバレンタインデーにはチョコレートを2つもらうまでになった。

(違う学年の女子だけど)母ちゃんが感動してたもんな。

返事すんのすっかり忘れて「最低」とは言われたが「キモい」より昇格した気がする。

中3になって「逸乃ちゃん、角川(かどかわ)高校(こうこう)受験に来よるって」母ちゃんから聞いて運命だと再確認。

受験会場で、頬に赤みのある女子が視界に入ったが心臓が一瞬だけ跳ねる。

目を逸らした。


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