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番外編 小野寺さんの物語(後編)

「美鈴は雅人(まさと)とどうなったと?」

ぎくっ……。

「んーあんまり進展は無いかも」

アハハ、と苦笑してみせたがそうはいかないようである。

「美鈴、優良株だと思うよ?感じいいじゃん、彼」

なんでも思い通りに進めたい症候群め……私はそれどころじゃないんだよね。

あ、やっぱり(ひいらぎ)、絵、書いてるな。

無意識に柊のチェックをしている自分に気づく。

興味だよ、興味、共通点がいくつかあるから、と自分に言い訳するのも変だけど。


「今夜も“りんちゃんねる”にようこそ!」

金曜日が来た。一週間早い。

「アキラ、ありがとうね~、ゆずっちも皆勤じゃね?モコちゃんも、ばんわぁ~」

常連は大事にしなきゃね。

「ん?そそ、読んで欲しい本あったら教えて、タイトル教えてくれたらリクエストに応えるよ」

本読みが好評で調子がいい。

「はい?なに?女子高生の……ダメダメ、エッチなんは無し」

「熟女の……だからエロはダメだって、マジで、冗談キツい」

最初は笑ってたけど、コメント欄が乱れ始めた……なんでこうなるの?

「……うん、ゆずっち、ありがとう、アキラ……そうだよね、わかった、大丈夫」

常連の子達は無視してOK、と励ましてくれる。

「じゃ、こないだの続き、読むね、いまもらったリクエストの何個かはチェックしとくね」

平静を装い、読むことに集中する。

「では良い週末を!来週も遊びに来てねっ、ばぁ~い」

視聴者が一気に減った日になった。

「美鈴、気にしなくていい、ライバーあるあるだから」

姉ちゃんがいるから私はライバーができる、と思わされる。

「りんの常連、すごくいい子達じゃない?大事にしよ?」

そうだ、私は趣味を超えて目標にするって決めたっちゃ。

翌日、土曜日のバイトは昼間で、披露宴だった。

流れもあるし、忙しくて大変だった。

柊が料理の仕上げの盛り付けをしているのを見て“職人”みたいで笑えた。

「美鈴ちゃん、急だけど、明日の披露宴入ってくれんと?大学生が用事があったとか言って、ドタキャンしよったんよ」

綾ちゃんがすがるように私に頼み込んできた。

「そりゃ大変っちゃが。調理場は恵子ちゃんに応援頼んだで、(テツ)君そっちに行ってもらおか?」

「時々入ってもらってたから行けるっちゃろ、頼める?」

康っちんが拝むように柊に手を合わせている。

「……わかりました、じゃ、明日出ます」

お……明日は白装束じゃなくて、柊の執事コスプレだ。

私はのんきに明日のバイトが違う“楽しみ”になってしまった。

「お疲れ……です」

柊も明日が出勤になったので今日は上がりらしい。

「お疲れ様ぁ~」

先週より断然気分がいい私。

「小野寺さん……大丈夫だった?」

「うん、もう慣れるしかないっちゃない?柊は調理場も宴会場も両方できるっちゃね~」

感心しちゃう。

「いや、違っ……昨夜の配信で……あ……いや……」

へっ?配信?

血の気が引くとはこういう感覚なんだ、と思った。

「あんた誰ねっ」

気が付いたらそんな言葉を投げてた。

「ごめ……ごめん、誰にも言わんって。約束する。ただ心配になって、じゃ明日」

柊は逃げるように小走りで門を出て行った。

入れ替わりで姉ちゃんの車が入ってきた。

「待たせた?お疲れぇ、……どした?」

……助手席で、冷えたミネラルウォーターでクールダウンした。

「へぇ……さっき走ってったアナグマ、テツだったんやぁ……可愛いっ」

郁ちゃんといい、姉ちゃんといい、どこから“可愛い”が出てくるん……。

「なんで私が()()ってバレたんやろ……ライバーなんていくらでもいてるし……」

「そりゃ同じクラスやろ?声をよく聞いてるから似てるなぁ、……で思い込んで言ったんじゃない?」

「そっかぁ……それかなぁ」

「心配してるテツに“あんた”呼ばわりとか可哀そうな……あ、明日、帰り一緒に乗っけて帰ろう。電車で来てるんやない?私、テツと喋りたいし、お礼もしたい」

……え。

「そんな、急に、ええ……」

「は?別に喋るの私だから美鈴は後ろで寝てたらいいでしょ?」

私もなんで動揺したんかな……。


「今日、帰り、テツのせて帰るから止めといてよ」

姉ちゃんは私に釘を刺してバイトに出て行った。

「なぁ、私ってそんなに声が凄いんかな?」

昼ごはんをママと一緒に食べていて、何気(なにげ)に聞いてみた。

「ん~それは人によって違うけど、印象がいいって思われるのは間違いないみたいね」

「ブスでも?」

「あんたなぁ、前からそればっか気にしてるけど、ブスじゃないって」

「大人は気遣ってそう言うもんやろ。柊だって、どこが可愛いんよ、思うもん」

やば、言い過ぎた。

「そりゃお世辞言う人もいるやろうけど、本当にそう思って言う人もいてる。ほら、つい”可愛いぃ”って思った瞬間口に出す、ってあるやろ」

確かに……私もこないだ柊の絵が凄かったから口に出してた……。

「ママ、同じ会場の司会やし一緒に行こ。16時半に打ち合わせがあると。間に合うように準備しといて」

時間が近づいたころ、ママはリビングで身支度を始めた。

私は洗面所で歯磨きをしながら自分の顔を見る。

どうみてもブスでしかない。

「お、美鈴、惜しいやん、ちょっとかして」

眉毛描いてたら後ろを通ったママが私の前に回った。

「こうやってボカすと自然になる、簡単やろ?いいっちゃない?」

ほぉ……ちょっとイイ感じに見える。

「なんでも難しい思うと難しい、できる、思ったらできるようになる、してみるこっちゃ」

少し眉毛を足しただけでテンションあがった。

笑った顔が可愛く見えた気がする。


「美鈴ちゃん、今日は雰囲気違う」

実里さんが私をジッと見て言った。

ちょっとしたことでそんなに……。

「おはようございます」

わぁ……なんか、ムズムズする。

学生服でも白装束でもなく“執事”の柊。

「今日はイケメン(てっ)ちゃんや」

郁ちゃんも嬉しそう。でもイケメンは言い過ぎ、あ、郁ちゃんにとってはそうなんかな。

柊が私の顔をジッと一瞬見たからびっくりして目を逸らした。

「ミーティングするぞ~」

康っちんも私の顔を見て、また目を丸くした。

眉毛大事なん、……わかった。

まともにジロジロ見れないけど、柊も背筋伸びるんや、と思った。

「ミスるなよ、合図したらグラスにシャンペン注ぐんやぞ」

後ろのドアの前で、康っちんがみんなに注意を促した。

最初は少し手が震えたけど、シャンペン注ぐのカッコイイって思えて今は好き。

「こないだのこと、ホントに、誰にも言わんから……」

横に立つ柊がボソっと言った。

「ん~ん、心配してくれたのにあんな言い方して、私が“ごめん”だった」

顔をあげて、蝶ネクタイの柊見たら面白くて小さく吹き出した。

「おかしい?」

「うん、意外で笑えた」

なんやろ、またムズムズした。

「よし、行け、あとは綾の合図を見ろよ」

康っちんがドアを引いた。

披露宴会場は、ハッピーオーラが溢れてるから雰囲気がいい。

「失礼いたします」

私は一流ホテルマン気取りで、ややトーンを控えつつエレガントな声を意識した。

「えっ、モデルさん?」

中学生くらいの女子にじーっとみられて、ちょっと気取ってみた。

「料理来てるで~どんどん運んでって」

郁ちゃんが歳を感じさせない動きをしている。

「哲君、アレルギーの人の料理、これっ」

柊が料理を運ぶ姿を時々目で追っていた。

「今ダンスで盛り上がってるから5分だけ水分補給して」

それぞれ荷物の置いてある非常階段に行く。

私と柊が遅れて出た分、先に休憩した人と入れ替わりになる。

薄暗い非常階段に、二人がペットボトルのキャップを開ける音が響く。

「久しぶりで緊張した……」

柊の言葉にホッとする。

「柊クン、りんが応援してるっちゃよ」

ふざけて宮崎弁で()()をやってみた。

「え、ええっ」

柊が嬉しそうに笑った顔に心臓が大きく跳ねた。

柊ってそんな顔で笑うんや……いや、窓からさす月明りの照明のせいやろ。

「みんなありがとう、乗り切ったぁ!高校生は時間だからあがって」

凄まじく忙しかったけど、やり切った感と、何かワクワク感が抜けずにいた。

「柊、電車で帰るん?」

靴を履き替えながら声をかけた。

蝶ネクタイのない、ボタンを二つはずしたラフな首元にドキっとした。

「うん、駅まで軽く走る」

「あ、待って、姉ちゃんが柊に、お礼をどうしても直接言いたいっていうから……」

そんなんいいのに……と言った柊をなだめて一緒に勝手口近くで待つ。

「俺、りんのファンでさ、マジで応援してるから、さっきの嬉しかった」

「そ、ありがと」

褒められてるのに、なんか違和感。

「あ、あの車」

姉ちゃんが窓をあけて助手席に座るように柊に声をかけた。

「ありがとうございます」

言いながら助手席に乗り込み、シートベルトを装着する。

「こっちがマジでありがとうなんやて。お礼言えて良かったわ、マックに寄ろうか、なにがいい?」

「私バニラシェイクがいい」

「OK、柊君もドライブスルー見えるまでに決めてね」

姉ちゃんは嬉しそうにいろいろ柊に話しかけてた。

私は入れずに後ろから柊の頬と前髪だけチラ見していた。

「でもさ、いくら声を普段聞いてるっていっても、なんでりんってわかったん?」

私も聞きたかったとこ!

「もちろん、小野寺さんの声って特徴あるし、普段からいい声って思ってた。りんの声も一緒だけど、少し変わる……説明しがたいけど……。あと、衣装の一部は俺がデザインしたのってわかる時あったから」

なに……私の心拍が勝手に上がる。

「そこかぁ~確かに!私が部分パチってデザインに取り入れてた。テツのデザイン好きなんだよね~、あ、ごめん、勝手にテツって呼んでる。そっか、声フェチね」

声……フェチ。そっか、声が好き……ね。

「ほれ、美鈴、いつもの。テツはチョコかぁ、可愛いなぁ」

バニラシェイクでクールダウンのはずが、ムズムズが収まらない。

姉ちゃんと柊が楽しそうに喋ってる……。

柊がこの辺でいい、というところで車から降りる。

振り向くとまだ頭下げてた。

「なに?美鈴、なにかあった?」

家に入るなり姉ちゃんがいちいちうるさい。

「機嫌悪い理由が理解できんっちゃが……」

私も何にイライラしてるかわからんっちゃ。


「姉ちゃん、それは無いよ!急に酷いよ!無理っ、絶対無理」

「ごめん、どうしようもないこともある」

姉ちゃんの学校のイベントと、私のコスイベが重なった。

今までこんなことなかったから想定してなかっただけにショックでしかない。

「私ができることはするから……」

「一緒に行けなかったらメイクどーすんのよ、会場でするのがルールって知ってるやろ」

「美鈴っ、いい加減にしい!姉ちゃん悪くない、まるごと頼るからそうなるっちゃが」

ママに言われて居場所がなくなった気がした。

「もういいっ」

私は家を飛び出してトボトボ歩いていた。

わかってる……姉ちゃん全然悪くない……。

でも……コスイベ……。

「小野寺さん?どしたん?」

目の前で自転車から飛び降りたのは柊だった。

「え?柊こそなんで?」

「妹にファミチキ、母さんに牛乳買ってこい言われて」

パシリやん……。

「あはは、柊、パシらされてるん」

目をこすりながら吹き出した。泣いたり笑ったり忙しい……。

「そっかぁ……それはヤバいな……」

川沿いの団地の公園で柊が話を聞いてくれた。

「まぁ、ママが言うように人に頼り過ぎてたから仕方ない。今回は見送るかなぁ」

言いながら目にジワっときて視界がぼやけた。

「大分のコスイベやろ?大事なイベントや。なんとかできるかも」

「へっ?」

柊が私の顔を真っすぐ見てる……え?見つめてる?

このシチュエーションって……。

「思いついた」

え?

「俺が()()の為のオリジナルのマスクつくる」

顔が熱くなってるけど、思ってたのと違ってた。

「今度、りん、えっと、小野寺さんのスケッチ書かせて」

ボー然としながらも言われるがまま約束をして、それぞれ家に帰った。

姉ちゃんに謝って事情を説明したら興奮して喜んでくれた。

配信も落ち着いてきた。

朗読から脚本に変わりつつあるくらい。

3人でカラオケボックス行って、打ち合わせして、顔に合わせて何度も作り直して、たまに私が歌って場を盛り上げたりして、すごく楽しんだ。

「完成した!最高にかっこいい!」

姉ちゃんが絶賛した。

さすが柊のセンスだし、唯一無二のキャラって言われて感動したくらい。

「どうする?コスイベで披露する?」

まだ柊には見せていない。

「金曜日の配信で、私を応援してくれてるみんなに一番に披露する」

「美鈴、りん、最高」

また姉ちゃんがドラマみたいに私を抱きしめた。

姉ちゃん、私に甘すぎ……柊も。


「こんばんわぁ!りんちゃんねるの時間だよ~」

いつものテンション……より少し上げ気味で配信スタート。

「ん?りんの姿が見えませぬか?……今宵は重大発表をするのだ」

コメント欄に期待の言葉とスタンプが飛び交う。

「私、りんは、「声」で勝負するために集中したいから化粧で自分を偽るのやめます」

さまざまなコメントが凄いスピードで入る。

「新しい決意とりんを、応援してくれているみんなに一番に見てほしかったんだ」

私は頭に被せていた黒い布をはずした。

コメント欄は騒がしいまま。

「ありがとう、ね、いいでしょ?うん、そそ、顔には化粧してない、装着だけ」

温かいコメント欄にジワるけど今日は泣かないと決めた。

もちろん厳しいコメントもとんできた。

「そう、結局顔を隠してる。それは、私が弱いから。正直、まだ、自信ない……」

握りしめた手、さらにギュッと力を入れる。

「アンチを気にしないなんて無理。こわい……、だからこのマスクは私にとって“盾”私を守ってくれる。自分をちゃんと守りながら強くなりたいって。応援してくれる人、大切にしたい人と……自分の為に決めた。私、声優になる。夢じゃなくて目標だよ?うん、みんなのお陰。実はこのマスクもファンの子がデザインしてくれたんだ……。心からみんなにお礼を言うね。ふふ……そそ、アキラ、最初の頃からだよね、いつもありがとう、モコ、かわいいスタンプいっぱいありがと、ゆ……ゆずっち、マジ支えてくれてありがと、大切に使わせてもらうね。あ、いや、もちろん、みんなだよ」

今回の配信はちょっとしんみりもしたけどたまにはいいよね。

ゆずっち?柊だよね?届いたかな……。


「最近さ、美鈴雰囲気変わったことない?」

「雅人とうまくいってるから?」

は?

「月渚、どういうこと?」

「付き合ってんでしょ?美鈴と雅人」

音乃が知ってるかのような口ぶりで言った。

「そんな、つきあってるとかじゃないよ」

あわてて否定して、後ろの方で絵を描いてる柊に焦点を合わせていた。

「だって、隆志が言ってたもん」

隆志は月渚の現彼氏でジョイフルの時に一緒だった男子の一人。

「LINEでたまにやりとりしてる程度だけど?」

誤解だ、冗談じゃない。

「え~嘘ぉ、つまんない」


土曜日、バイトが終わった後に、柊が駅に向かっていたので後を追いかけた。

「お姉さんが迎えにきよるんじゃ?」

「一緒に帰らん?駅までいいっしょ?」

3人で何度か会ううちに私も柊と普通に喋れるようになっていた。

先にジョイフルで姉ちゃんが待ってるけど、柊には内緒。

「それは……そのヒロインが言うのおかしくない?」

「不自然か……」

柊がスマホにメモをとる。

時々、柊が書く漫画に意見を求められて、答えることがある。

「リアル女子に聞くと違うなぁって思うよ」

はにかむ柊の横顔を間近で見る。以前は想像もつかなかったろうな。

「柊、私……美鈴とりんって何が違うん?」

私……なにが聞きたいん?口に出した後に思った。

「うーん……俺からすれば小野寺さんは小野寺さんで、友達?りんは……なんていうか…アイドル?憧れで…応援したいっていう」

……だよね。

「どっちが“好き”って聞かれたら?」

「え……どっちって…」

……柊、困ってる。

「あはは、そこは“りんが好き”って言ってくれんと」

「うん、もちろん“りん”のこと()好き……当然ファンとして」

……で美鈴は?と思いながらそれは飲み込んだ。

「そうだ、こないだ配信でお礼言ったの伝わった?」

「あぁ、うん……残念、俺はゆずっちではない。でもりんの気持ちは伝わった、嬉しかった」

……バカや。

駅で姉ちゃんと待ち合わせしてるから、と、柊と分かれた。

「美鈴、こっち!あれ?テツ誘わんかったん?え、どうしたん、なになに?」

その後、私は奥のボックス席でしばらく突っ伏して泣いて、姉ちゃんを困らせた。

タブレットでオーダーをとりあえず通してから顔を洗いにトイレに行った。

ブスのくせに調子にのるから……鏡にむかって思った。

「ちょっとはスッキリした?」

「うん、ちょっとだけ」

いや、何が起こったのかよくわかってない。

「食べれる?チーズハンバーグきてるよ?」

感情がどうであってもお腹がすくことに嫌悪感。

「いただきます……熱っ……美味(うま)っ」

「今日はポテトも食べていいで」

姉ちゃんは……私に甘すぎる。


今日もママは帰ってこない。

部屋に入ってスマホがサイレントモードのままだったことに気づく。

また雅人(アイツ)からLINEが入ってる。

今度二人で会いたい……?デートに誘ってるっちゃ……。

遅い時間だけどいっか、と返信をうつ。

「雅人は美鈴のどこがいいの?」

送信をポチる。

明日返信くるやろ「声」って返事で。

「ひゃっ」

即レスにびっくりした。

「美鈴の声が好き」

ほら、やっぱり……私には声しかないっちゃ。

「じゃ、会わなくても声だけでいいっちゃろ」

ひねくれ返信じゃ、と送信したらまた即レス。

「俺は美鈴の声に恋してる」

なに恥ずかしいこと言うてるんコイツ、と思って返事を打ってたらまたメッセージが送られてきた。

「きっかけは声かもしれんけど、美鈴に恋してるのは間違いない」

ドキッとしつつ、打ってる途中の文字を消して打ち直す。

「恋ってなに?」

あ、私こそ恥ずかしいこと聞いてる。

「わからんけど、勝手にしてしまうもん」

その返信に吹き出して笑う。

泣いたり笑ったり……疲れた。

「面白そうやね、恋って」

そう返信して顔を洗いに行った。


「おはよー美鈴、今日、もしかしてリップ塗ってる?」

「うん、バレた?」

月渚も音乃も嬉しそうに笑った。

「美鈴が覚醒したぁ」

覚醒……なのかはわかんないけど。

ただ、以前より、「好き」に種類があることをちょっと知った気がする。

まだ上手に説明はできないけどね。


番外編、お付き合いありがとうございました……。来週からまた恋ロジの本編に戻ります。書いてるうちに「柊君視点」からも書いてみたいなぁと思った。口数少ないから何考えてるんだろう……というのと、ただ「優しいだけの男子ではなかろう」というキャラなんで、喋らせたい(私の勝手でしかない)あと雅人どーすんのよ、ってのでまた2年生になった頃にどうなってるか、彼らの事追ってみよう思います。さて逸乃と逸は夏休み、なにかあるんでしょうか……書いた私は、楽しかったです。

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