精霊王が見張ってる
アバタードラゴンが今の俺の護衛なので一緒に学校に行くとやっぱり奇異の目で見られる。
今まで連れていたブレイドとは違うドラゴンだからか警戒しているようでもあるし、どんなドラゴンなのか興味があるようにも見える。
そして多分1番気になるのは……俺の頭の上にいる事だろう。
よく分からないんだがアバタードラゴンは怠け癖が付いているように感じる。
最初は俺の隣を歩いていたが、疲れたのかその場で伏せて動かなくなったので抱っこしたらよじ登ってきて頭の上でくつろぎだした。
面倒臭いから、なんか思っていたより重くないから、そんな理由でそのまま頭の上に乗せて学校に来た。
おかげでまぁ、すれ違う人みんな俺の頭に注目していた。
でも落ち着いているのも間違いないので放っておく。
何かしてほしい訳じゃないしな。
でもこのドラゴンの大元が一体どんな存在なのか、それに関しては気になる。
トークンカードなんて今までないカードが出てきたから余計に気になる。
調べたいとは思うがどうやって……あ。
放課後ホディに頼んで精霊図書館に一緒に行った。
ここならアバタードラゴンについて分かる事があるかもしれない。
「あら、レムのマスターが来るなんて珍しい事もあるのね」
「ちょっとこの子について調べたくて」
頭の上で鼻提灯を膨らませているドラゴンを指さすとシュレーディンガーも表情を引きつらせる。
「その子どうしたんです?」
「新しい精霊を召喚しようとしたら分霊であるこの子が召喚されてな、一応この子の本体がどんなもんなのか知りたくて図書館に来た」
「……はぁ。ヴォルケニス様、お戯れはそこそこにしてください」
ヴォルケニスと言うのか、アバタードラゴンの本体は。
しかしアバタードラゴン自身はまったく気にしていないようでいまだに眠り続ける。
「こちらにいらしてください。詳しい資料をお貸しします」
そうシュレディンガーが言ってくれるのであとをついて行くと、何故か通されたのは絵本があるブースだった。
「ここは?」
「精霊世界の始まりから現在にまで続く神話です。人間の方にも分かりやすいように絵本など様々な形で記述されています。例えば……この辺りが分かりやすく、読み終えるのも早いでしょうか」
そう言って渡してくれたのは絵本が1冊、事実だけを書いた資料が2つ手渡された。
「…………何故絵本?」
「1番早く読み終えるので。もっと詳しい事が知りたくなったらそちらの資料をお読みください」
そう言ってシュレディンガーは行ってしまった。
残された俺とアバタードラゴン。
とりあえず渡された物に情報は書いてあると思うからアバターをテーブルの上に置いてから絵本を読み始める。
要約するとこんな感じ。
火、水、土、風、光、闇の精霊達が居た。
彼らは人間の世界を作り、ただ見守っている。
もし人間が世界を壊すような事をした時、それを正すために動く。
それまでの間6体の精霊は分霊を人間の世界に放ち、今も世界を見守っている。
…………要約しすぎた感じがするが、実際この絵本には戦争とかそういう事は一切書かれておらず、あえて言うなら人間世界の天地創造物語しか書かれていない。
で、その人間世界を生み出したのがこのアバタードラゴンの大元だと。
ただこの絵を見る限りもう1体気になるのが居るんだよな。
それが水の精霊。
何と言うかユキヒョウのような姿で真っ白なネコ科の猛獣が描かれている。
これまさか屋敷に住み着いたあの白猫の事だったりする?
そうなると我が家にとんでも精霊の分霊が2体存在する事になる。
というか水なら魚とかにしろよ。せめて海洋生物。なぜ猫??
あと他の連中は土は亀、風は蝶、光は鳥、闇は蛇の絵が描かれている。
何でこの精霊達動物の姿に拘るのかね?人間世界に似た生物をまねたのか、それとも進化の過程で似ただけか。
擬態説もあるよな~突き詰めていくと。
とにかくこの6体をさらに調べるため詳しい資料を見てみると、名前もしっかり書かれている。
火の精霊王、ヴォルケニス。
水の精霊王、エベリトス。
土の精霊王、プレニス。
風の精霊王、ウィントス。
光の精霊王、セイントス。
闇の精霊王、インニス。
風の精霊王の詳しい絵があれだな、ぶっちゃけモスラ。
蛾なのか蝶なのかは分からないがそんな感じ。
あ~でも日本でも蛾と蝶の区別ってはっきりしてなかったよな。
あと全員スが付くのってなんかルールあんの?それとも仲間意識を強めるために誰かがそう名付けた??
くだらない疑問は浮かんだがこいつら全員チートっぽいんだよな。
例えばヴォルケニス。火山の化身であり怒ったら火山爆発させると書いてるんだけど。恐しいもんが俺の護衛してるじゃん。スピリット達も大概かもしれないけど。
でも同時に本当にこの寝てばかりのドラゴンが本当にこの威厳のありそうなドラゴンの分霊と言うのも信じがたい。
だって絵本とか資料には結構カッコよく描いてあるんだもの。
それが俺のすぐそばで寝てばかりいるドラゴンとイコールで結び付けられるかと聞かれると……やっぱり信じがたい。
それとも召喚されたのは本当に何らかの手違いだったのか?
そう疑ってしまう。
一応知りたい事を知ったのでホディ達と一緒に図書館を出た。
「お帰りなさいあなた。少し遅かったけど何かあった?」
「ちょっとアバタードラゴンに関してホディに協力してもらって調べてきた。なんか大元は凄いっぽいぞ」
「そうなの?この眠そうな子が?」
「それに関しては同意。でも館長さんがしっかりその大元の名前を言ったから間違いないと思う」
「そう。それで名前は?」
「ヴォルケニス」
「……絵本出てくる神様の名前ね。まさか実現していたとは」
「図書館の情報によれば火の精霊王らしい。怒ったら火山爆発させるって」
「……怒らせないようにしないと」
それに関しては同意。
だが少し気になった事もあったので裏にはでそのまんまにしてある魔方陣に再び魔力を流して召喚してみる。
また魔力を消費した感じはなく、あっさりと出てきたのは鳥だ。
黒い嘴に羽の先と尻尾の先だけが黒い鳥。
「こいつ鶴じゃなくて……何て鳥だ?」
「これ多分コウノトリじゃない?」
「コウノトリってあの大人が子供に赤ちゃんはどこから来るの?で有名な?」
「知識でしか知らないけど……思っていたよりも小さいのね」
確かにどことなく成体っぽくないと言うか、雛っぽい。
それは羽がまだふわふわとしたものに包まれているからだろう。
歩く姿もヨチヨチと言う感じで足元がおぼつかない。
そっと両手で包むように乗せればピヨピヨ言いながら俺の事を不思議そうな表情で見上げる。
「俺と契約してくれるか?」
そう確認するとこの子のカードがフィールドに現れる。
そして予想通りトークンカードとして現れたのだからもう確定だろう。
精霊王と呼ばれる存在達が俺に注目している。
おそらくこの鳥は光の精霊王の分霊だろう。
そして注目している理由はスピリット達を従えているからか、それとも俺の力が危険と思い確認しに来たのか。
何なのかは分からないが一方的に監視されるのも気分が悪い。
いつどこで見られているのか分からないくらいなら、こちらから招いてどこで俺を見張っているのか分かっている方がまだいい。
この鳥の雛に関してはノアの近くに置いておく方が良いかな。
『名前 アバターバード
カテゴリー トークンスピリット
コスト 0
種族 想像獣 分霊
レベル1 魔石1 BP4000
※このカードはデッキに入れられない』




