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ホディ達の後ろ盾になる

 その後眼鏡を中心に俺へのアピール合戦の様な物が発生した。

 合戦と言ってもアピールしている者同士が争っているのではなく、俺対彼らと言う感じ。

 何故そんな構図になっているかというと、俺があらゆる贈り物を突っ返しているからだ。

 誰からも贈り物をもらっていないので何が好きなのかも分からず、他の人に聞いても答えられないという状況が続いているらしい。

 まさか貴族の学校で独りぼっちを貫いている奴なんて普通いないから誰か氏らから情報を得られると思っていたら、みんな知っている事以外誰も知らないという奇妙な状況になっているとか。


 だから手探りで美味い物があるとか、宝石がどうとか、そんな話題を出してくるがどれも興味はない。

 面倒臭くて無視し続けていると1人また1人と諦めていく。

 そして最終的に眼鏡の子だけが残った。

 だが以前と同じように毎日ではなくある程度間隔が開いてからアピールするようになった。

 どのような変化なのかは分からないがおかげで仕事や他の事にも時間が使える。


 そう思いながら図書館で少し調べ物をしていると、眼鏡を中心に彼らが集まっていた。

 少し遠くから覗いてみると、何かを見比べながら本を読んでいる感じ。

 もしかして辞書で調べながら読んでいるのか?

 その姿はまるで考古学者のよう。

 分からない文字の解読をするという意味では同じかもしれない。

 そんな彼らはあーだこーだ言い合いながら少しずつ読み進めている。


 一体何をしているんだと思いながらもその場から離れた。

 自力で召喚できるようになったら俺は必要ないし、自然と居なくなるだろう。

 そう思いながら心の中でそうなる事を願った。


 ――


「アレックス様。召喚魔法を試したいので護衛していただけませんか」


 教室から出るといつもの眼鏡メンバーが俺に向かって言った。


「護衛……ねぇ。教師にでも頼んだ方が良いんじゃないか」

「場所を借りる事は出来ましたがそこまではしないと……いざという時のためにお願いできる当てがあなたしかいなくって……」

「そんなに仲良くなった覚えはないが」

「いくらですか」

「なに?」

「いくらで護衛を引き受けてくれますか」


 ……なるほど、そう来たか。


「ちなみに引き受ける気がないと言ったらどうする」

「その時は私達だけで行います。他に頼る相手もいませんから」

「……いいだろう。あと依頼料は要らん。後ろでお前達が本当にできるようになったのか見届けさせてもらう」

「ありがとうございます!!」


 という事で彼らの成果を眺める事にした。

 学校が用意した場所は石畳の地下室であり、その床にチョークを使って円を描いている。

 みんなで協力して描きましたっという感じで字がバラバラだ。

 でもこれでも召喚できるのか、こういう視点での召喚は見た事が無かったので後ろでのんびり眺めさせてもらう。


「それでは、召喚します」

「やってみな」


 魔方陣を描いてあるので詠唱なしで召喚できる。

 一体何を召喚するつもりなのか見守っていると、小型の妖精が召喚された。

 その様子に大喜びする眼鏡達。

 それでいいのかとも思ったが彼らが喜んでいるのだからそれでもいいのだろう。


 そしてどのように契約するのか見守っていると、何故かカードを取り出した。

 イラストもコストも何も書かれていないカード……ブランクカードとでも呼ぶべきか?

 それに妖精が触れた瞬間ブランクカードはその精霊の姿がイラストとして現れ、カードの色はその妖精の属性だろうか?

 とにかく契約成功と共にそのカードは彼らの手に残り、妖精達はどこかに消えた。


 召喚及び契約成功に喜ぶ彼らだが、あのカードは何だ?

 母親が知っていれば契約するときに教えてくれていただろうし、知っていて当然だろう。

 という事はここ最近発見されたという事か?

 考えていると眼鏡が話しかけてくる。


「あの、今日はありがとうございました」

「……お前達が努力した結果だ。俺は何もしていない」

「それでもその、自分で調べろとか、教師に聞いてみろって言ってくれたのでここまでたどり着けました。教師の皆さんもみんながみんな、利益のためだけに動いている訳じゃないって分かりましたし」

「そうか。ところでさっきの白いカードは何だ?」

「え?このカードですか?契約するときに必要なカードですよね?」


 自然な流れだと思いながらブランクカードについて聞いてみる。


「それは何枚くらい持ってる?」

「何枚って聞かれると分かりませんけど……契約したいから必要だって思うと勝手に出てくるから……何枚あるのか分かりません」

「そうか。それは贈り物をもらった時にもらったのか?」

「はい。神様からもらった贈り物がこの白いカードで最初は使い方が全く分からなかったんですけど。飼育している馬と偶然契約できて、その時に召喚士だと分かりました」


 何故カードがこの世界に存在するんだ??

 もしかして俺がこの世界に転生し、カードの力をもらった事で神様が何らかのアップデートでもしたのか??

 それが不遇と言われていた召喚士であり、カードにする事でより召喚しやすくした??


「アレックス様?」

「いや、何でもない。じゃあな」

「え、あの!」

「努力してここまでこれたんだ。これからも努力してどうにかなるだろ」


 今回は本当に彼らを突き放しただけで何もしていない。

 良かったのはブランクカードの存在を知れたことだ。

 そう思いながら去ろうと思っていると、それでも眼鏡は話しかけてくる。


「それでも強力な後ろ盾が必要なんです!!」


 そう強く言った。

 少し興味が出たので聞いてみる。


「後ろ盾?それはエムリアール嬢の事じゃないのか?」

「確かにエムリアール様もそうですが、同じ召喚士の後ろ盾が必要なんです!そうしないと、僕達召喚士はこのまま上に行けず、満足に勉強も出来ない。学校に通う事が義務と聞いたのでそれだけでも貴族でよかったと思ってたのに、結局満足な教育を受ける事が出来るのは地位の高い貴族だけ。それだけでも、それだけでもいいからこの貴族社会を変えたいんです!!そのためには強力な後ろ盾が必要なんです!!だから私達の後ろ盾になってもらえませんか!!」


 そう言って頭を下げる彼ら。

 少し考えてみる。


 おそらく彼らの情熱と言うか、野心は本物だろう。

 満足に教育が出来なかった事で苦労して来たから他の人達にも同じ目に遭わせたくないように感じる。

 それその物は悪い事ではないが、明確に頭の悪い奴を残して支配しやすくしたいと考えているのが他の王族貴族と言っていいだろう。

 そういう連中に武力ではどうする事も出来ないぞと思わせるには確かに俺が最善だ。何せすでに王都を大混乱させられるだけの武力を持っていると言っていい。

 何より同じ召喚士だ。

 違う力を持った存在ではただのその影に隠れているだけと思われるかもしれないが、同じ力を持っているのであればそう思われないかもしれない。


「…………条件がある」


 条件という言葉に彼らは震えた。

 どんな無理難題を吹っ掛けてくるか怯えているんだろう。

 だから言う。


「お前達の残りの人生全て捧げろ。その条件を飲めるのであれば後ろ盾になってもいい」


 あまりにも大きな条件に彼らはもちろん怯んだ。

 本当に残りの人生全てを賭けてもいいのか、いいように使われて捨てられるのではないかと迷う。

 当然だ。

 もしここで何も考えずにすぐに「はい」と言うくらいのバカは流石にこちらもリスクが高すぎる。

 だがこいつらをここで引き込んでおけばリリアの計画のサブプランとして役立つだろう。

 サブプランは考えてはいたが、こいつらならできるかもしれない。


「……分かりました。残りの人生全てを捧げます」


 眼鏡が先にそう言った。

 他の者達は本当にそれでいいのかと聞くが眼鏡の意思は強そうだ。


「どうせこのまま男爵として生きていても何も変えられない。だからここで後ろ盾になってもらいながら召喚士として大成する!どうせ私は長男じゃないから家督を譲ってもらう事は出来ないし、独立してほしいと両親から言われてる。どうせ行き場がないならここで全てを賭けてみる。だからお願いします!!アレックス様!!」


 これは採用していいかな。

 こうして眼鏡と彼らは俺に人生を捧げた。

 大口を叩いた以上面倒は最後まで見る。

 あと召喚士として大成させるつもりはないけど、そこだけはごめんね。

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