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貴族内格差

 学園生活と言うのは意外とボッチだと平和な事に気が付き出来るだけボッチでいる。

 寂しい奴だ?元々そんなに友達友達いう性格じゃないし、1人で静かにしている方が好きだったりする。

 それなのカードゲームが好きなのは矛盾している?仕方ないじゃん。好きになっちゃったんだから。

 昼休みも飯を食った後中庭で昼寝でもしようかな~っと思っていると先客がいた。

 大人しそうな眼鏡をかけた子でその子は俺を見てすぐに姿勢を直し、頭を下げる。


 これじゃまるで暴君だな。

 でも余計な突っかかりがないというのが楽と言えば楽。貴族らしく貴族内で情報収集できないのは痛手だが……元々そんな陽キャじゃないしな~。

 見ず知らずの他人と話をして何が面白い?っと普通に思ってしまう。


 寝っ転がってブレイドも俺の隣で丸くなると眼鏡の子はようやく安心できると思ったのか姿勢を崩す。

 そのまま何かを見てはため息をつく。

 それを繰り返している。


 ぱっと見は……カード?でもこの世界でカードと言えばギルドが発行している証明書くらい。

 木のカードでギルドが承認していると書かれているくらいだ。

 あと本人のランクについて書かれているくらいだが……ため息をつくくらい低いとか?

 でもここ一応貴族の学校だし……冒険者する人いるのか?


 色々考えてみたが思い当たらない。

 まぁいいやと思いながら昼休みも終わり普通に授業を受けて帰ろうと思っているとエムリアール嬢が声をかけてきた。


「少々お時間をいただいてもよろしいですか」

「……まぁいいよ。どうかした?」

「サロンの方について来てください」


 この間仕事の話をしたのでしばらく来ないと思っていたが、もしかして何かトラブルが起きたんだろうか?

 そう思いながらサロンに行き、いつも通りのソファーに座って茶をもらうとエムリアール嬢が口を開く。


「今回私は顔合わせのために頼まれただけなのであとはこちらの方々と話してください」


 意味が分からず首をかしげるとエムリアール嬢の後ろに数名の生徒が並ぶ。

 その中の1人が中庭で見た眼鏡の子だ。


「お、お時間いただきありがとうございます!私はメタルディー男爵の子、ホディと申します!よろしくお願いします!!」

「……よろしく。え~っと、とりあえず座って話せるところに移動するか?」

「いえ、私達は立ったままで十分です!!」

「……顔合わせ辛いからやっぱり座って話そう。そっちが話しやすい所でいい」


 そう言って立ち上がっただけでワタワタする彼ら。

 これどう反応すればいいの?

 つい視線でエムリアール嬢に助けを求めると仕方なさそうに彼女の使用人が椅子を持ってきてくれた。


「それで、何が望みだ」


 改めてソファーに腰かけると、ホディと名乗った子がみんなに肘で突かれながら緊張しっぱなしで答えた。


「わ、私達に召喚魔法を教えてもらえないでしょうか!!」

「断る」

「即答!?」


 彼らはまたワタワタしながら「次はどうする?」っと小声で相談し始める。

 別に俺は意地悪や召喚に関する秘密を守るためだけに言っている訳ではない。

 理由は母親に口酸っぱくなるまで言われた事だ。


「この間の殿下のおバカ事件忘れたのか?召喚に成功したが制御できない魔物を召喚して騎士団と魔法師団が出張った話、忘れたとは言わせないぞ」


 語彙ごいを強めて言うと彼らはすぐに黙った。

 あの事件は国中にとどろいたと言ってもいい規模の事件だ。

 前に母親から聞いた召喚された魔物によって町が無くなった話が事実であると強く感じたくらいだ。


「召喚魔法を教える事そのものは別にいい。ちょっと調べれば魔法使いであれば誰にだってできる。だが俺がここで教えてお前らが実践し、その結果何人もの命が無くなるような事はしたくない。例えお前らの魔力量がへなちょこだったとしてもな」


 簡単な話し犬猫だって人間を殺す可能性は低くない。

 何せ医療技術だって低いのだからちょっとした化膿だと思ったら手足を切り落とさなければならないほどの大怪我になった、なんて後からなったらこっちが困る。

 それに狂犬病とかそういう病気のリスクだってある。

 そういう感染という意味も含めればネズミや虫であっても死ぬ可能性は低くない。


「殿下が召喚したような魔物は召喚出来なかったとしても、この王都に熊や狼を放つ事に繋がりかねない。召喚魔法について学びたいなら教師を頼ればいいだろ?教師なんだからな。それでもダメなら図書室にでも行け。召喚魔法の仕方くらい書いてあるだろ」


 もしこいつらが楽をしたいと思っているだけで俺に声をかけてきたのであればそりゃ大外れで見当違いだ。

 俺は教えてくれと聞かれれば何でも答えるAIじゃないし、聖人でもない。

 今まで頼まれてきたのは全員俺より地位の上の人間達だったからだ。

 そして商売の話に繋がりそうだったから。それ以上の理由はない。


 そう思いながら言うと彼らは何故か黙る。

 そんなに難しい事を言ったとは思わないが、その程度の意思なら何もしなくたっていいだろう。

 立ち上がろうとするとエムリアール嬢が口を開いた。


「それは無理ね」

「無理ってどれがです?」

「教師に教えてもらう事も、図書館で勉強する事も」

「何でです?図書館は生徒なら読めますし、教師だって教えるのが仕事でしょ」

「彼らはみな男爵で最も地位が低い。そんな相手に魔法や知識を与えて何の得があります?」

「……え、まさか識字率が低い理由ってそれ?」

「他にも余計な知識を得て王家に反逆する者を少なくするため、とも言われています。特に彼らの様な男爵は領地をまとめるためだけにいるような物ですから、教師達にとっても特は一切ありません。そして字も読めない。よって誰も手を貸さないんですよ」


 これ絶対に悪循環だろ。

 確かに辺境伯と他の有力貴族達の間に男爵や子爵が領地を構えている事が多い。

 それはただ単に空白地帯が生まれないようにしているだけだと思っていたが、まさかそんなからくりだったとはな……

 これじゃ貴族の中でも識字率が低い訳だ。


「なんにせよ慈善事業だけで動けるわけじゃない。何らかの得を提示してもらわないと面倒を見るつもりはない」


 俺がそう言うと彼らは小声で相談し始める。

 その様子じゃ今日の所は無理だな。


「エムリアール嬢。今日の所は帰らせてもらいます」

「ええ、それでも意外ね」

「何がです?」

「あなたならその慈善事業をするかと思っていたから」

「本人達が自立しようとあがいているのであれば支援しますよ。でも寄生虫はごめんです」

「なるほど。そのとおりね」


 そう言って俺はサロンから去った。

 何と言うか貴族業界の闇を見た気分。

 それでも学校に入れるだけマシと言うべきと言うべきなのかもしれないが、学べないのであればただの晒し者。

 一応貴族が15歳からこの学校に入るのは義務となっているそうだが、中にはそれを無視して入学しない貴族の子供もいる。


 その理由がようやく分かった。

 学べない学校に用はないという事だろう。

 それなら領地で畑や猟の仕方を学ぶ方がよっぽど生産的だ。


 これリリアの目的が達成されるのはかなり難しいだろうな。

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