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ノア姫も付いてきた

 ノア姫との正式な婚約に関しては陛下の力で即座に貴族に伝えられた。

 元々お披露目会で貴族が集まっていたのもあるだろうがマジで早い。

 どうせ他の貴族達からノア姫狙ってたのに!!みたいな事を言われたり何なりしたら面倒なのでさっさと領地へ帰る。


「ところでお父様、1つお伺いしてもよろしいでしょうか」

「……何だ」

「何で俺の隣にノア姫が居るんです?」


 今回したのはあくまでも婚約、つまり結婚する約束をしただけで結婚する訳ではない。

 それに俺は11歳でノア姫は10歳。いくら貴族であってもそんなに早く結婚する訳がない。

 最速でも15歳から、遅くても20歳くらい。平均的には社会人になる18歳で結婚するのが貴族内では一般的らしい。

 なのになぜノア姫が居る??


「それは私からご説明させていただきます。ズバリ花嫁修業です」

「花嫁修業」


 その言葉は聞いた事がない訳ではない。

 でも一般的には家事が出来るようになるとか、子育てについて教えてもらうとか、そいう感じだと思う。

 だが貴族にとってそれらはほぼ必要ない。

 だって使用人がいるから家事は必要ないし、子育てだってぶっちゃけ使用人に任せたっていい。

 だから一般的な意味での花嫁修業は必要ないはずだ。


「私はこれからアレックス様と結婚するために様々な事を学ばなければなりません。そのため直接アーシャ様から直接指導していただこうと思いこうして同行させていただいてます」

「……そうか」


 納得も理解も出来ないがそうらしい。

 でもそういうのってお城で色々教えてもらう感じなんじゃないの?

 ぶっちゃけその辺の事はさっぱりなので父親に視線を向けたがそっぽを向かれる。

 代わりになのか分からないが母親が説明を引き継いだ。


「私の元でアレックス好みの女になりたいと直接言ってきました。それから花嫁修業も本当です。貴族の女性として夫を支えられるよう私の元で鍛えたいと言ってきたので了承しました」

「でも普通婚約しても一緒に住む事はありませんよね?」

「その通りですが……ノア姫がどうしてもと言うので……」


 もしかして権力使われた?

 何かそんな雰囲気があるな……

 だが自分から俺好みの女になるってどういう事?そりゃ都合のいい相手の方が手放せなくなるというのは理解しているが、わざわざ宣言する必要はない。

 悪女だったらむしろ自分の言う事を聞くように自分色に染め上げるとかそんな感じの事を言いそうだが……


「アレックス様。なんでも命令してください。私はアレックス様の意思に従います」


 これ妻って言うより従者じゃない?

 そんな違和感があって何かヤだな……


「それじゃ早速命令。俺の前では素で話せ。それこそ去年会った時みたいにさ」

「……ふふ。やっぱりアレックスは優しいのね。それじゃ貴族言葉は他の貴族が見ている前でない限り普通に話させてもらうわ」

「優しくない。ただずっと敬語を使われて気持ち悪いだけだ。敬意でもなくただの媚として使われるのは何か気に入らない」

「難しいわね。メイド達にはとりあえず媚びを売っておけば乱暴な真似はされないと教えてもらったんだけど」

「その辺は相手の考え方にもよるんだろ。それで、何が目的?」

「……?目的は最初から言ってるでしょ。あなた好みの女になって結婚するためよ」

「結婚するのは決まってるじゃん。王族との結婚を放棄するとか自殺願望があるようにしか思えん」

「そう、それが嫌で転がり込んできたのよ」

「?どういう意味?」

「今のあなたは王族との約束を果たすために私との結婚を了承した。それこそ権力を振りかざした状態ね、でも私は本当にあなたに愛されたいと思っているの。だからこれから寝食を共にしてあなたの好きな事、嫌いな事を知ってずっと一緒に居られるようになりたいの。それが今も権力を使ってあなたと一緒に居る理由。だってあなた私の事そんなに好きじゃないでしょ?」

「当然だろ。去年少し話しただけで好きって言われても100%信じられるわけないだろ。普通に本当か?って今も怪しんでる」

「だからこそ私が本気だって伝えるためにこれから一緒に居るの。もちろん領地の経営だって手伝うし、社交界とかで情報も手に入れてくるわ。それでも愛してくれない?」


 愛してほしいと言われるが……ぶっちゃけ家族愛以外よく分かってない。

 前世でも恋なんてしてなかったし、縁もゆかりもない誰かと愛し合いたいと本気で思った事はない。

 憧れの様な物が全くない訳ではないが……恋愛小説や漫画の様な恋をしたいとは思っていない。

 何か気が付いたらそこにいて、そこに居るのが当然のような関係でいい。そしてその関係をずっと続けていけるように努力していければいい。


「……俺は一目惚れとか信じてない。一緒に居る時間が自然と愛だの何だのって物を育むんだと思う。だからこれから一緒に居るって言うのは間違いじゃないだろう。でもその間に本当に愛せるかどうかの保証はない。それでも良いのか?」

「はい。必ず振り向かせるから」


 何とも強気な事だ。

 恋愛なんてした事ないから本当に他人を家族の様に愛せる自信なんてないって言ってるのに。

 これだけ強気に言っているし、何よりついてきた。

 もう俺が言う事はないだろう。


「お母様。これが大人の恋愛?」

「大人と言うよりはアレックスが捻くれてるだけね……」

「捻くれてはないでしょ」


 リリアの言葉に母親がそう言う。

 別に捻くれてはないだろ。好きだって言ってくれているのを突っぱねている訳じゃないんだから。

 だが塩対応である事も分かってる。

 突き放したりはしてないが、かと言って優しくしてる訳でもないからな。

 だがノア姫にとっては許可が出ただけでもうれしいのか俺の腕にしがみついてくる。

 邪魔だが振り払うほどでもないか……

 屋敷のみんなお姫様がこれから住むって知ったら腰抜かすだろうな……


「あ、そうだ。アレックス。あなたも私の事姫って呼ぶの止めて」

「……何で?」

「その方が親しみがあるから。それにどうせ嫁入りするんだから姫なんてその内なくなるでしょ」

「……分かったよノア」


 そう呼び捨てにしただけなのにえらく上機嫌になるノア。

 俺がチョロいのかノアがチョロいのか、よく分からん。


「あなた……」

「……案外早く決まるかもしれないな……」

「お兄様とノア様イチャイチャしてる」

「これってイチャついてるって言えるの?」


 恋愛はさっぱりだ。

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