風の騎士精霊、シルフィード召喚!!
地面に木の棒で円を描き魔方陣を作る。
さて、ここに書き込むのは人型、知性、大人しい、可愛い、それから……
「お兄様が普通の召喚を試すってどうしたの?」
リリアが少し離れた位置で俺の事を見ている。
ブレイドとモンクーは浮気だー!!っと騒いでいる。
「リリアやお母様がスピリットを召喚できたから、俺もこの世界の召喚方法を試したら何が召喚できるのか確かめてみたくてな」
「でも危ないからダメって言われてたでしょ?何で今更……」
「そろそろデッキを変えようと思ってたからさ。もし仮に普通に召喚する事が出来たらデッキの変更関係なく召喚できる。そうすれば俺もより安全にデッキを変えられると思ってさ」
「私達みたいに召喚すればいいでしょ?」
「出来なかった」
「え」
「リリアやお母様に出来たから俺も出来るかと思ってデッキ外のカードを使って召喚しようとしたら召喚出来なかった」
やはりデッキのカードからっというのはしっかりと適応されているという事だ。
おそらくリリア達が召喚に成功したのは一種のバグ、あるいは俺以外だからこそできたと考えるべき。
仮にカードを使って召喚するのが俺だけだと前提していた場合他の人達が召喚する事を想定していなかったのではないだろうか。
「それじゃお兄様だけデッキ以外から召喚出来ない?」
「出来ないな。だから普通の召喚に頼ってみようと思ったってとこ」
色々書き込んで最後に魔力を流してみる。
召喚するのに魔力はどれくらい必要なのか、少し気になっていたが低コストだと嬉しいな。
なんて思っていると魔力をごっそり取られた感覚がした。
まさか高コストの何かを召喚しようとしているのか?
魔方陣の上で竜巻のような風が吹き荒れ、飛ばされないように地面にしがみついていると突然風がやんだ。
単に強烈な風を召喚しただけの失敗だったのか。それなのにごっそり魔力を奪われる感じがしたのは何だったのか。
訳が分からず顔を上げるとそこには女性が居た。
緑の髪をポニーテールでまとめた女騎士。
右手には槍、腕と足、胸は鎧で守られそれ以外は水着かと思うくらいの軽装。
なんかビキニアーマー?みたいな感じ。
「問おう。私を召喚したのはどちらだ」
あ、言葉話せるんだ。
とにかく思いついた安全そうな言葉を書きまくったが、うまくいった?のかもしれない。
「お、俺です俺」
「む?貴様が?てっきりそこの少女に召喚されたのかと思った」
リリアの事を見てから視線を俺に戻す。
「それで、私を召喚したという事は何か望みがあるんだろう。申してみよ」
なんか偉そうだな……
「俺の護衛をしてくれる誰かを探してた。別に名指して召喚したわけじゃない」
「む?そうだったのか。てっきり私は有名だから召喚されたのかと思った」
有名なのこいつ?
というかそもそも誰よ??
「それで……あんた誰?」
「知らぬというのなら名乗りを上げるのが騎士の礼儀。我が名はシルフィード!風の精霊騎士である!!」
あ~……何か聞いたことあんな。
確か絵本でどっかのお姫様に仕えていた精霊?だっけ。
「リリア!こいつ絵本で見た奴と同じかな?」
「多分そうじゃない?凄い魔力を感じる!」
って事は本物?コスプレした人とかじゃなくて??
それにしては……
「何だ貴様。私の事をじっと見て」
「いや、騎士と言うにはその、露出度高くない?もっとフルアーマー的なの想像したんだけど」
「私は風の騎士だ。相手の攻撃に耐えて戦うのではなく、素早く動きながら戦うから少しでも軽量したいのだ。そうしたら自然とこうなった」
「あ、ちゃんと理由あった。てっきりそういう服装が好きな人かと思った」
「まぁ確かに私達風の精霊は服を多く着る事は好きではない。故に自然と私ような格好になったり、こちらで言う所の踊り子のような恰好をする者も多いな。ベールのような軽い生地が好きだ」
「そういう服装が好きでもあるんかい」
本当に機能性を重視した結果なんだよね?ただ露出するのが好きな訳じゃないよね??
「それより望みは何だ。何か精霊に頼りたい事があって私を召喚したのだろう?」
「あ、そうだった。俺が召喚した理由は俺の護衛を頼みたいからだ。少しでも強い存在と契約していざという時俺の事を守ってくれると助かるんだが」
「なるほど、そういう契約内容なら確かに私が適任だな。しかし報酬は求めるぞ」
「具体的にどんな報酬が欲しいんだ?」
その内容によっては契約できないな。
でも精霊が欲するものってなんだろ?
「まずは当然だが魔力だ。魔力を多く注いでくれればその分強くなる。だから戦うときは惜しみなく魔力を流し込んで欲しい。それからこの世界に滞在するためにも魔力は必須だからな」
「当然の内容だな。他にもあるのか?」
「次のが重要だ。はっきり言って次の要求をのめないのであれば私も契約する気はない」
なんか重要そうに言ってるけど何が欲しいんだ?
宝石とか金とか言われたら普通に無理だぞ。
「それで、何が欲しいんだ?」
「菓子だ」
「……はい?」
「菓子だ。砂糖たっぷり使った甘い菓子がいい。しかし干した果物などはダメだぞ、あれは食べ飽きた」
「…………他には?」
「ない!魔力と菓子があれば後は要らん!!」
それでいいのか精霊騎士!!
魔力の問題が無ければコスト低くね?
いや砂糖たっぷりって所は貴族じゃないとダメか。
この世界の文明レベルが低い、つまり流通レベルも低い。
ファンタジーだからと言ってワイバーンに乗って物を運ぶみたいなものはない。
全て人の足か馬車に乗って運搬するのが主流で量が少なければ時間もかかる。
だから意外とこの世界では厳しい内容と言ってもいいのかもしれない。
「分かった。と言っても菓子と言ってもどんな菓子が良いんだ?」
「甘ければ何でもいいぞ。以前姫に仕えていた時はクッキーをよくいただいていた」
「クッキーね。ちょっと聞いてみる」
今クッキーがあるかどうか、そして生産可能なのか確かめないといけない。
なので厨房に向かう。
「クッキーってある?」
「?おやつの時間には少し早いと思いますが?」
「2、3枚でいい。ある?」
「え、ええ分かりました」
「ありがとね」
シェフからクッキーを3枚もらい戻る。
「これでいいか?」
クッキーを3枚見せるとシルフィードは1枚手に取り食べた。
精霊も物食べれるんだ。
そうでなきゃクッキーを要求したりしないだろうけど。
「……うん。美味い」
「それじゃ契約してくれるのか?」
「いいだろう。それでは契約だ」
とりあえず契約してくれる段階まで進める事が出来たない。
それじゃここから話をつめていくか。
「雇用状態はどんな感じが良いんだ?さっきはクッキー3枚だったが戦闘をする際には増やした方が良いとか、なんかそういう要望ある?」
「いや、我々精霊にとって食糧は嗜好品に過ぎない。戦うたびに、召喚するたびにクッキーをもらうつもりではないぞ」
「そうなの?それじゃクッキーの他の菓子が欲しいとかそう言うときはないの?」
「そういう気分の時はあるが……その時は言えばいいだろう?」
「残念ながらここは辺境でな、王都みたいにいつでも有名な菓子店から買うって事は出来ないんだよ。だから基本的に事前に用意しておく感じだ。だから先にどんな物を食べたいか教してほしい。あと常に召喚しておきたい場合みたいな事ってできるのか?」
「無論できる。だがその場合貴様の魔力が持つのか?」
「持つと思う。このブレイドとかずっと召喚しっぱなしだし、寝るからって一々消す必要もないからな」
「随分豊富な魔力に恵まれたと見える。では24時間貴様の護衛をしろという事か?」
「プライベート……トイレとか風呂とかは別で頼む。あと俺が寝てる時は帰っても問題ないぞ」
「いや、久々の人間界だ。居ても良いのであれば居させてもらう。ただクッキーは毎日最低3枚は欲しい」
「最低クッキー3枚ね。本当にこんな感じの契約でいいの?風呂入ったり寝たり自由時間欲しいでしょ?」
「自由な時間は欲しいが人間のように寝食はほぼ必要ない。私は風という現象が人の形をしている者と思ってくれていい。だから本来クッキーは食べなくても問題ない。だが先ほど言ったように魔力が必要となるので貴様の魔力が持たない場合私は消えてしまう。それだけは注意しろ」
「了解。それじゃシルフィードのための部屋とかいる?」
「部屋は別にいらない。別に物が欲しい訳ではないし、ベッドで寝る訳でもない。休む時はこう、こんな感じで」
そう言ってシルフィードは消えた。
またつむじ風が起きたと思ったら消え、また起きたら現れた。
「お~、なんか手品みたい」
「手品ではなく一時的に肉体を構成させている魔力を霧散させて魂だけの存在になっているような物だ。この状態なら常に隣にいても問題ないだろう」
「スゲー便利。で、本当に1日3枚のクッキーでいいの?」
「たまには別の菓子も食べたい!」
「とりあえずお菓子か。まぁとりあえず契約結ぼうか」
「それなら右手を出せ。握手で契約するのが最も簡単だ」
握手をしてシルフィードと契約を結ぶ事に成功した。
すると本が光り始めたので確認すると、何故かシルフィードのカードが本に入っていた。
『名前 風騎士シルフィード
カテゴリー スピリット
コスト 6
軽減 緑3
種族 遊精霊 四元素
シンボル 緑1
レベル1 魔石1 BP4000
レベル2 魔石2 BP6000
レベル3 魔石5 BP12000
効果 【レベル1~3】[羽風2]このスピリットのアタック時
相手スピリットを2体疲労させる
【レベル2~3】このスピリットのアタック時
このスピリットがブロックされた時、相手の疲労しているスピリット1体につき1体手札から種族『遊精霊』『四元素』を持つスピリットを1コスト支払って召喚してもよい』
カードとしては結構強いが四元素ってどちらさん?
最低でもSWの中にそんな種族は存在しない。
もしかしてこの世界限定の種族か?デッキを組む事は出来ないが多分大丈夫……だよな?
こうしてシルフィードが仲間になった。
「一応お母様に報告しておくか」
「必ずしないとダメだよお兄様」
って事で報告しに行ったら両親揃って腰抜かしてた。
やっぱり本物だったのね。




