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リリアも贈り物をもらえた

 冬……本当に特にやる事なかった。

 いやだってさ、基本みんな引きこもって仕事したり趣味に時間使ったり、それに事件ではないけど手紙が届いた事くらいしかイベントなかったし、特に報告する事マジでなかった……


 なのでもう既に冬から春になりかけていて手紙をようやく出す事が出来た。

 ちなみに内容は母が検閲し、この内容なら王族に出したとしても問題ないとお墨付きをもらったのでそのまま送った。

 これで手紙問題は片付いたっと。


 そして春になったら今度はリリアが贈り物をもらえるかどうかの時期になる。

 領内の教会に行き、俺がもらったようにリリアも教会で贈り物をもらえるかもしれない。


 だがそのリリア、最近成長が凄まじい。

 背が伸びたとかではなく知識や知能と言った部分で加速度的に成長していっている気がする。


 何故そう感じるのかというと、俺と一緒にカードで遊ぶようになってから相手の行動や思考を読むっという行動を学んできたらしい。

 だから相手がどんな言葉を使いどうしたいのか分かってきたと言っていたし、こちらもどうすれば相手に伝えたい事が伝わるか分かってきたという。

 さらに父親の仕事を見て相手はこういう事を考えているのではないか?っと文面から相手の次の行動を予測するようにもなってきている。


 この変化にはさすがの両親もかなり驚いていた。

 つい去年まで普通の女の子らしい天真爛漫な娘だったのが、いきなり相手の行動を読む行為をしてくれば驚くなという方が難しいだろう。

 もしかして俺が原因なのでは?っと考えられたので素直にカードで相手の手札の読み合いをしている間に自然と学んだらしいという事だけ入っておいた。


 もちろんこれだけが原因ではない。

 前にリリアと話したSWの普及の難易度、その時俺が言った色んな問題点をどうやったら解消できるかリリアなりにずっと考えていたようだ。

 識字率の上昇、イラストのコピー化、安価な紙の普及など、リリアは頭の中で何度もシミュレートして来た。

 その結果が現在のリリアになった訳である。


 いやはや、カードゲームで妹がここまで変わるとは思ってなかった。

 そりゃカードゲームの面白さの1つは相手の行動を読む事ではあるとは思うが、それが切っ掛けでリリアが成長するとは思わないって。

 領地経営に関する勉強はリリアもしているが、まさかSWの普及をまだ諦めていなかった事も驚きだけどな。

 まさか本気でカードで金稼ごうとしてないよね?

 ぶっちゃけ文明レベルが追い付けてない気がするんだけど……

 本当に大丈夫か?


 何て妹の成長に驚きながらも春。

 雪が完全に溶けてあっという間にリリアが贈り物をもらう日がやってきた。

 流石のリリアも緊張気味で贈り物をもらえるかどうか不安そうだ。


「お兄様……私、魔法使いになれるでしょうか?」


 ……うん?


「リリア、今魔法使いになれるかどうかって聞いたか?」

「はい。お兄様と同じ召喚士だったらこれからもモンクーちゃんと一緒に居られますが、そうじゃなかったらいつかモンクーちゃんと一緒に居れなくなるかもしれません。それを避けるには最低でも魔法使いにならないと」


 そう言ってそわそわしているリリア。

 それもう既に魔法使い以外はハズレって言ってるようなもんじゃん。

 そりゃリリアがモンクーの事を特別視しているのは知っていたが、まさかそこまで真剣に考えていたとは。

 でも魔法使いになるのってかなりの運試しだし、都合よくいくとは限らない。

 その結果は……すぐ目の前だ。


 教会に入り去年も会った神官さんがリリアを贈り物がもらえる場所に通す。

 去年はもらう側だったから見てなかったが、どうなんだろうと思っていると、ステンドグラスの光から少しずつ光が集まり、箱が現れた。


「おめでとうございます。神はあなたに贈り物を送られました」


 …………こんな神秘的な場面なのに何で俺の時は頭の上に落とされたのだろうと考えてしまう。

 あれ絶対神様側のミスだよね?

 人の頭の上に本の、しかも角ぶつけられるって俺だけじゃねぇの?

 その事を今日改めて強く思った。


 さて、問題はここから。

 妹が贈り物をもらったのは良いが、一体中身は何だろうか?

 ぱっと見はリコーダーとかが入ってそうな長方形の箱。

 リリアは慎重に開けると中に入っていたのは指揮棒だった。


 持ち手に綺麗な宝石が組み込まれているだけで非常にシンプルなデザイン。

 これは……ハズレか?

 正直魔法使いとは関係がなさそうな…………ん?


「お兄様……私、魔法使いになれないみたい……」


 リリアも指揮棒を見て残念そうにしているが、見方によってはこれ当たりじゃね?


「お母様。いくつか質問いいですか?」

「ええどうぞ」

「魔法使いっぽい贈り物って具体的に何でしたっけ?」

「様々な物がありますよ。私の場合は杖でしたし、あなたは魔導書、他の人はアミュレットだった事もあったそうです」

「魔法の杖ってお母様が持っているような大きなものとは限りませんよね?」

「ええそうですね。杖と一言で言っても色々なサイズがあります。私のような大きなものから手のひらサイズの小さなものまで」


 俺達がそう言っているとリリアも何が言いたいのか分かってきた。


「で、確かめる方法ってあります?魔法の杖かそうでないかの見分け方」

「そうですね……贈り物を軽く振ると適性の高い魔法が出てくる事があります。ほとんどの魔法使いの適性確認の時に行う方法ですね」


 とにかくこれがただの指揮棒か、それとも魔法の杖なのか確認するには一度家に帰る必要がある。

 ここでどんな魔法が出るか分からないからね。

 なので家に帰り魔法の実験場で母親が作ったゴーレムの前で指揮棒を振った。

 すると指揮棒を振ったら浅くだが母親が作ったゴーレムに傷を付けた。


「リリアの適性は風魔法のようですね」

「やっっっったああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 母親の言葉にリリアは思いっきり喜んだ。

 魔法使いになりたいと言っていたので本当に魔法使いになれそうで良かった。

 これで俺のデッキも本格的に交換する事を考えられる。

 攻撃か、防御か、それともロマン砲か。あるいは状況に合わせて好きに変えられるようにするのか、色々考えなければならない。


「お兄様!」

「良かったな、リリア」


 めでたいなと思いながら言うとリリアはさっそくいう。


「お兄様!今度モンクーちゃんを自力で召喚できるように協力してくださいね!!」

「あ~はいはい。色々確認してからな」


 魔法使いになれそうだが召喚士は一般的に不遇と言われているのに大丈夫だろうか?

 ちょっと妹の将来が心配になってきたな~。

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