表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/70

社交界で会った子から手紙が来た

 秋が終わり冬になると基本的にみんな家に引きこもる。

 雪のせいで農作業は出来ないし、行商に行くのも割に合わないほど危険だ。

 なのでこの時期は基本的に外に出ず、小物を作って売ったり、事務作業をするのが普通だ。

 外で仕事をするのは騎士や兵士達であり、国の防衛という仕事は雨も雪も関係ないのだから本当に頭が下がる。


 では貴族の冬はどうなるのかと聞かれると、事務作業や趣味に時間を費やす事が多い。

 母親はリリアに編み物を教えたり、父親は俺に剣について教えてくれたりする。

 剣士になるために訓練するというよりは護身用の剣技であり、倒すというよりは傷を負わせて怯んでいる間に逃げるという感じ。

 現実的だし大真面目にやる必要もないから本当に習い事、という感じ。


 だが基本的には勉強とデッキをどう組むか、魔力量の底上げばかりに時間を使っている。

 ちなみにデッキはまだ交換していない。

 はっきりとリリアが自力で召喚できるか、出来ないか分かってからしようと思う。

 でもリリアはモンクーを自力で召喚する出来るように母親に色々質問しているからモンクーを何としても自力で召喚しようとしている事が分かる。


 そんな冬の日、珍しい物が俺に届いた。

 それは手紙。

 神様からではなく普通に届いた手紙。


 手紙のやり取りをするような相手はいないはずだが?

 そう思って手紙を読むと社交界であった女の子からだった。


 手紙の内容から察するに冬になる前に送られてきたようだ。

 内容は自分の社交界お披露目の際にはぜひ来てほしいとの内容で、念を押しに来た感じ。

 それ以外では俺のアドバイスのおかげでいい具合に力抜け、勉強や他の習い事で少し成績が上がった事への感謝。

 そして必ずまた会いたいという内容だ。


 また会うのも悪くないし、この領地以外で唯一の知り合いと言ってもいいだろう。

 一応知り合った父親の友人や、同じ辺境伯の貴族令嬢なども知り合いだが……もう名前と顔がごっちゃになって分からない。

 顔だけならすぐ覚えられるんだけどな……


 とりあえず返事を書くべきなのは分かるが今は冬だ。

 送るとなったらどうしても雪が解け始めた春ごろになってしまうし、かなり時間がかかってしまう。

 こう考えるとメールって本当に優秀だったんだな……天気とかに左右されない優秀なツールだ。

 前世の文明が当たり前すぎて不便さの方が多い。

 カードゲームの力じゃなくて物を作る力をもらって居たら絶対メールやら何やら開発してたと思う。


 とりあえず書き出しは……どうした方が良いかな?


「お兄様何してるの?」


 机に向かっているとリリアが声をかけてきた。

 特に隠す事でもないから普通に言う。


「手紙が来たからそのお返事だ。どういう内容にしたらいいかな~ってちょっと考え中」

「相手は誰?」

「名前は知らないけど女の子。この前の社交界で知り合った子から来たみたいだ。でもさっき届いたのを考えると春辺りに送る事になりそうだからどうした方が良いのか……リリア?」


 リリアの表情はまさに驚愕という感じで口が空いていた。

 モンクーもリリアの頬を突いたりして起こそうとするが無反応。

 少しして顔が動いたと思ったら俺の手紙を持って部屋を出た。


「え、リリア!?」

「お兄様がラブレターもらったー!!」

「何でラブレターになった!?」


 中身読んだけど別にそういう感じじゃなかったぞ!!

 というかその誤解広めるの止めていただけません!!


 そんな俺の心情虚しくリリアは何度も大声でラブレターを連呼する。

 取り返さないといけないと思い走るがすばしっこい。

 追いかけるがその前に何故かリリアは両親に手紙を渡してしまった。


「リリア、淑女としてもう少し大人しくしなさい。はしたないわよ」

「でもお母様!お兄様がラブレターもらってた!!」

「ラブレター?見せてみなさい」


 そう言って読み始める両親。

 息子あての手紙を勝手に読む両親もどうなのだろうか。

 この世界にプライバシーという物は存在しないのか。


「お父様お母様。ラブレターと言うのはリリアの勘違いです。返事を書かなければならないので返してください」

「……アレックス。差出人は誰だ」


 何故か真剣な様子で言う父親に違和感を感じながらも正直に言う。


「前の社交界であった女の子ですよ。名前は聞いていないので何とも言えませんが」

「では容姿は、どんな女の子だった」

「どんなって……綺麗な白銀の髪の女の子でしたよ。所作も綺麗だったので何となく王族かな~って感じの雰囲気で――」

「その方はま、まさかノア様ではないだろうな!!」

「ノア様?誰です?」

「殿下の妹君、ノア・フォン・ディクト・ゼレン様だ!!珍しい白銀の髪をしていると聞いた事がある!!まさかノア様ではあるまいな!!」

「名前に関しては聞いておりませんので何とも……他の貴族、王族の方の可能性は?」

「白銀の髪など珍しい髪をした者がそうホイホイいてたまるか!!こ、これは一体どうしたら……」


 王族かな~なんて思っていた子がまさか本当に王族とは思いませんでした。

 まぁ愚痴の内容が貴族よりも厳しい習い事っぽい感じだったのと、優秀な兄という点でもしかして~くらいには思っていたが核心はなかった。

 それじゃ俺殿下の妹と知り合いになっちゃったのか。

 不敬罪とか言われなくてよかった。


 何を想像しているのか分からないが震える父親に変わって母親が俺の手紙を読んで厳しく言う。


「それで、どんな内容を書こうとしていましたか」

「それに関してはまだ何とも。この時期じゃ手紙を送ると言っても春ごろになりそうだとか、それに合わせて内容を変えた方が良いのか考えていた段階でしたので、まだ具体的には決まってません」

「それなら季節に関する言葉選びは止めておきなさい。そして来年にはノア様のお披露目である社交界が行われるはずです。その時に必ず出席する事を書いておきなさい。それからまた会いたいという内容も必ず書くように」

「は、はぁ」


 そんな感じで良いのか。

 返された手紙を受け取り早速手紙の内容を改めて考える。

 母親に魔法の指南をしてもらっている事、領主になれるよう勉強している事、リリアと遊んだ事、召喚士としてやっていく事、それから母親に言われた社交界の事とまた会いたい事を書いた。


 これは……こんな内容でいいのだろうか?

 あまりにも子供っぽいというか、日常の事しか書いてない。

 まるで絵日記を手紙にまとめた感じというか、なんか非常に子供っぽい。

 だからもう少しまた会いたい事を強調しておいて、あとアドバイスがうまくいってよかったと書けばいいか。


 まぁこんなもんだろう。

 あとは春になって手紙がちゃんと届く時期を見計らって送ればいいか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ