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議題、俺以外にもスピリットを召喚する事が出来るのか

 それぞれのカードがどのように召喚されるのか確認した後、本格的にデッキ構築を始めた。

 メインの色は赤、その補助に何色か混ぜる感じが無難か。


 今更だがカードには6色の色によってコンセプトが違う。

 まず赤は攻撃重視、緑は魔石を増やす、紫は手札破壊や相手スピリットの魔石を外す、白は防御、黄はマジック重視、青はデッキ破壊だ。

 そして前世でもメインで組んでいたのは赤を主軸にした攻撃デッキ。

 種族はコンボが決まれば強いと言われた創星龍そうせいりゅうを愛用していた。

 ただし公式もネタ感覚で作ったのか高コストのカードが多くコンボを決めるのに時間がかかるとして環境に入る事はなかった。

 だがこのデッキをアニメ版の主人公が使っていた事で一定のファンは存在し、決まれば強いデッキとして一応知られている。


 俺はアニメとか関係なくロマン砲みたいなのが好きだったので愛用していたし、死ぬ寸前に手に入れたあのシークレットの効果も好きだ。

 SWで唯一といってもいい効果、あれを使って勝つのがめっちゃ気持ちいい。

 友達と対戦している時に決めたかったな……


 ただ問題はゲームではなく現実で起こる事という点だ。

 それこそさっき言った青のデッキ破壊。

 仮に俺がスピリット達を召喚して戦う際にデッキ破壊の効果を発揮した時どのように効果が現れるのかさっぱり分からない。

 相手スピリットを破壊する効果だってこの世界でどう適用されるのか分からない。

 相手の装備を破壊する感じか、それとも戦っている相手に直接攻撃する感じなのか、その辺りもはっきりとさせたいが人間相手に実験してはあまりにも危険すぎる。

 BP○○以下という条件がある事が多いが、そもそも人間1人のBPがどれだけの者か分からない。

 つまり召喚して選択できるかどうもその場で判断するしかない。

 というか攻撃だからBPに関係なくダメージを与える事は出来る?死ぬのはBP以下の場合のみとか?


 考えれば考えるほど実戦での実験も必要になっていく。

 今実戦をした事があるのはバッドホッパーだけ。効果も魔石を増やすというだけだ。

 もしここから攻撃、防御の効果やマジックを使用した場合どうなるか分からない。

 やっぱり実験は必須だな。


 そう考えながら組んだデッキは一応完成。

 次のロマンデッキも作っておこう。

 次に作るのは6色全てを使ったデッキ。俺の中では偽りの神デッキと呼んでいる。


 このデッキの主軸となるのは種族偽神(ぎしん)と言われる高コストスピリット達。

 彼らをデッキに3枚ずつ入れればそれだけで18枚となりデッキに入れられるカードも少なくなる。

 しかしこのカードゲームの面白い点、デッキの上限が存在しない事を利用すればどうとでもなる。デッキ40枚の方が必要なカードを引き当てる可能性が高いのは重々承知だが、それでもどうしても入れたいカードがある場合40枚以上入れても問題ない!!

 なのでこのデッキの場合50枚デッキになる。

 いや~切り札を多く入れるとその分デッキもどうしても厚くなる。でも元々横並びさせた分だけ強くなるゲーム性だし、仕方ない部分もなくはない。


 どこまでも俺はロマン砲が大好きでそのせいで友達に何度呆れられたことか。


 とりあえずこれで俺にとっての本気デッキが2つ出来た訳だ。

 出来たのは良いが……問題は2つ。


 1つは魔石の数が少ない事。

 バッドホッパーのおかげで魔石を増やす事は出来たが、それはあくまでもデッキを交換するまでの間のみ。デッキを交換すれば俺が本来持っている魔力だけの数に戻るのでバッドホッパーが稼いだ魔石は0になる。

 さっき言ったように偽りの神デッキだとコストが高くて召喚するとすれば1日に1体召喚できればいいだろう。だがそれはコストの低いスピリットを引けたらの話だ。

 もし仮に切り札である偽神ばかり手札に入ったら召喚する事すらできない。


 2つ目は……絶対リリアが泣く事。

 デッキ交換をすればその間使っていたカードもリセット、つまりブレイドもモンクーも再び召喚する事が出来ない。

 そうなればリリアは絶対泣くだろう。

 モンクーの事可愛がってたからな……


 適当な理由を付けて家に帰したというべきか、それとも他の方法があるのか……

 あるいはちゃんと説明して帰すか……

 なんにせよ大泣きするのは確定。

 気が重い。


 そもそも俺は本当にこのカードでしか召喚出来ないかどうかも判明していないし、母親がスピリットを召喚出来ないという確証もない。

 もし召喚できるとすればその条件は何か、必要な魔力はどれくらい必要か、そういった事の検証も必要だ。

 仮に検証に成功してリリアの手で直接モンクーを召喚できると判明すれば泣き止むだろう。


 ただこの検証には絶対に母親の協力が必須だ。

 だって他に魔法使い知らないし、どれくらいの魔力が必要なのかも分からないし、そもそもかなり難易度高いし、他に召喚魔法を使えそうな人を知らない。

 となると母親に頼むしかない。

 ただ問題は協力してくれるかどうかなんだよな……

 とりあえず明日聞いてみるか。


 ――


「アレックス。少しいいか」


 朝の勉強が終わった後、何故か父に声をかけられた。


「どうしましたお父様?」

「その……アーシェに協力してくれないか」

「協力?何にです?」

「魔法の研究だ。お前の使った召喚魔法について研究に没頭していてな、日々の業務に支障が出そうな勢いだ。協力して少しでも早く解決できるよう協力してくれ」

「分かりました。お母様はどこにいます?」

「普段行ってはいけないと言っている研究棟だ。メイド長と共に行くといい」


 これは好都合だと思いながらメイド長と共に母親の元に行く。

 普段近付いてはいけないと言っていたのは魔法の研究をしていて危険だったからか。

 特に興味もなかったから近付かなかったが、ここなら俺の召喚実験も出来るかもしれない。

 そう期待しながら研究棟の中庭に行くと、母親が魔方陣の前で何かぶつぶつ言いながら考え込んでいる。


「一応できる限りの召喚条件は書けた。でも召喚出来ないのは何故?他の想定していない普通の猿なら召喚できたからもっと細かく条件を書き込むべき?でもその場合この魔方陣をより大きくしてもっと条件を書き加える事が出来るようにしないと。でもこれじゃ効率が悪すぎる。効率化は今後の課題として置いておくとしてもまずは召喚に成功しないと意味がないし、まずはあのモンクーという子と同じ種族の猿を召喚する事が出来れば――」

「お母様。お父様に言われて召喚されました」


 俺がそう言うと母親は驚いたように振り向いた。

 化粧でごまかしているようだが、目の下にうっすらと隈が出来ているのを見るに本当に徹夜をしていたのかもしれない。

 でもこの実験検証は俺にとってもメリットがあるので協力させてもらおう。


「お母様、そんなに俺の召喚方法が不思議ですか?」

「ええそうね。今までにない召喚方法だったからかなり衝撃を受けたわ。それとも神が特別にあなたに力を与えたのかしら」

「それは分かりませんが、それを検証するために俺も協力します」

「何故?と聞いていいかしら」

「この召喚方法にも色々条件があるって事ですよ。特別な力の代わりに俺は他の魔法を一切使えない可能性がある。それこそ普通の召喚方法すら使えない可能性があります。その条件の一つに新しい召喚をするためにブレイドやモンクーを召喚出来なくなります」


 俺の言葉に驚く母親。


「それはつまり、一度きりの召喚ということかしら」

「そうではありません。ただ他のスピリットを召喚するためにブレイド達を召喚する余裕がなくなるという方が正しいです。そうなるとリリアが……」

「モンクーが居なくなる事で癇癪かんしゃくを起こす可能性が非常に高いわね。つまりそういう事?」

「はい。リリアに魔法使いとしての才能があるかどうか分かりませんが、もしリリアが自分でモンクーを召喚できるようになれば問題は起こりません。まぁこればかりは運試しですが」


 努力して魔法を使えるようにはならないようだからこればかりは神頼みだ。

 それでももしリリアも魔法使いの才能があれば自力で召喚できるようにした方が良い。


「……なるほど。それであなたは何を望むの」

「……なんか意外な事を聞いてきますね。何故そのような事を?」

「あなたは母親として、魔法の研究者としてずっと違和感を感じてきました。年齢と考え方が年不相応であると。だから何か考えがあるのではないかと思って」


 それは母親としての視線ではなく、1人の人間として俺を疑う視線。

 気にしてこなかったし、隠そうともしてなかったから当然か。

 でもこの話をするのであれば家族全員の前で話す方が良いだろう。


「俺が何者なのかは家族みんな揃った時に話したいですね。それから俺の狙いについてですが、やはりこの世界の召喚方法が俺も出来るのか、それとも出来ないのか。それを確かめるためです。なので裏らしい裏はありませんよ」


 これに関しては本当。

 ただ俺もこの世界の魔法が使えるのかどうか知りたいだけだ。

 正直に言うと母親は呆れながらも手を伸ばす。


「良いでしょう。それでは共同研究を開始しましょう」


 良し。これで堂々と召喚を確かめる事が出来る。

 色々確かめさせてもらおうか。

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