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召喚研究開始

 社交界が終わり家に帰ってきてゴロゴロしているとその日デッキが無くなった。

 デッキ0の状態で深夜0時になると手札、トラッシュのカードが全てデッキに戻りシャッフルされた後手札4枚から再スタートとなった。

 やっぱりこれ意外と面倒かもしれないな。

 40枚デッキの場合最長36日で強制シャッフルだからもしかしたらデッキ100枚マジで考える必要があるかもしれない。

 既に召喚されているスピリット達がリセットされないのは本当に助かるが、もし消えていた場合妹の鳴き声が屋敷に響き渡るのは間違いない。

 まぁ実験用デッキだから基本的にコンボとか考えてないし、とにかく今は魔石を一つでも多く増やす事だけを考えよう。


 そして今回リセットされたデッキ魔石を増やせるのは……ないな。

 まぁバッドホッパーが魔石を稼いでくれているから急ぐ必要はない。

 俺が魔物を狩るようになるのは学校を卒業した後と決められている。


 学校とは何かと聞かれたら王都にある貴族だけが通う学校だ。

 目的は通常の授業だけではなく貴族同士の交流も含まれている。

 婚約者がいない場合ここが最後の砦になるらしく、婚活戦争に飛び込む事となる。

 それ以外の目的だと貴族同士の横のつながりを強めるためだったり、派閥を築いてより偉い地位に立てるよう画策しているとか。


 俺は特に地位向上は気にしていないので横の繋がりだけは大切にしておかないとと思っている。

 辺境伯というのは意外と忙しく、国の防衛のために仕事が多い。

 それは敵国からの侵入だけでなく魔物の侵略も含まれる。

 つまり戦争仕掛けてきた人間相手だけではなく野生動物の対応もしなければならない。


 更に同じように国境を守っている貴族達との連携も必須。

 この世界だと電話の様な通信魔法は一応存在しているが、非常に高価で希少なため城にしかない。

 しかも固定化されているらしく城とその通信機がある場所しか通信できないのだ。


 一応我が家にもその通信機は存在する。

 国境を守っているため敵が入ってきたりしたときにすぐ城に連絡するためだ。

 しかし同じ国境にいる貴族達には連絡できないのでその場合早馬を出すか、伝書鳩を飛ばすしかない。

 早馬だと確実性は高いが時間がかかるし、伝書鳩だと早いが魔物に襲われてしまう可能性がある。

 その通信機を量産できないのかと考えてみたが、俺が出来るのはカードからスピリットを召喚するだけなので道具を作るなんて事は出来ない。


 いや、もしかしたら作れるかもしれない。

 あのカード、SWでは機械的な文明を築いている設定であり実際工具を持ったスピリットがイラストされている。

 彼らならもしかしたら作れる?

 でも材料とかは別か。結局魔道具の材料も分からないし、考えるだけ無駄か。


 とりあえず寝よ。

 王都に行って帰ってで疲れた……


 ――


 翌日からいつも通りの日々というのも案外キツイ。

 まるで旅行から帰ってきてすぐ学校に行くようなそんな感じ。

 でも貴族として最低限の教育を受ける。これに関しては普通に学校に行っていた感覚と変わらないので仕方ないかと諦める。


 それにしても今の手札、フィールドとアームしかない……

 特にフィールドがな……どうなるのか分からないのが怖いんだよな……

 適当に召喚したら屋敷の下から盛り上がって出てくるとか、屋敷の庭を突き破って出てくるとか、そんな事になったら目も当てられない。

 どこか遠い所で実験するしかないのかな……


「お兄様どうしたの?」


 カードを手に悩んでいるとリリアが声をかけてきた。


「リリアこそどうした?」

「お兄様がぼ~っとしてるから何かなって。そのきれいな絵はなあに?」

「この絵は……ブレイド達を召喚するための道具だよ。ブレイドもモンクーもこのカードを使って召喚したんだ」

「そうなんだ!私にもできる?」

「それは……分からないな」


 そう言えばこのカードを召喚する事を他の人に出来るのだろうか?

 俺専用なのかそうでないのか、その辺ルールに書いてあったっけ?


「どうやったら召喚できるの?」

「自分の魔力を消費して召喚する事が出来るんだけど……リリアに召喚するのに必要な魔力があるかどうか……」

「それじゃお母様なら召喚できる?」

「……聞いてみるか?」

「聞いてみよ!」


 こういう所の行動力は流石というか、思いついたら即行動なところは見習いたい。

 リリアに手を引っ張られながら母親と会う。


「私がアレックスの召喚が出来るかどうか、ですか?」

「お兄様に出来るならお母様にもできるかな?って聞きに来たの!」

「なるほど。ですが私にはアレックスと全く同じ召喚は出来ないわ」

「そうなの!?私にもできない?」

「アレックスも召喚は今までの召喚と違うから、まずどうやって召喚している調べる所か始めないとダメなの。だから今すぐという訳には……」

「それじゃお兄様が協力すればすぐにできるって事?」

「まぁ……可能性はあるという感じかしら」


 そう母親が言うとリリアは希望にあふれた表情を作る。

 自分の手でモンクーを召喚する未来の姿でも想像しているのだろうか?

 それともまだ見ぬ可愛い動物を召喚する未来か?

 なんにせよ今すぐは無理というのは理解してもらっただけよかっただろう。


 さて、ここからは俺の頼みだ。


「お母様。俺もまた召喚の実験をしたいので一緒に来ていただいてもよろしいですか?」

「分かったわ。それじゃ庭に行きましょう」


 本音は庭で大丈夫なのかどうか不安なのだが、変に不安に思う事を言うよりはマシか。

 という感じで庭で召喚の実験を行う。

 まずは安全そうなアームから始めよう。


「リリア、モンクー貸してくれ」

「クーちゃん良い?」


 いつの間にクーちゃんなんて呼びようになってたんだよ。

 モンクーはリリアの肩から降りて俺の前に座ったのを確認してカードを使う。


「アームカード、『キントン』をモンクーに装備」


『名前    キントン

 カテゴリー アーム

 コスト   4

 軽減    黄2

 種族    玩具がんぐ

 レベル1  魔石1 BP1000

 装備時   魔石0 BP+1000

 装備条件  効果の記述がないスピリット

 効果   【装備時】バトル終了時コスト4以下のマジックカードをトラッシュから手札に戻す』


 キントンは筋斗雲の様な装備カードで金色の雲だ。

 モンクーはそれに乗りふわふわと飛ぶ。

 それを見たリリアは興奮、お母様は超困惑。


「どうやって雲の上に乗っているんでしょう?」

「さぁ?深く考えない方が良いのでは?」


 どうもうちの母親は考えすぎる節がある。

 実際モンクーがキントンにぴょんと乗り移っただけでも脳みそがショートしたような、宇宙猫みたいな表情をしていた。

 俺はあくまでも召喚するだけで原理を知っている訳じゃないからな。

 ぶっちゃけ出来るなら出来るんだろうとしか言えない。


「さて、こいつも試してみるか」


 そう思い俺は勝手にフィールドカードを召喚する。


「フィールドカード、世界樹の木の実を配置」


『名前      世界樹の木の実

 カテゴリー   フィールド

 コスト4

 軽減      緑2

 シンボル    緑1

 レベル1~2  魔石0

 レベル2    魔石3

 効果      レベル1~2 相手によってライフを減らされた時、ボイドから魔石を1つ増やす

 レベル2    相手によってライフを減らされた時、デッキからカードを1枚引く』


 配置した瞬間カードと同じ光景が現れたかと思うとすぐに消えた。

 流石にいきなり巨大な木が生えてくるような事はなかった。

 その事にホッとしていると母親が確認を取る。


「今のは召喚に失敗したのですか?」

「いえ、これであっていると思いますよ。もし本物が召喚されるようであれば巨大な木が生えてくる事になるでしょうから、これで良いと思います」


 感覚的な話だがカードの効果が発揮している事は何となく分かる。

 とりあえずではあるがこれで全てのカードが使える事は確認できた。

 特にどうなるのか分からないフィールドがどのように効果が発揮されるのか分かったのかは良かった。

 ではそろそろ大真面目にデッキを作り始めるか。

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