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もう冬休みか

 そろそろ涼しいから寒いに変わりそうな時期、収穫祭が無事に終わった事でホッとしていると先生から言われる。


「そろそろ冬休みに入るからその前にテストするからね」


 テストという言葉に嫌そうな声を上げるクラスメイト。

 それ以前にこの間まで夏休みだったのにもう冬休みか!?っという気持ちの方が多い。


 確認してみると大体11月から来年の3月まで休みになるらしい。

 夏休みよりも長すぎる休みに驚いたがこれも交通の不便さが原因。何せ雪が多く降るところだと11月ごろに帰らないと吹雪のせいで帰れなくなる人達もいるそうだ。

 それに寒くないように暖房を付けるとしたら薪を大量に消費する必要がある。この広い学校全ての教室に暖房を設置するのは非現実的であり、そんな事をする予算はないと。


 だとしたら夏休みなしでもよかったのでは?

 とも思ったがあくまでも貴族同士の交流を深めるためなので勉強はそんなに重視していないから別にいいとの事。

 本当に学校というのは名ばかりだな……


 呆れ半分、前世だったら絶対羨ましいという環境だな。

 だがこの世界にはそんなに娯楽が充実していない事を忘れてはいけない。

 家に帰ってもゲームもマンガもアニメも何もないのだ。


「ああ、もうそんな季節なのね。それじゃいったん帰りましょうか」


 ノアにこの事を言うと帰省という言葉が出た。

 そう言えば仕事で一時的帰るだけでちゃんと両親と顔合わせる事はなかったな。

 前に顔を合した時は心配して向こうから来てくれたし。


「領地に帰るの?」

「どうせ暇だし帰るか。あとこの屋敷ってどうすりゃいいの?」


 ぶっちゃけ両親が用意してくれた屋敷だ。

 それに来年からは俺だけではなくノアとリリアも学校に通うために使うのだからそのまま放置と言う訳にもいかない。

 誰にこの屋敷の管理を任せばいいんだ?


「そちらは我々が行いますのでご安心を」


 何にかの使用人がこの屋敷に住みながら管理してくれるらしい。

 あとは帰るタイミングだが……


「前は冬が来る前にって感じでほぼ1年前に来たのか。今回その逆だけど大丈夫?」

「それは私達が王都で過ごすための時間を作るためだとお義父様からうかがってるわ。だからある程度慣れたからもう大丈夫でしょ」

「そっか。それで腹の子は?」

「だから心配しすぎ。確かに少しずつ目立ってきたけど歩けるし無茶じゃない。多分来年の王都で産む事になるんじゃないかしら」


 時期だけ考えればその辺りだろう。

 今年の9月に妊娠を確認できたから……来年の7月ごろ、多少前後したとしても6月か?

 ぶっちゃけこの世界の基準で身重の妻をあっちこっちに連れて行くのはリスクの方が高い気がするが……かといって実家に置いていくと言うのも怖い。

 ぶっちゃけ目の届くところにいて欲しい。

 安全だけを考えるのであればこのまま王都で過ごす方が良いような気がするが……


「本当に馬車で移動して大丈夫なんだよな?」

「本当に気を使いすぎ。妊娠してるけど全く動かないでいるのも体に悪いからある程度は動かないと。運よく妊娠しても体調不良になっていないんだし」

「まぁ……今はそうだが……」

「だから気にしすぎ。言って帰ってくるくらいは大丈夫だから」

「……分かった。それじゃ冬休みは言ったら実家に帰るか」


 こうして俺達の帰省計画は開始された。

 といっても俺が冬休みになるのを待つだけだけど。


 ――


 学校では冬休み前のテスト対策をする組と、俺の様に余裕がある奴は既に冬休みをどうするのか話し合っている。

 みんな王都に住んでる組なのかな~?


「アレックス様は冬休みどうするのかしら?」


 ぼさ~っとしていたらエムリアール嬢に聞かれた。


「今回は実家に帰りますよ。結局夏は帰れなかったのでみんなで帰省です」

「そうなの?他の貴族達はみな王都に留まると言うのに」

「まぁノア達も久しぶりに実家に帰りたいみたいなので、始業式に間に合うよう戻りますよ」

「そう。それじゃしばらく顔を合わせる事がないのは残念ね」

「すみません。ノアも実家の方がリラックスできるみたいなので」

「その話は本当か」


 何て話していると殿下も入って来た。


「ええそうです。ノアの体調も悪くないみたいなので一度帰ろうかと」

「ふむ……いや、少しクロエスが寂しがると思ってな。すぐにでもリベンジをしたいと言っていた」

「あ~すみません。冬になったら雪のせいであまり動けないと思うので本当に緊急の時以外王都に来ないかもしれません。リベンジは来年という事でお願いします」

「クロエスにはそう伝えるしかないか」


 そう本当に残念そうに言って席に戻っていった。

 やはり冬に王都を離れるのはほとんどないのだろう。

 貴族だからといって必ず裕福と言う訳ではないし、この辺はまぁ各家庭によりけりって感じ。


 後からホディ達にもどうするか聞いてみたが、冬から春になる時に領地から王都に無事帰ってこられる保証がないから王都に残るそうだ。

 そうなると他の貴族達もやはり冬の間は王都に居るのだろう。

 というかそもそも実家に帰っても大丈夫なのか?

 冬の蓄えは十分あるのか、日本の様に冬でも安定して食料が供給されている訳ではない。

 その可能性を考えたら急に不安になって来た。

 屋敷に帰ってからシルフィードに頼む。


「シルフィード、両親に冬の間帰っても良いのか確認してきてくれ」

「分かった」


 っという事で確認してきてもらうとすぐに帰って来た。


「母親から伝言だ。当然!だそうだ」


 あっさりと認められてよかったと思う。

 ダメと言われたら王都に引きこもっているしかなくなるところだ。


「そしてノア姫の様子を見せろとの事だ。子を産んだことがある身として色々アドバイスしたいと言っていた」

「想像以上に乗り気?」

「初めての孫だから期待しているのだろう。それにノア姫の身を案じているようだった」

「初めての妊娠、出産となればそりゃ色々気を付けるわな。俺も気を付けてはいるけど男目線と女性目線じゃ色々違うだろうし、経験からくるアドバイスほど助かる物もないか」


 色々納得だが来て良いと言っているのなら行かせてもらおう。

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