クロエス様ガチで強かった
「……これはそんなに面白い物なのか?」
「俺は好きだぞ。デッキの組み方1つでいくらでも戦略が変わるし、性格なんかもよく出る。同じようなデッキだったとしても攻めるべきか受けるべきかでカードも変わるからな~」
殿下も好奇心程度にカードを眺めている。
その隣の席ではクロエス様が真剣でデッキを作っているのでリリアがサポートしている。
綺麗な絵が好きと言っていたから天使霊をメインにするのだろうか?
何て予想をしながら茶を飲んで待つ。
ちなみにアトラスとベルも興味を持っているが、特にベルの方が興味が強そうな感じ。
アトラスはカード効果を呼んで首を傾げたりしているがベルは視線だけ動かして色々考えているようだ。
「ベルも興味あるか?」
「ええ、少しですが。それにしても本当によろしいので?」
「よろしいって言うと?」
「このカードという物も贈り物であると言う事実です。あなたはこれを使って精霊を召喚しているのでは?」
お、いきなり核心に迫って来たな。
意外にもストレートに聞いてきたのは遠回しに聞くよりもいいと思ったのか、それともはっきりと聞いておかないといけないと思ったのか、まぁどっちでもいっか。
「そうだよ」
あっさりと認めると殿下は随分驚いた表情をする。
「あっさりと認めるのだな」
「だってアトラスはもう分かってるみたいだし?」
アトラスは1枚のカードをじっと見ている。
それはアトラスとの決闘の時に使った雑兵ドラグーン。実際に戦った相手だからこそよく覚えていたし、同時にこのカードの中では弱い方だと気付いたんだろう。
「殿下。私が以前敗北した相手は雑兵と呼ばれる者だったようです。申し訳ありません」
「よい。そう呼ばれていたとして相手は精霊、我々の基準とは違うのだろう」
それでも雑兵と呼ばれる相手に負けたのは屈辱かも知れない。
まぁ本当に名前だけなんだけど。
「つまり、アレックスは精霊を封じたカードが入った本を神から送られた。という事で良いのか?」
「俺はそう判断してます」
この辺は素直に言っても大丈夫だろう。
これが前世の頃に遊んでいたカードと言う情報は要らないし、聞いたところで何関わるとは思えないが。
そう思っている間にベルがデッキを組み始めた。
「ベルもやるか?」
「少し面白そうだなっと。ルールはどうなっています?」
「デッキを組むのは最低40枚からだ。だから50枚でも100枚でもデッキを組んでいい。といってもその場合欲しいカードを引く確率が低くなるから大抵40枚でプレイする人の方が多かったな」
「なるほど。となると強いカードをどれだけ早く引けるかが勝負の分かれ目、という事ですね。あとこの能力に関してお聞きしてもよろしいですか?」
「あいよ」
そんな感じでベルにもデッキの組み方を教える。
ベルが組んだのは白の障壁の効果が多いデッキ。
初めてだからか、それとも性格か防御力の高いデッキを組もうとしているらしい。
でも障壁の効果を持つカードでも種類は様々、コストの低いカードや高いカード、他に効果があるカードなど色々ある。
どんな風にデッキを組むのか楽しみにしているとリリアが呼んだ。
「お兄様、クロエス様デッキ出来たよ」
「お、それじゃ早速バトルするか?それともリリアと回して確認してみる?」
「ちょっと回してみたけど、クロエス様が本気だよ。あとちょっと意外だった」
「意外って何が?」
「う~んと、これ以上はどんなデッキなのか教える事になっちゃいそうだから黙っとく」
「そうか。それじゃ早速始めようか」
「よろしくお願いします」
こうしてクロエス様とのバトルが始まった。
先攻はクロエス様。
「3コスト、スモッグフロッグをレベル1で召喚。召喚時効果で1枚引きます。」
え、マジで意外。紫のデッキか。
紫はカードのドロー効果と相手の魔石を排除する事が多いデッキ。
てっきり黄色のデッキで来るとばかり思ってたから本当に意外だ。
「1コスト、作業員アントマンをレベル2で召喚」
俺が使っているデッキは緑の怪物虫デッキ。
まぁ色々混ぜてるし、怪物虫だけじゃないけど。
そうやって始まったバトルだったが、意外とクロエス様が上手い。
相手の効果を読み、どのスピリットを排除しておくべきか、どのタイミングでマジックを使うかが非常に上手い。
これプレイングだけで見ればリリアよりも上手いんじゃないか?
ちゃんと相手が展開するスピリットとその効果、種族などを見て次に相手が何をしようとしているのか、相手は何をされると嫌がるのか考えてる。
確かにこの性格なら紫デッキでも十分戦えるだろう。
そして今の俺のフィールドは小型が2体、ライフは残り3つ。
それに対してクロエス様のフィールドには中型ブロッカーが5体。ライフは残り2つ。
俺の方がライフは多いがクロエス様のブロッカーはかなり多い。勝てるチャンスは全てのスピリットがレベル1の状態である事。
こりゃ本当にギリギリだな。
そう思いながらカードを引くとようやく欲しいカードが来た。
遅いぞこの野郎。
「6コスト、守護騎士ユグドをレベル2で召喚」
このスピリットを召喚した事でクロエス様は目を見開く。
何せこいつは白の大型スピリット。その効果はBP4000以下のスピリット全てを手札に戻すと言う除去効果。
お互いにユグド以外のスピリットを手札に戻す事で相手の盤面は更地。スピリットが1体もいない状態になった。
そしてこれが賭けという物だ。
「3コスト、マジック、リバースドロー。俺の手札を全て捨てて、相手と同じ手札枚数と同じ枚数ドローする」
フィールドのスピリットを手札に戻した事でクロエス様の手札は8枚、よって俺はデッキから8枚ドローする。
来い、来い、来い!!俺の切り札!!
…………8枚目に来るってどんだけデッキの下にいたんだよお前。
「守護騎士ユグドをレベル1にダウン。そして転生召喚の対象にして召喚!守護騎神ユグド・プレミアを召喚!!」
守護騎士ユグドからの転生召喚に成功した時、このスピリットの上に魔石を6つ置く。これでレベル3になりさらに効果が増える。
それにユグド・プレミアは緑と白のダブルシンボルだ。
「守護騎神ユグド・プレミアでアタック!」
「フラッシュ…………ありません。ライフで受けます」
これでクロエス様のライフを全て削って俺の勝ちだ。
久々に緊張した戦いに大きく息を吐き出した。
こんなに心臓バクバク動いた状態でバトルするのはかなり久しぶりだ。マジで負けるかと思った……
「ありがとうございました。本当に負けると思いました」
俺がそう言うとクロエス様はしばらくうつむいたかと思うとポロポロ涙をこぼし始めた!
「クロエス様!?」
「あ、いえ、気にしないでください」
「いや、でも泣いて……」
「確かに悔しいですが不思議と気持ちは悪くないのです。むしろ清々しさを感じるほどです。なのでこの涙はただの悔し泣き。お気になさらないでください」
気にするなっていう方が難しいと思うが……
でもクロエス様は本当に泣きはしたが晴れ晴れとした表情をしているのも事実。悔し泣きする人久しぶりに見たよ。
「ところで本当にこのデッキをいただいてもよろしいのですか?」
「今回は差し上げます。ただ他の方の手に渡らないようにだけご配慮お願いします」
「承知しました。ベル・デュアル様、デッキをお持ちでしたら私とお願いしてもいいですか?」
「承知しました。お相手させていただきます」
やはり悔しいという気持ちは変わらないのか、ベルと戦ってデッキの感覚を確かめるつもりらしい。
意外と負けず嫌いだな~っと思っているとリリアが顔を青くしながら言う。
「ねぇお兄様。クロエス様のデッキ強くなかった?私より強くなかった!?」
「デッキと言うよりはクロエス様が純粋に強いだけだな。紫のコントロールデッキは玄人好みで上手い人が使えば勝率高いが、下手な奴が使うとマジで弱い。だから相手の行動の先読みや、マジックを使うタイミングが命。いやマジで強かったぞ」
「お兄様、私ともバトルして。このままだとクロエス様にあっという間に追い越されそう」
「あいよ」
こうして俺達はもうしばらくだけSWをした。
ちなみに殿下とアトラスもデッキを組んでみたが、素人丸出しのBP勝負が多かった。
『名前 守護騎神ユグド
カテゴリー スピリット
コスト 6
軽減 白3
種族 戦騎士 守護者
シンボル 白1
レベル1 魔石1 BP5000
レベル2 魔石2 BP6000
レベル3 魔石4 BP9000
効果 【レベル1~3】このスピリットの召喚時
BP4000以下のスピリット全てを手札に戻す。
【レベル2~3】
自分の白のスピリット全てに【障壁赤/白】を与える』
『名前 守護騎神ユグド・プレミア
カテゴリー スピリット
コスト 9
軽減 緑3白3
種族 戦騎士 怪物虫
シンボル 緑1白1
レベル1 魔石1 BP6000
レベル2 魔石2 BP10000
レベル3 魔石5 BP18000
転生召喚 条件:コスト6以上の緑または白のスピリット1体の破壊
効果 【レベル1~3】このスピリットの召喚時
相手スピリットを全て疲労させる。
守護騎士ユグドから転生召喚した時
ボイドから魔石を6つこのスピリットの上に置く。
【レベル2~3】このスピリットのアタック時
相手はマジックを使用できない』




