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収穫祭2日目

 収穫祭2日目。

 陛下の前で俺とシルフィードは座っていた。

 周りにはこの会話を記録するための人が居てまるで事情聴取だ。


「シルフィード殿。あの人形と戦ってみた感想はどうだっただろうか」

「どうと言われても、あの人形は最後私が顔をさらしてから明らかに手を抜いていた。だからわざと壊されるように戦わなかったと言う感じだ」


 内容はシルフィードが言った通りあの人形との戦いについて。

 大会初日が終わった後にあの人形と戦った人達に事情をうかがい、どんな感じだったのか調べているらしい。

 大会の受付から戦った選手まで、関わった者全員に話を聞いて少しでも情報を集めようとしていた。

 その一環としてシルフィードにも話を聞きたかったらしい。


 だがシルフィードの言葉は最もで、正体がバレた瞬間これ以上は戦う必要がないと思ったのか大して戦わずに自ら壊れるように前に出た。

 その結果シルフィードにとって大した高いではなかったのである。


「そうは言ってもだ、何か感想の様な物でもないか?」

「そう言われてもだな……あれは確かに誰かによって操作されていた事は確かだが、それ以上気が付いた事がない。あと言えるのはおそらく人間の手によるもの、という所か?」

「というと」

「私に分かるのは妖精のイタズラのようにあの人形の中に誰かが入っていたわけではない事は分かるくらいだ。だからおそらく動かしていたのは人間だろうという予想くらいしか分からない。構造などそういう知識もないからな」


 まぁ知識に関しては期待していないだろうが、それでもこの感想は王様にとっても期待と違ったものなのだろう。


「そうか。話してくれて感謝する」


 そう言った後俺達は部屋を出た。

 シルフィードは首をかしげながら俺に聞く。


「しかし王は一体何を聞きたかったんだろうか?あの人形と戦った感想など参考にならないだろうに」

「少しでも情報が欲しかったんだろうさ。結局分かんない事三昧だし」


 俺だってあの人形がどうやって動いていたのか少し興味がある。

 巨大ロボットとは違うが、ちょっとそういうロマンは感じる。


「マスターの前世ではあのような人形はなかったのか?」

「う~ん。全くないとは言わないが……研究中だったって言うべきかな?」


 アイボとかしゃべる人形とかが全くなかったわけじゃないし、ラジコンで動くおもちゃ程度ならある程度あったと言ってもいいかもしれない。

 しかしあの人形のように人型ロボットとなると話は違ってくる。

 あんな人が操ってしっかり戦闘が出来るロボットと言うのは、出てきても精々アニメや漫画の中、現実で戦闘用ロボットの開発に成功したなんて聞いた事がない。


「研究……つまり作ろうとはしていたんだな」

「そうだけで効率とか現実的にとか、ロマンのない連中のせいで本気で開発してたと言っていいのか分からない。それに比較的すぐ壊れたけど、耐久性の問題とかもあっただろうしな」

「ちなみにマスターの前世ではどのような人形を作ろうとしていたんだ?」

「そうだな……巨人みたいにでっかい人形かな」


 ロマン重視ならやっぱり巨大ロボだろ。

 個人的には戦隊ものとかの合体するタイプが好みだが。


「お兄様、シルフィード。陛下なんて言ってた?」


 城から出るとリリアとノアが待っていた。


「何か気付いた事がないか聞いてきただけだよ。向こうにとってもいい情報らしい情報は提供できなかったけどな」

「ふ~ん。それじゃ今日はあと何する?」

「えっと……何かあったっけ?」

「みんなで舞台でも見に行かない。今日はゆっくりしましょ」


 ノアの提案で舞台を見に行く。

 舞台は定番の英雄譚。

 どっかの騎士とお姫様の話だ。


「王道だな」

「一応この物語、この国の歴史に基づいているんだけど」

「絵本で読んだ。でも劇で見るのは初めてだ」


 何て言いながら演劇を見る。

 こういうの見ると本当にマイクもないのによく声だけでセリフ届かせるな。

 なんて思いながら眺めてる。


 ぶっちゃけ物語の内容に関してはあまり興味はない。

 なんせ今見ているのは絵本になっているくらい有名な話だし、王道過ぎてああそうか、みたいな内容だ。

 だから俺の場合彼らには申し訳ないが、観賞というよりは観察に近いかもしれない。

 どうやって声を出しているんだろう、どれだけ練習していたのだろう、あの衣装を作るのにどれだけ時間がかかったのだろうと思ってしまう。


 4時間休憩込みで劇を見届けたら既に夕方になってしまった。

 少し硬くなった体を歩きながらほぐしながら帰る。


「う~ん。意外と悪くなかったな」

「彼らこの国でかなり有名な劇団なんだけど。あなたはあまり興味が無かったみたいね」

「内容はな。でもやっぱり役者ってのは面白い。久々に見たよ」

「お兄様が求める演劇って凄くレベルが高そう。お兄様の知っている前世の世界の演劇ってどんなのが多かったの?」

「どんなって……演劇は見た事なかったな。ジャンルとしてはドラマの方が一般的だったし、いやドラマも一応演劇と言えば演劇か?」


 俺にとっての演劇とドラマは違う。

 演劇と聞けばさっきのような舞台のある所に行って見に行くと言う感じで、ドラマはそれを録画してテレビで放送する感じ。

 でも物語を実在する人が演じているって所は変わらないからな~、

 この辺の微妙な違いがよく分からん。


「ドラマって何?」

「まぁ演劇の一種みたいなものだ。事前に演技しておいたものを録画……映像として記録……」


 俺の言葉にリリアもノアも首をかしげている。

 そりゃそうだ。

 この世界にはまだ映写機もカメラも開発されていないのだから録画なんて言葉そのものがない。

 そして当然映像技術もない。

 ………………どう説明すればいいの?


「………………動く絵を記録して色んな人に見せてたのがドラマかな」

「動く絵?」

「絵が……動く?」


 あ、これ完全にダメだ。理解できてない。

 言いたい事は伝わっているがまったく想像すらできてない。

 ある意味異世界なのだから正しい反応と言えばその通りだが、ここまで意思疎通が難しい話題はなかったな。

 これは俺が軍事革命になりそうな話題や話を避けてきた事にも関係しているんだろうが、こう改めて文明レベルの差を感じるのは久しぶりだな。


「もうちょっと分かりやすい物はないの?」

「そうだな……やっぱりマンガとかなら分かりやすいか?」

「マンガってたまにお兄様が言ってる奴だよね。あれも演劇?」

「違う違う。マンガってのは絵で語る物語……絵本みたいなものか?でもコマ割りとか色々あるし、一概に同じとも言えないけど」


 そう言えばゾロリって絵本?漫画?あれどっちだ??


「絵本を大人向けにしたみたいな感じ?」

「これいざ説明してみろって言われると案外し辛い物だな。まぁ大雑把には分かるからあとで書いて見せるけど……下手なのは勘弁な」

「それって面白いの?」

「それはやっぱり人による。実力のある人が描けば面白いし、実力のない人が描いた奴は面白くない。俺自身読みはしたけど描いた事はないからな、本当に簡単な奴だぞ」

「簡単ってどんな?」

「……とりあえず四コマ漫画でいいかな?あれ簡単かって聞かれたら簡単とも言えないけど」


 4つのコマで話を完成させる難しさがあるし、何より物語のネタがない。

 ここは適当に日常に起こった事を四コマ漫画にして見せるのがいいだろ。

 百聞は一見に如かずだな。


「まぁ説明のための物だし、それなら何とか描けるかな?」

「へぇ。ちょっと楽しみ」

「マンガ見てみたい!」

「あまり期待しないでくれよ。いや本当に」


 こんな形で期待されるとはな。

 漫画なら文化交流くらいで済むだろうし、内容もこの世界で過ごした体験を描けばいい。

 よし、上手い下手考えず資料程度に教えればいいだろ。

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