奴隷の少女 3
「殺してください」
部屋に入るなり突然そんなことを言い出す少女。
雪としては殺しても構わないがそれは情報を聞いた上での話だ。
「殺すことは構わないがお前の知っている貴族についての情報が欲しい」
「私は、何も知りません......なので殺してください」
「貴族の娘として売られるまでは育てられていたんじゃないのか?」
売られるような存在であったとしても何も情報を持っていないというのは流石に納得できない。
「私は元から売るために育てられていたんです」
「何故?」
「子供が生まれないからと私は養子として引き取られたのですが、私が引き取られて直ぐに子供が生まれたので私は用済みになってしまいました」
「養子として引き取ったんだから何かしらの使い道はあると思うが?」
「それでも私は売ることを前提に育てられました。申し訳ありませんが貴方様が望む情報は持っていません、なので殺してください」
そんなことを言われても雪ははいそうですかと信じるわけはなかった。
「悪いが信用出来ないな......それに死にたきゃ自分で舌でも噛めばいい」
「私は自分で死ねないようにと呪いをかけられています。自分で死ぬことは出来ません」
死んだ表情のままそう言う。
「どんな些細な情報でもいいぞ?」
「私はずっと地下室で暮らしていましたから......何も知りません」
「......」
売られるような存在だったとしても多少の情報は期待していた。だと言うのになんの情報も得られないなんてのは正直雪としても予想外だったためにショックが大きい。
(......どうしようか......殺すか? でも人間がいることによって何か使える時が来るかもしれないしな......)
「なら、俺の役に1回でもたったら殺してやる。それでいいな?」
「それで殺してくれるのなら」
死んだ表情ながらも多少嬉しそうにしているのは雪の気のせいかもしれない。
「一応聞くんだが名前とかあったりするか?」
「売られた先で運が良ければつけて貰えると言われてはいました」
「名前ないってことね」
「はい」
この少女には名前がない。だからといって雪は自分が名前をつけようなんて思ってもなかった。
どうせいつか殺す存在なのだから。
「私は具体的にはどう役に立てばよろしいのでしょうか」
「自分で考えろ」
役に立って欲しいとは思ったが具体的には正直思いつかなかった雪なのでそう答える。
「......分かりました、それで殺して貰えるなら」




