表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/14

奴隷の少女 2

 馬車の中へと入った雪だったが檻と少女以外には干し肉だったりと日持ちのする食料しか無かった。

 そしてその少女はというと死んだような目をしており雪の角を見てもその絶望の表情は変わることは無かった。


(この子をどうするかだよな、何か使い道があるのか? 先にあの男に聞いておけばよかったな......)


 この少女の得意としていること、あるいは何故こんなことになっているのかなど聞いておけば良かったと思う雪だったが今から聞きに行くという選択肢は無かった。ランドルの前でそんな間抜けな事をする訳にはいかないと思ったのだ。


「なぁ、色々な国やその国との敵対関係とかについて聞きたいんだが?」


 ダメで元々、そういう思いで聞いてみる雪だったが何も返してくれない。


(だめだな......あの男にこの子について聞くか?......でもランドルがいるんだよなぁ......)


 仕方ないと溜息をつきながら馬車の外へと出ていき、ランドルが見張ってくれている男の方へと行くのだった。


「ランドル、その男と馬車の中にいる少女を持ち帰る、他の奴らについては任せる」

「では、私が先程生み出しましたリッチを護衛として......勿論ユキ様程のお力があればそのような必要はございませんがもしもの時は骨の盾となれるように」

「ユキ様、お傍に使えるご許可を」

「あぁ、許可する」

(リッチって明らかにスケルトンの上位種だよな......俺のスケルトンより弱いって......やっぱりラルフが変なことを吹き込んだんだな......)


 雪からしてみれば街での騒ぎなど知らないのでラルフが過剰評価しただけだろうと思っていた。


(こいつらを部屋に......いや、殺すことになった場合部屋が汚れるな......確か地下室があったはずだな、そこに持っていこう)


 そう思いながらリッチに運んで貰うために命令するのだった。

 雪としては早く情報が知りたかったのでランドルより先にリッチに2人を運んで貰いながら魔王城の地下室へと足を運ぶのだった。


「よし、お前はもう行っていいぞ」

「いえ、そういう訳には......ランドル様よりもしもの時は骨の盾になれと命じられているので」

「俺が人間相手に遅れを摂ると?」

「滅相もありません、しかし......」

「なら俺の部屋にある地図を元の場所へ戻しておいてくれ」

「......かしこまりました。すぐに戻ってきますので」


 リッチは地下室から出ていく。

 雪は勿論部屋の場所を教えていないし地図があった場所については元から知らなかった。

 少なくとも5分程は戻ってこないだろうと予想して男に少女の事を聞いてみる。


「この人間は何故こんな事に?」

「こ、この娘は元貴族の娘で家に売られたんです」


 貴族の子......厄介なものに手を出したかと思いはしたが雪の狙いはこの男から情報を聞き出すためだったので貴族の娘に関しては一旦置いておくことにした。


「国について教えてもらおう。国の敵対関係とかな」

「帝国とヴァンス王国は勇者が召喚される前から戦争を仕掛けあっていまして......最近の噂では帝国が勇者のいるヴァンス王国に戦争を起こそうとしているとかなんとか......」

(勇者はヴァンス王国にいるのか......そして戦争が起こりそうと、その戦争に勇者を使ってくれるなら勇者の戦力が大体測れてこっちとしても楽なんだが......勇者といっても要は地球人ってことだろ? 俺みたいにこっちの世界に来る時に何らかの仕掛けが発動して人間を殺すことに抵抗が無くなるかもしれないがそんなことをすればいつ国を裏切られるか分からなくなるよな......勇者ってのはあくまで魔王討伐の切り札ってとこだよな多分)


 雪は勇者が戦争では使われないと思っているがそれはヴァンス王国だけに勇者がいる場合である。

 勇者がいる国同士での戦いにどちらか片方が勇者を出してきたならばもう片方も勇者を出すしか対抗手段がないといっても過言ではないのだ。

 勇者1人で普通の人間5000人分は力があるとされている更に勇者の仲間となる他の上級の職業であっても3000人分は強いとされているのだ。


「戻りました、ユキ様」


 まだ聞きたいことがあった雪だったがリッチが戻ってきてしまった。


(もう隙を見てこいつとだけ話すってのは無理だろうな......まぁ、勇者の情報が聞けただけで良しとするか......あとはこの子の精神をなんとか回復させて聞けばいい。売られたとしても貴族として育てられていたはずだ、何か情報を持っている可能性があるしな)


 そう考えながら少女の事を見てみるが先程と全く表情が変わっていない。


「この男を殺しておいてくれ」

「なっ! ふざけるな! 私は情報を与えただろう!」


 先程まで震えていたのに恐怖よりも怒りが勝ったのか顔を真っ赤にして怒鳴っている。


「かしこまりました、では私が処分させていただきます。そちらの人間はどうなさるのですか?」

「しばらくは俺が面倒を見る」

「ユキ様が人間を、ですか?」

「あぁ、何か文句があるのか?」

「......いえ」


(流石にこいつらに人間の面倒は任せられないよな......俺も人間に対しては何も思わないがこいつらは明らかに人間のこと嫌いだもんな......)


 そんなふうに思いながら檻を壊し少女を自分の部屋に連れていくのだった。

 この時ヨミとヴィラに見つからなかったのは幸運だったと言えるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ