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奴隷の少女 1

「馬車か......商人か奴隷商人か貴族ってとこか? そもそも奴隷がいるのかなんて分からないが。そのどれだとしても魔王城の近くを通るってことはそれなりの理由がありそうだな」


 雪はなんとなく予想しながら外を覗いてみる。

 雪の超人的な視力で見えたものは少し大きめの馬車(この世界の基準は知らない)を馬2頭で引いておりその馬車の中にはいわゆるチンピラと言われるに相応しい顔のもの達が乗っておりその奥には檻の様なものの中に閉じ込められている青髪の少女が俯いているのが見えた。


「......貴族では、無さそうだな......貴族に雇われている可能性が捨てきれないが、どうしようか......」


 少女に対してはなんの感情も抱いていない雪だったが単純に人間を確保出来るという理由と商人だと思われるので、色々と情報を持っている可能性があった。そもそもこの世界の奴隷が法律のようなもので禁止されているかも雪には分からなかった。


「行くか、この距離なら俺1人で行ってもすぐに戻って来られるしな。配下の前で聞けない質問とかもしたいし」


 行こうと思いそこから飛び降りた雪。

 そこから適当に走り10秒も経たないうちに馬車へと追いついたのだが......


「なっ! 魔族......」

「おい! お前達はこんな時のために雇っているんだ! わしの役にたたぬか!」

「そのような人間でユキ様の時間稼ぎをしようとしているのですか?」


 雪のすぐそばにはどうやって気づいたのかは分からないが

ランドルがいた。

 雪は気づいていた、ランドルが後ろから追ってきているのを......だがそれ故に怖かった、ランドルは後ろから追ってきているのに足音すらしていなかった。なのに雪は気づいた......なら何故ヨミが部屋の前にいる時は気づくことが出来ないのかと。

 今はこんな事を考えている場合ではないと判断しランドルに尋ねる。


「よく気がついたな?」

「ナーフに聞きまして、早速ですがこの愚かな存在はどうなさるのでしょうか?」

(待って待って、ん? ナーフに聞いた?......一旦置いとこう)

「実験に使おうと思ってな、あの商人と檻の中にいるやつ以外は好きにしていいぞ」

「聞こえていましたね? では選んでください、死かみっともなく勝てるはずのない相手に抗うのかを。死を選ぶのであれば苦痛なく殺して差し上げます、しかし戦いを望むというのであれば私の玩具として産まれてきたことを後悔することになるでしょう」


 商人とチンピラは震えている。

 この商人たちのせめてもの救いは相手をただの魔族だと思っていることだろう。もし相手が魔王だと気づいていたのなら気を失っていたかもしれない。そうなれば選ぶ選択肢すらなくランドルの玩具にされていただろう。


「お、俺は戦うぞ!」


 1人のバカがそう言った瞬間だった。

 その場の空気が変わりそのバカはまるで何かに押さえつけられているように地面に倒れ伏し両腕の骨が粉々に潰されていた。

 そのバカは腕の痛みに声を荒らげようとしているが声が出ていない、その場で動こうとしているが動けない様子だった。


「空間魔法の1種ですよ。それでは他の方々もどちらかを選択してください。もっともこれ以上ユキ様を待たせる訳にはいかないので残り10秒以内としましょうか」


 そんな言葉を聞いた瞬間雇い主である商人が震えた声で尋ねる。


「わ、わしは.......見逃してくれるということでいいの......いいんですか?」

「少なくとも私は手を出しません。残り5秒です」

【あぁぁぁぁぁぁ】


 4人の両腕が潰され地面に倒れ伏す。

 そして最後の1人の男が馬車の中から恐る恐る出てくる。そして自分の運命を受け入れた様に目を閉じる。

 ランドルが骨の方の腕でそいつの頭に触れる。


「ユキ様の役に立ちなさい」


 そう呟かれその男はみるみるうちに肉が熔け骨だけになり少しだけ大きくなる。

 それを見た雪はスケルトンかと思ったが商人は信じられない光景を見たとばかりに顔を蒼白にしぶるぶる震えていた。

 そしてそのスケルトンは何故か宙に浮き始める。


「こちらを見なさい。君の主、ユキ様だ」

「ユキ様、貴方に忠誠を誓います」


 雪は不思議に思った。何故スケルトンが喋るのかを......

 

(発声器官が無いのに喋ってる......俺の生みだしたスケルトンは喋れなかったはずなんだが......まぁ、ランドルは半分骨だしな)


 ランドルは半分骨で自分はそうじゃないということで無理やり納得した雪だったのだがランドルが唐突に意味のわからないことを言う。


「ユキ様の作り出したスケルトンには遠く及びませんが、多少は役に立ってくれるはずです」

(......宙に浮かび言葉も発するスケルトンが俺の作りだしたスケルトンより下位の存在? ラルフが変なことを吹き込んだな......まぁ、いいか)

「あぁ、期待している」


 ランドルが作りだしたスケルトンは魔法を使えるが雪の作りだしたスケルトンは魔法を使えなかった。ただ、ランドルが言っている事は事実でありもし雪のスケルトンとランドルのスケルトンが1体1で戦ったなら間違いなく雪のスケルトンが勝つだろう。


「ランドルはその商」


 そこまで言いかけた雪だったがそもそもこいつが商人なのかはまだ分からないということに気づいたのだった。


「......その男を見張っていてくれ」

「かしこまりました」


 雪は馬車の中の少女の元へと行くのだった。

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