秘密アーカイブ
灰色の無機質なビル群を潜り抜け、二人はようやく目的の場所にたどり着いた。
天を突く高層タワーの地下にひっそりと隠された、重厚な装甲扉。
それこそが、エデン社のあらゆる極秘ログが眠る『データアーカイブ』だった。
だが、扉の前には幾重もの電子ロックと、生体認証センサーが光っていた。
「ダメよ……。浅層のIDプロトコルじゃ、この扉の認証を破ることはできないわ」
イヴが焦りを見せ、しっぽを不安気にパタパタと揺らす。
「ここまで来て引き返せるか……! イヴ、何か方法はないのか?」
「……あるかもしれない。でも、すごく危険よ」
イヴは己の手を見つめ、真剣な瞳でシオンを見上げた。
「私……エデン社に作られた『特別誘引プログラム』なんでしょう? なら、私の初期プロトコルの奥底には、管理者レベルのアクセス権限『マスター・キー』が眠っているはずなの。それを使えば……この扉を開けられるかも…」
「なっ……!? でもイヴ、そんなことをしたら、お前のコードがエデン本部に感知されて、初期化される危険があるんじゃ——」
「シオン。私の生まれた理由が何であれ、私はいま、自分の意志でシオンと一緒に真実を知りたいの。……私を信じて!」
イヴの決意に満ちた言葉に、シオンは強く頷いた。
「わかった……! 頼む、イヴ!」
イヴは深呼吸をし、しっぽの端子を扉の認証ターミナルへ力強く突き刺した。
彼女の全身を、激しい蒼いバイナリコードが駆け巡る。
『照会中……プロトコル識別:特別誘引ユニット・イヴ……マスターアクセス承認』
ズズズ……と重音を立てて、巨大な扉が左右に開いた。
「成功したわ……! さあ、シオン、中へ!」
二人は滑り込むように静まり返ったアーカイブ施設内部へと踏み込んだ。
そこに待ち受けていたのは、巨大なホログラムデータ群と、エデン社が隠し続けていた「記憶改ざんの真実」だった——
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
「面白かった!」「続きが気になる!」などと思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると嬉しいです!




