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死に戻ったら前世で私を殺した宿敵が溺愛してきます if  作者: しののめ


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3-1 誰にも知られてはならない秘密ーーのはずだけど?

 毎朝「元の姿に戻っていないか」と期待を込めて鏡を見る。


(……はぁ……)


 そしてアンリは、自分の体が女のままであることを目(ま)の当たりにし、失望のため息をつくのだった。


 仕方がないので、王城の自室に篭ってシリル王子に渡された魔導書を読み解き、可能な限りの魔法を取得し、一週間が経ったところで、シリル王子に呼び出された。


「今から人と会うんだけど、貴方にも同席して欲しいんだ」

「私が、ですか……?」


 今の状態で人に会うのは、まだどこか不安がある。しかしシリル王子は、そんなアンリを安心させるように微笑み、


「安心して、静かに見守っていてね」


と言った。つまり黙って見ていろ、ということだ。


「かしこまりました」


と答え、アンリはシリル王子の一歩後ろに控えた。するとすぐに、来客を告げる叩き金を打つ音がし、


「どうぞ」


とシリル王子が答える声と共に、扉が開いた。


「……失礼します」


 そう言って入ってきたのは、ローランだった。

 ローランはシリル王子の後ろに控えているアンリをちらりと見やったが、すぐに視線を外した。


(え? 何でローランが?)


 第一王子付きの騎士であるローランを、原則としてシリル王子は呼びつけたりはしないのだが、


「呼び立ててごめんね。どうしても話しておきたいことがあって」


という言葉から、シリル王子がローランを呼んだことに間違いはないようだ。


 ……シリル王子は、アンリにとって決して悪い主ではないが、少し突飛なところがある。一体何を考えているのか、少しばかり……いや、かなり不安である。


「まずはローラン。ちょっと、こっちに来てくれないかな」

「……はい」


 陣営は異なるといえど、相手は王子だ。ローランは、ちょいちょいと手招きするシリル王子の依頼に応じ、渋々といった様子で近づいてくる。


 シリル王子は、対面して立ち止まったローランの手を取ると。


 ーーその手をアンリの胸に押し付けた。


 ーー。


 ーーーーーーー?

 ーーーーーーーーーーーーーー!?


 アンリは固まった。が、それ以上にローランが固まっていた。やがて彼は、はっと我に返ると、


「うわっ……!」


と叫んで、ものすごい勢いで手を引っ込めた。さらには飛び退いた。その後、化け物でも見たかのような目で、アンリを見た。


 そんなローランに向けてシリル王子は、


「アンリって、女の子なんだよね」


と飄々とした口調で、さらりと暴露してしまった。

 王子!? とアンリが驚きの声を上げるより早く、ローランの声が飛んできた。


「そんなわけ、ないでしょう!? 私たちは学園で同級生で、アンリの体を見たこともあります。彼は確かに男でした!!」


 まあ、学生時代の武の授業で上半身を脱いだ姿は見られているし、騎士になった最初の頃も、健康診断などで無造作に人前で脱いでいたので、間違いなく男であったと確信されていることだろう。


 なお、二年目からは半裸を晒すイベントは控えることにした。

 第一陣営筆頭のローランから、


「君が脱ぐと、騎士たちが色めきだって迷惑だ」


と、まるで公然猥褻物かのような扱いと苦情を受けたためである。


 腹が立ったので、


「お前の指図は受けねーよ」


と毒づいたものの一理あったうえ、アンリ自身、無遠慮に見られるのは気持ちの良いものではなかったので、以来、服はきっかりと着込み、いたずらに人前で着替える行為を控えるようにしていた。


 そういうわけで、ローランが「アンリは男だ」と言い切るのは当然のことである。

 するとシリル王子は悪びれもせず、言い換えた。


「ごめん、間違えた。女の子になっちゃったんだ」

「……はぁ!?」


 ローランが混乱の声を上げた。

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