↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死に戻ったら前世で私を殺した宿敵が溺愛してきます if  作者: しののめ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/28

小話一 大迷惑主従

 一人の見目麗しい金髪の騎士が、肩を怒らせながら大股に歩いている。人を寄せ付けない空気をまとったその青年は、第一陣営筆頭騎士であるローラン・シャルトルである。

 彼は、


「シリル王子に面会願う。ーー今すぐに、だ」


と王子の護衛に謁見申請を叩きつけ、その場で許可を取り付けると、真っ直ぐに第二王子の私室に向かった。


「シリル様!」


 果たして。

 今日も今日とて、のほほんと本を読んでいたシリル王子が視線を上げた。


「ん? どうしたの、ローラン。そんなに怖い顔して」


 ローランの要件など分かり切っているだろうに、わざとらしく小首を傾げるその仕草があざとく、忌々しい。


「今日の訓練のことです。貴方の力で、どうにかならなかったんですか!?」


 すると、大袈裟に腕を組んで考える様子を見せたシリル王子は、わざとらしく手をぽんと叩いた。


「あー。泳法訓練のこと?」


 そして本に栞を挟んで閉じた。


「いや、もちろん反対したよ? アンリを騎士のみんなの前で素っ裸にするわけにはいかないからね。ーーでも着衣訓練に変更するだけで精一杯だったんだ」

「……」

「あの教官って脳筋でしょ? アンリの水に濡れた姿が、みんなの集中力を奪うって説明しても、理解してくれないんだよね。ほら、あの人、人を筋肉でしか見てないから」


 確かにあの教官は、アンリの美貌に一片たりとも心奪われない、数少ない人間だ。多分、筋肉で個人を識別しているのだと思われる。


「それに服は着てるから、大丈夫だっただろう? アンリは、良いことなのかどうか分からないけど、そう豊満な体つきじゃないし」

「そういう問題ではないでしょう!」


 シリル王子の危機感の無さに頭痛を覚え、こめかみを指で押さえる。


「シリル様。貴方もご存知でしょう? アンリは普通の人間ではない。あの美貌は、人を惑わすほどのものです」


 実際、訓練の時にアンリがプールから上がると、皆の視線が彼ーー彼女に集中したのが、すぐに分かった。アンリが濡れた髪をかきあげると、数人が見惚れていた。ーーローランの見咎める視線に気付くと、慌てて視線を逸らしたが。


 極め付けは、溺れた新米騎士の一件だ。アンリに人工呼吸を施してもらったと勘違いした、あのうっとりした目が「この温もりは一生忘れません」と如実に語っていた。


 ーーこっちは、すぐに忘れてほしいし、忘れたい。


「色気のかけらもないから、どうにかなっているようなものの、あんな無自覚では先が思いやられます」


 そう訴えると、シリル王子がふふっと笑った。

 ーー何故、抗議されているこのタイミングで笑うのか。意味が分からず不審な目で見やると、シリル王子は悪戯っぽい口調で、こう告げた。


「何、ローラン。貴方、もしかしてアンリを心配してくれているのかい?」

「……」


 空気を読まない軽口に、ひと睨みすると、


「怖い怖い」


とシリル王子は軽く肩をすくめた。その後、暦に視線を送って今後の行事を確認したのち、言葉を継いだ。


「まあ、でも次の合同訓練は何も心配ないでしょう?」


 次は野外で行う大規模演習の予定だ。

 新人の心身を鍛えるための実戦演習であるため、筆頭騎士などの幹部の役割は、管理監督に止まる。つまり自分たちに実技はないので、理論上はアンリの秘密がバレる危険性はないのだが。


「……そうであることを祈ります」


と応じながらも、一抹の不安が胸をよぎる。


(何となく、嫌な予感がする……)


 今のアンリは、嵐を呼び込むような厄介な運命を背負っているような気がしてならなかった。




⭐︎今回から更新は隔日とさせてください⭐︎


更新が一日置きになってもTS男女に対する愛は不滅です!


TS男女好きさんが増えますように……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。