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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その6、エンジョイ勢の真骨頂は趣味パ
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剛拳




「しばらくの間、あなたにはこの部屋を使っていただきます。」


「…ああ。文句はねえ。」


「今から傷を癒す治療師を連れてきます。」


「待て。分かってんだろ?勇者に直接魔法は効かねえ。」


「ええ。常識ですね。それでは…」


バタン。



「"花園"か…部屋も女の趣味だな。…このベッドだと小せえ…横向きゃあ大丈夫か。」



…コンコン。


「ああ。入ってくれ。」


「失礼します。バガ様。治療師のハナと言います。」


「なぁ。勇者に直接魔法は…」


「私達の魔法は特別ですの。」


((ヒール・ハンド))


「バガ様。服をお脱ぎください。」


「あ?…分かった。」



……。



「失礼します。」


「ただのマッサージか?こんなんで傷が癒えるわけ…痒いぞ、なんだ?」


「バガ様の回復力が上がっているのです。右腕の傷を。」


「…肩と首揉まれてるだけで傷が塞がっていきやがる…っは。」


「滞在中は1日1回、私が施術させていただきます。」


「そうだな。世話になるぜ。」



コンコン…ガチャ。


「シラユキ様。」


「続けてください。バガさん。体はどうですか?」


「どういうわけか効いてるな。お前といいこのエリアの奴らは…」


「ふふ。それでは…あなたのレベルを。」


「俺は60だ。ここに来る前から。来てから1レベルだって上がらねえ。明らかにお前ら格上だろうが。なんでだ。」


「そうでしたか。ご存知ないのですね。」


「なんだよ。」


「レベルは60で限界です。普通であれば。」


「あん?聞いたことねえぞ。お頭は90超えてるはずだ。」


「お頭…と言うと?」


「ナナミ姐さんだ。」


「…ああ、最強の世代ですね。彼女の元に居ながら話は聞いていませんでしたか。」


「教えてくれ。」


「彼女の言葉で言うならたしか…"本物"。この言葉に聞き覚えは?」


「ある。何度もな。」


「私達は"開花"と呼びます。力を蓄えた蕾が花開く時、その花は誰よりも強く美しいのです。」


「つまり何なんだ。」


「レベル60に達したら、特定の条件を満たさなければそれより強くなることはありません。」


「…………………………。」


「噂によれば、あなたのお頭さんは神化の棺と呼ばれる魔道具を隠し持っているとか。」


「それがあれば強くなれるのか?」


「そうでしょうね。でも、それだけが答えではありません。」


「…お前も60より上ってことか。」


「ええ。私のレベルは77。開花してから戦闘はあまりしていませんが。あなたに1週間の滞在を認めたのは開花に必要な時間のためです。」


「俺もここで、強くなれるんだな?」


「あなた次第。ですが、協力はします。今夜から始めますから、この後食事を取って体を休めておいてください。それでは。」


バタン。



「くそ…レベルに限界があって…雑魚勇者みてえにメモ取っておけば良かったな。」


「難しいことは考えなくていいのです。今は…」


「おぉ…一気に楽になってきたな…」



…………………………………。






待合室でヒカリさんと例の3人組の初対面。


もちろん俺は足ドリル対策したよ?

何回も念押ししたよ?


そしたらね。


二の腕を抓ってきたんだよねー。予想外。



「うふふ。ナギ様だって。尊敬されてるのね。」

ニッコリ。


「一応勇者だしぃたたたたた…ヒカリさんだって様呼びされてたじゃん!」


「あの子達。ナギ君を見る目がキラキラしていたわ…」

グググ…


「千切れるよ。パンじゃないんだからさ。出血が時間の問題なんだけど!」


「大丈夫よ。すぐ治るわ。ナナミ様が来るまで…」


「泣いていい?」


3人組は連携上手らしくて、弱いのから中堅までの魔物を毎日狩りまくってるらしい。

ナナミさんどこからあんなの見つけて来たんだろ。


痛っ!!


「ちょ!…本当に出血したんだけど…」


「あ…ごめんなさい。爪が深く入っちゃったのね…」


「少し落ち込んできた…」


「ナ、ナギ君?ごめんね?…大丈夫?」


やり過ぎちゃって後から謝るくらいならやるなや!って気分のやつですはい。


一部の方にはご褒美なんでしょうけど!?

女性キャラ登場する度これやられると思うと気持ちが沈むわ!



「…はぁ…ごめんちょっと気分転換してくる。」


「ナギ君、私も行く…」


「1人がいい…」


なんだろ。嫌われてんの?

冗談で抓るにしても出血はないじゃん。

はぁ…ジンジンするし。



………………………。



…実はエルとの秘密はたくさんある。

書庫の裏の壁の一部にスペアの盗賊の鍵があるんだよね。

まあ書庫に入るためにしか使ってないんだけども。


今は割と堂々と入れる。

だってギルドの主力だもん。エースだもん。

ナギ様だもん。


ガチャ。


「鍵は閉めるっと。」



落ち着く。


図書館とか落ち着くよねーの感じでもあるし、思い出の場所でもあるし。


仲間だけど、それ以上に友達だったんだよ。

目の前で死んだんだ。


俺は死ぬまでこの事を忘れないし、大切にする。

俺の中でエルは永遠に生きるんだ。



ガサゴソ…


「1人だけの交換日記か…寂しい人間だな俺って。」


※エルー!俺レベルが限界突破したんだ!"本物"なんだぜ!

※今ならお前が倒した魔王だって1人で倒せるぞ?おら、悔しいだろー!

※なあなあ!今日グレイトマジシャンのすんごいコスプレ衣装見つけたんだ!


ポタ。ポタ。



…あれれ。室内なのに雨かな?

あ、心の汗?


「寂しいぃ…っぐ。うぅ…」



……………………………………。



「待たせたなあ!書類整理係と書類記入係、仕事を分けてさらに1人増やそうか困っててなあ…ヒカリ、ナギはどうした?」


「少し気分転換に…」


「そうか。電話しろ。呼び出せ、今すぐ。」


「彼、電話を置いていってしまって…」


「ったく…めんどくせえな。…戻ってくるまでちょっとスマホ覗いてみるか?」


「ナナミ様!ダメです。いくらなんでも彼のプライバシーが…」


「まあいいからいいから。おい!技術係!」


ダダダ…コンコン…ガチャ。


「はぁ…はぁ…」


「このスマホ。パスワード分かんねえからお前やれ。」


「…はい?」


「やれ。」


「はいっ!!!」


「ナナミ様!もしバレたりでもしたら…」


「別にやましいもん入ってねえなら良いだろ?あいつの趣味とか知れりゃあ今後仲良く出来るんだからさ。」


「………………………。」


「おいまだか?」


「ひぃっ!?………ふぅ。」


((チェック・ステイン))


「あ?お前それ戦闘処理に使う魔法だろうが。ふざけてんのか?」


「…これは汚れなどを浮かび上がらせる効果があります。指紋の多いところを…」


「はっはぁ〜ん。お前、常習犯だな。」


「ナナミ様。今すぐ止めてください。」


「お前もしつけえなあ?なんだ?お前ナギと変な写真撮ったのか?それともお前が送ったのか?」


「……解除出来ましたっ。」


「へぇ〜…やるじゃねえか。今度俺のパスワード忘れた時も頼むぞ。下がれ。」


「失礼します。」


「ナナミ様…」


「っは!っは!待ち受けはお前とモモだな。へぇ…浴衣似合ってんな。さて、画像フォルダ…」



ガチャ。


「もうナナミさん来た?」


「ナギ君!」


「おう、来たか。」


は?…あ、それ俺のスマホ。

置いてったのか…我ながら不注意…っていうか


「何見てんの?」


「別にいいだろ?」


「…よくねえよ!置いてあってもそれぐらい分かれよ!パスワードは!!」


「部下が開けた。…ってもまあ…お前のスマホはヒカリでいっぱいだなあ?ストーカーとかすんなよ?」


「しねえよバカ!返せ!」


「んだお前。何かあったのかよ。」


「今まさにこの瞬間だわ!ふざけんなよ!もう帰る!」


「待て!話はこれからだt」


「黙れ!お前らはこの瞬間俺からの信用を無くしたんだよ!」


ガチャッ、バンッ!!!



「…なーに騒いでんだか。」


「ナナミ様。今すぐナギ君に謝罪を。」


「謝る必要ねえだろ?なんだよお前まで。一緒に見た共犯者だろうが。」


「あなたが見せてきただけです。私も失礼します。」


「待ておら!話があるってんだろうが!お前は聞いて帰れ。」


「……手短にお願いします。」


「最近魔物があまりに多くてな。他のギルドに連絡を取ろうとしたんだが、バカとタロウのエリアがな…」


「なんですか。」


「バカは行方不明。部下がどうにか運営している状態。タロウも行方不明だが、東南エリアはギルドが壊滅。役割持ちは全員死んでると確認された。」


「………………………。」


「東のジミー様は無事です。」


「東?お前繋がりあんのか。」


「………これが連絡先です。相互協力関係です。」


「へえ。やるじゃねえか。お前とナギにバカの捜索及び東南エリアの魔物の掃討を任せる。いいな。」


「………失礼します。」


ガチャ…バタン。


「っはぁ…つまんねえな。DVD借りてくるか。」



…………………………………。




「おらあああああああっ!!」


((ギガ・インパクト))



「甘いです。」


キン。


「ぢぃっ!!こいつだ!」


「ロールですか?」


「っ!」


「あなたの腕力は認めます。ですが攻撃は分かりやすく誘導もしやすい。目先の力に頼るのは弱者のすること。」


「………。」


「私の目を見なさい。」


「…ああ。」


あなたの情熱はその目を見れば分かります。


ですが本能のままに拳を振り回しても届きません。


もっと…相手を見るのです。その目で。



「………………。」


「どうぞ。」


「ふぅ…」


((メタル・フィスト))


「おらっ!!」


ドオオオン!バキバキバキバキ…


「ふふ。床を打ち抜きますか。」


「これで足場が悪くなれば逃げ道が減る。」


「そうですね。どうぞ、次の一手を。」


「ぐっ……らああああ!!」

グググ…ガシャァン!


「剥がした床を投げ飛ばして退路を潰す。良いですね。でもまだ攻めてはなりません。」


「…おらああああああ!!!」


((メタル・ボディ))


「…っ!まあ。そんな技、私の前で使ったことありましたか?」


「無えな。今やってみただけだ。この身で守る、その覚悟だ。」


「その目…その目をするあなたを私は受け入れたのです。さあ。」


「行くぞ…!」



ドカアアアアアン!!ジュパアン!ドオン!ドオン!!



……………。



「やべえよ…あの大男、シラユキ様に気に入られたって…」


「闘技場で今もやってるみたいだしな。俺達…絞られるな…」


「今夜は泣き酒だな…」





…………………………………………。




《くそ!くそ!くそおおお!私の大事なコレクションが!!おのれぇ…中央ギルドには厄介な人間が多いようだ。スパーン様のため、早く身体を…!!》


((ジュエル・リリース))



ズズズ…


《取っておいて良かった。この身体に魔力を注いで…惑わせましょう。混乱の最中、目的を果たせばいい。》


ゴォォォォォォ…


《貴方は誰かな?》


《……スイ。魔王スイ。》



《私のとっておきの手駒です…ハハハハハ!》





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