強制コンティニュー part3
「きゃああああああ!」
お母さんの声だ!
「うっ…!!」
ドタバタドタドタドタゴロゴロ…
階段は急いでいても下りで段を飛ばしちゃいけない。
じゃなきゃ踏み外して落ちる。
「…!お母さん!」
「……………。」
無言…見える範囲に魔物はいない。
大丈夫、お母さんは無傷。
「お母さん、大丈夫か?何があった?」
「…………。」
分かってたけどお母さんには精神耐性がない。
でも突然無言で立ち尽くしてるんだ、何かある。
魔物がいる…
ッビュ。
「え?」
何かが通り過ぎた…?
あ。血が出てる。
俺の右足…脛のとこ…なんか白いのが…
骨?
「ぐあああああああああああああ!!」
視認したら痛みは加速する。
ケガの程度によるショックだよな。
自分がこんなケガをするなんて!って驚いて…
ダンダンダンダンダンダン…
我が家の階段はなかなかにうるさい。
どんなにそーっと踏んでもミシミシ言っちゃうような。
軽い気持ちで駆け上がればこうなる。
「上か…!痛っ…くぅぅ…」
足がズキズキ。
でもな、自宅警備員やるならこれぐらいで負けちゃダメだ。
自宅は本来、安心・安全な場所でなければ!
外で頑張ってきた家族が、心穏やかに休める場所でなければ!
「さすがに…戦えるのも俺だけだしな…」
リビングの椅子にかけてあったタオルを足に…申し訳程度だけど、ギュッと結ぶだけでも違うんだ。
心持ちが。
ゆっくり…ゆっくり…
ミシッ…ミシッ…
ガシャン!ガシャガシャ…
上にまだ居る…
2階は俺の部屋、兄貴の部屋、トイレ、物置扱いの客間。
…まぁ俺の部屋からしか音しないんだけど。
「隙間から…」
ドア|ω・`)チラッ
《ピャウゥゥゥ…ルルルル…》
知らない鳴き声。
体は…白い…けど透明。
静止するとジワジワ透明化するのか…
見た目は…獣人だな
可愛さもモフモフ感も皆無だ。
完全にハンターだよあれ。
刃物…いや、包丁持たなくてもその牙と爪で十分だろうに…
姿が見えてる所を狙う…
スッ…
ゆっくりドアを開けて
「おらああああっ!!」
左足で強く蹴り出して部屋に飛び込む…
《ピャンッ》
顔面に拳がクリーンヒット。
…ねえ、着地は?
ダンッ!
「痛っ…ですよねぇ…」
急いで次の手を…
キラ…
今部屋の隅に何か…
あの輝き…
金と銀の一対の短剣。
…あれ以外武器という武器は無い。
でも…あれは…
《ルルルルルルアアアア!!!ピャァァ!》
「しまっ…」
迷いすぎた。
…透明化して
…左足を切り落とされる
…その後腹に爪を突き立てる
…間違いなく死ぬ。
「なら選ぶしかねえ!一択だ!」
透明化していく…早く
カチャ…グッ。
左手に持った銀の刃は美しい龍のようで、その一振りは目にも止まらぬであろう軽さ。
右手に持った金の刃は勇ましい虎のようで、その一振りは全てを断ち切るであろう重さ。
「……やるしかねえ。」
魔物は透明化した。
俺の隙を狙ってるはずだ…
それなら。
「来いよ。」
壁に向かって立つ。背中を晒す。
相手の素早さを右足の傷が知っている。
それでもわざわざ攻撃を誘う。
《ピュルル…》
ッビュ。
ヒュン。
ザク。
「なぜなら、今の俺の方が速いからな。」
金と銀の短剣は魔物の首を左右から捉えた。
黒い血が流れて…
ドサ。
「ふぅ…でも、処理が出来ねえ。」
装備品は返却しちゃったからな。
そういえばだよ。
短剣は返さなかったんだな。
マリオは…エルを…
返すわけない。
「ありがとな、エル。…いや、お母さんが正気に戻る前に死体を…」
「勇者。どうした。」
「いや、死体を処理しねえと…モモ!?」
「これ。」
「お、おお…ありがとな…」
キュッ…コロコロ…シュウウウウウ…
これこれ。
いや、待て。
「モモ、お前がここに来たってことは…」
「ヒカリ、来てない。」
「そうか…ふぅ。」
「勇者、ヒカリが嫌いか?」
「…そんなことはない…けど、けど…」
『分かるでしょう?貴方の視線に気づかないとでも?好きなだけ触れて、舐めて…』
『貴方の期待なんてどうでもいい。私は世界を救うの。貴方の純粋な下心なんか要らないわ。』
「ヒカリ、勇者を好き。」
「……………。」
「ヒカリ、勇者を心配。」
「……………。」
「勇者。」
「…ごめん。」
「勇者。魔物。」
「え?」
「向こう。早く。」
「ちょ、待てっておい!」
モモに手を引かれて…足が痛んで…でも連れてかれて…
近所の大きめの公園。
「いっつつっ……」
右足の傷から血が出てる。巻いたタオルが勘弁してくれって言ってる。
綺麗な水色のタオルが真っ赤に染まってる。
「勇者、怪我。」
「ああ。それでもお前が連れてきちゃったんだよ。」
「……魔物。」
「そうだな。一緒に戦ってくれ。」
「分かった。」
「おやおや。こんな所で会うとは。元気だったかな?」
「…マリオ。」
「右足、怪我してるようだね?病院に連れて行こうか。」
「必要ない。」
「そうかいそうかい。それじゃあその両手に構えた武器は?息子のかな?」
「だとしたら?」
「以前ギルドに泥棒が現れてねえ。大事な息子の形見が盗まれて心を痛めていたんだよ。」
「エルは…俺の目の前で…力尽きた。」
「その後、関係者は誰も来なかった…父親であるはずのお前も。」
「………。」
ニヤ。
「エルの遺体は、"一般人"が保護した。近いうちに俺達だけで内密に葬る。」
「それで、どうしてエルの装備をお前が保管してたんだ?」
「…魔王と戦闘があった場所に駆けつけたら、すでに息子は虫の息だったんだ。1人で病院に向かっていったから回収したまでだよ。」
「エルは…言ってたぜ。」
「ほう。聞こうじゃないか。」
ニヤニヤ…
「お前が…」
ブクブク…ッブクブクブク…
「魔物で…」
ブクブクブクブク…
「俺は父親に…殺されたって!!」
《そうか。ハハハハハ…息子は強く育った。私の魔法を受けても君の元へたどり着いたのだから。》
「………。」
「勇者、手を。」
「いい。今は守護は要らない。モモ、自分のこと守れ。な。」
「分かった。」
《その様子。私と戦うのかな?せめて万全な状態で出直したらどうだ?それでも…ハハハハハ…》
「………行くぜ、エル。」
一瞬。ほんの少し、短剣が温かくなった気がして。
《そうか。ならば、相手はしてやろう。また一つ輝きを失うか。実に残念だよ。》
「……………龍虎針剣。」
あれだね。
書くのが上手い人に設定とか大体の展開とか伝えて書いてもらったらもう少しまともになりそうwww
というわけで、エルの形見を武器に仇討ち!
ラウンド1…ファイッ!!




