涙の理由
いい加減にしてくれ。
そう思ってるはずだよな。
何回この病院にお前ら運び込まれるんだよって。
まあナースさん達の視線が全てを物語ってるよね。
「モモ、朝ごはん買ってきたぞ…まあ売店で軽いのだけどさ。」
「勇者。家で休んでていい。」
「そうはいかねえよ。」
ヒカリ…さんのあの時の発言だとか態度だとか。
あれは強力になった自分に酔ったからなのか?
本当に正気で、本音が出たのか?
ちょっと…溝が出来たな…個人的に。
俺が期待しすぎてたのかな。
勝手に好きになって、都合良くイメージ改竄していって。
そんな子じゃない?本当に理解出来てたのか?
彼女のこと、全然知らないのに。
「…モモ、ごめん。やっぱり頼む。」
「分かった。勇者。」
「…どうした?」
「勇者、頑張った。」
「お前…。ありがとう。」
ナデナデ
…………。
「おう!雑魚勇者じゃねえか!待ってろ、今バケツを」
「なあ、バカ。今日は話がしたい。」
「ああ?お前、また面倒事か?」
…………………。
「っは!っは!そうか。それでヒカリの事を聞かせろってか。」
「頼むよ。」
「生い立ちが分かってどうなる?」
「………。」
「ヒカリはお前の都合の良いお姫様じゃあねえんだ。」
「そうだな。」
「あいつは世界を救いたいんだよ。」
「ああ。」
「お前が、あいつの側で強くなっていくことで、ヒカリはお前に期待してたんだ。なんたって勇者だからな。」
「………。」
「それが、蓋開けてみりゃあ好きだ可愛いだってお前学生の真似事じゃねえかよ。」
「…いや、俺高校生…」
「ちっ。んなことはどうでもいい。言ってること分かってんのか?」
「………。」
「分かってんのか!!!」
「っ!!」
「お前な。勇者になってどれだけ戦った?どれだけ強くあろうとした?」
「武器のことばかりで、大事な時にどれだけ他のヤツに頼った?」
「前に言ったよな?勇者になりたくてなったとか。それで?なったら満足か?」
「誰かが作ったママゴトのゲームみてえに何時までも敵は待ってねえんだよ!!」
「やる気ねえなら辞めちまえ。そんな覚悟じゃいつかヒカリも死んじまう。」
「雑魚は、要らねえ。」
…………。
いつだったかモモにも言われたな。
『弱い勇者、要らない。』
言われて気づいたよ。
魔法剣に甘えてレベル上げ。
破壊の斧の火力に甘えて。
魔法銃はまともに扱えない。
今までの魔物との戦闘も、相手がそんなに強くない魔物で、強い武器があって、レベルによる身体強化があったから。
戦闘技術があれば、強い精神力があれば。
俺がもっと強かったら
あの時エルを1人にせずに済んだのに。
エルを死なせずに済んだかもしれないのに。
俺のせいだ。
………。
「んん…っ。」
「ヒカリ。」
「あら、モモちゃん。ここは…病院?」
「ヒカリ。輝石で暴走した。」
「そう…何も覚えてないわ…ごめんなさい。モモちゃんが連れてきてくれたの?」
「勇者も。家で休んでる。」
「ナギ君も?そう…迷惑かけちゃったのね。おいで。」
「…ヒカリ。」
「なあに?」
「…なんでもない。」
ギュッ。
「いたっ…私、怪我してたのね…」
「勇者、ヒカリを斬った。」
「え!?ナギ君が!?」
「違う勇者。」
「違う…バガ様なら"殴った"よね。それとも別の人?」
「そう。盗賊に似てた。」
「………私、ちょっと…困ったわ。」
「傷治すのが先。休む。」
「ええ。…ありがとう。」
…………。
………。
あんな事の後にここに来るのは、自殺行為だよな。
でも…もう…。
「やぁやぁナギ君。魔王の一件以来会えてなかったし心配だったんだ。元気そうで良かったよ。うんうん。」
クチャクチャ…
「マ…リオさん。」
「…ん?どうしたのかな?」
「…俺…その…」
「まさか、魔法銃も紛失してしまったとか?」
「ここにあります。」
ゴト。
「俺、勇者辞めます。」
「……ふむ。それはまた…何かあったのかな?」
「ずっと憧れてたけど、甘く見てたみたいです。結局みんなに迷惑かけて。エルの事も俺がもっと強かったら…」
「…そうかそうか。君は君で頑張っていたように見えたけどねえ。辛い思いをさせてしまったね。すまない。」
「……勇者の役割って、剥奪というか返上というか…」
「いいや。取り上げることは出来ない。身体能力は少しばかり"一般人"より優れることになるが、"普通"の人生を送るのには差し支えないだろう。」
「そうですか…」
「残念だねえ。息子と仲の良かった君だし。ああ、イセドラのアカウントも契約上返却は出来ないけども…」
「いえ、大丈夫です。楽しんで。」
「そうかいそうかい。最近はグレイトマジシャンガールが登場してねえ。給料の殆どが彼女のために…」
「…お世話になりました。」
「ふむ。また会えるといいねえ。お元気で。」
…………。
「スッキリした…かも。」
これでもう誰かの足を引っ張ることも無いし。
エルの事は…もう忘れたい。
弱い人間だよ俺は。
だから引きこもって定時制高校なんだから。
学校行けるだけ十分だ。そうだろ?
…もう、いいんだ。
スッキリ…
…涙が止まんない。
…………。
「ふーむ。これは困ったねえ。ナギ君。君には勇者を続けてもらわなければ…どうしたことか。思いきって死んでやり直してもらおうか。いや、記憶操作の使える魔導師を…ふむ。迷うねえ。新メニューと期間限定メニューに板挟みにされた時のようだ…」
ムシャムシャ…
ついにスベリ具合が気持ち悪くなってきましたーー!www
先にエンディングまで考えるのが普通なんですかね?
そしたら迷宮入りしないで済むかも?w
さてさて、次回からは面倒くさい男の子の扱いに頭を抱えます(作者が)
そして悩み抜いて投稿したものを読んだあなたも頭を抱えます。
一緒に悩もう。ね?




