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現代お茶人作家のつれづれ日々帖  作者: 久慈柚奈
2026年4月

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重い茶碗、軽い茶碗

通販で出会った素敵なお抹茶碗を購入した。待ちに待った配達。開封のわくわく感。

ひとつめ、ふたつめと梱包を解き持ち上げてみて、「え、重!?」とびっくりした。


そうそう、通販あるあるだよなぁ、としみじみするなど。


母がベルメゾンとフェリシモを愛用していたから、小さい頃から通販という買い物の形態には馴染みがある。

ただし経験が浅いなりの失敗もしていて、特にサイズ感について。

空間把握が苦手なこと、ざっくりした楽観主義なことも手伝って、紙面に小さく掲載された寸法もろくに確かめず、画像からのイメージだけで「うん、多分部屋に入る!」と早合点し買ってもらって、さて思ったより大きいとか、小さいとか。(大きい、の方が多かったからまた厄介)

そのうちに「寸法をちゃんと見よう」という訓戒を口頭でももらうことになり、恥ずかしいやら貴重な経験と自分を慰めるやら………したものである。


ネットショッピングの浸透と時を同じくして成長してきたデジタルネイティブ世代なこともあってか、今となっては現物を見ずに買い物をすることにもあまり抵抗がない人間になった。

絶対にネットで買うまい、と心に決めているのは靴くらい。こればかりは試しに履いてみないとおっかないから。

そんな私なので、手元にやってきたお抹茶碗が意外に重くて「あ、思っていたのと違う」と意外な感覚を得たのは本当に久しぶりのことだった。


でも、茶碗が重いのは悪いことじゃないと思っている。

私がびっくりしたのは自分の想像と大きく違っていた空に過ぎなくて、そこにネガティブな印象は一切なかった。画像では色や形だけが見て取れるだけだし、商品説明にも寸法が書いてあるだけだった。うつわの重さまで書くなんて、Amazonくらいじゃないか?(浅学だったら申し訳ない)。


思えば趣味で抹茶を点て始めた当初は、ひいおばあちゃんから受け継いだ3つの茶碗の中で、いっとう重いやつを好んで使っていた。

なんといってもその重さゆえに、不慣れな手つきで茶を点てていても全然ぶれないから。

逆に、受け継いだ中で比較的軽いものを使うと、ぐらぐら揺らいで抹茶が溢れそうになってしまう。

そうだった、そうだった。最初はそういうところから始まった気がする。


今は手元にある茶碗の数も少し増えて、お稽古では先生が持ついろんな形、大きさ、重さの茶碗に触れる機会がある。私には抹茶を点てて10年ほどになる経験がある。

だから実際に抹茶をこぼしそうになって危なかったのは夏に平茶碗を初めて使ったときくらいだったのだけれど……。重い抹茶碗のどっしり構えてくれている感じは、駆け出しの私にとって心強くて、安心感のあるものだった。


茶碗が重いと、飲む方も大変なんじゃないの? 軽い方がいいんじゃないの? と思いがちだが、そうとも限らない。

冬のとっても寒い日に、重みのある茶碗で抹茶を飲むと「ほっ」とする感覚が強い感じがする。

逆に暑い夏は軽やかに、平茶碗や軽い作りの茶碗でさらりと。

それは、かつて暖房設備も建築材料も限られたゆえに暖をとりづらかった日本家屋や茶室の中で温みや涼しさを一層引き立てるための、道具の作り手の知恵や工夫だったのかもしれない。

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