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前世勇者の俺が転生した結果!?  作者: Re:Ei


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第六十三話 終焉のその先へ

文化祭一日目が終わり

これから生徒会室で今日の反省と明日の打ち合わせだ

しかし...

ひよりがクラスの方の片付けで遅れているらしく、俺達は全員でそれを待っていた

俺が自席でスマホをつついていると...


零「そういえば....」

隣から零が話しかけてきた

零「シキさんってああいう事できるんですね」

シキ「ああいう事?」

俺は顔だけ零に向ける

零「あの、楽しんでるかー!みたいな煽りですよ」

シキ「逆になんでできないと思ったんだよ」

零「シキさんってなんかこう....」

零「文化祭!みたいな全員で盛り上がるぞ!みたいなイベント嫌いそうじゃないすか」

零「いつも間違えてる事は間違ってるってハッキリ言うし...」

シキ「あのなぁ...」

俺は大きなため息を吐く

シキ「お前は俺の事をなんだと思ってるんだ?」

シキ「俺は別に盛り上がる事自体を悪だなんて思っちゃいねえ」

シキ「むしろ良しとすら思ってる」

シキ「俺が嫌いなのは。その道が間違いだと知っていて...」

シキ「その選択をした結果最悪な結末になると分かっていてもなお、自分の感情を優先して、正解の道を蹴ってまでも間違いの道を歩むやつ」

シキ「俺はそういう輩がきらいなだけだ」

シキ「文化祭は盛り上がる場だ」

シキ「そんな中冷める発言をする方が俺のポリシーに反する」

零「シキさんはなんでそんなにも合理性を大切にするんですか?」

シキ「.......」

俺は零から視線を外し、窓の外を見る

シキ「俺はもう戻れないんだ....」

シキ「次間違えた道を選んでしまったら...」

シキ「俺は....俺は...」

能力が...使えなくなる...

そんな言葉が口から出かかったが、それを飲み込んだ

零がいる事を思い出し

シキ「悪い...忘れてくれ」

咄嗟に誤魔化した

零「....どういう事ですか?」

シキ「....お前にも過去があるように、俺にも言えない事情とやらがあんだよ」

零「え、えぇ?」

シキ「まぁ、簡単に言えば...」

シキ「過去は戻らない」

シキ「感情で動いて失敗して後悔するぐらいなら、俺は感情を殺してでも合理的に動いて正解の道を進む」

シキ「それが俺の人生だ」

....俺の感情論で動いてしまえば、きっと未来は悪い方向へ行く

なら...

俺は人の心がないと言われようが、正解の道に進む

進まないといけない...

残り一回の強欲の力を無駄にしないためにも

司希「.......」

零「シキさんはすごいですね」

零「正解の道が分かっていたとしてもそれを行動に移せる人間なんてほんの一握りですよ」

零「自分の心の中にある何かがその行動を邪魔する」

零「なので僕は素直にシキさんの事を尊敬します」

零「僕は感情で動いて失敗した側の人間なので...」

シキ「......」

.....違う

俺はこいつが過去、何をしたかなんて知らない

でも...

一つだけ言える事がある

こいつが自分を責める一端は、俺にある

零が夏祭りの時にDQN二人を半殺しにして気づいた

こんな威力の攻撃を能力も持ってない零が繰り出すのは不可能

ではなんで零はDQNを半殺しにできたのか

答えは簡単だった

俺がこの世界に来た事で、本来交わる事のなかった二つの世界が交わってしまった

俺の力がシキの体に宿ったように...

あっちの世界の神谷零とこっちの世界の神谷零もまた、少しずつリンクしている

おそらく、あっちの世界の零の力がこっちの零にも少しずつ流れ込んでいる

流石に俺程の力はないとは言え

身体能力の高さはそこら辺の一般人とは明らかに違うものを持ってるだろう

つまり...

俺がこの世界の常識事変えてしまったんだ

少なくとも、俺が来なければ...

こいつの人生は、今とは違うものになっていだろう

俺が神谷零という人生をぶち壊し、傲慢の力を少し持つ神谷零の人生として造り替えてしまった

俺がこいつの人生を変えてしまったと言っても過言じゃない

俺がこの世界に長居をするようなら...

この世界のもっと多くの常識が書き換わる

.....早く終わらせないとな


俺が零の自己否定を否定しようとした

その時.....

バァン!!

生徒会室の扉が勢いよく開いた

生徒会室にいた全員が驚いてそちらに視線を向けると...

ひより「ご、ごめん!片付け長引いちゃって!」

そこには息をきらして生徒会室に入ってくるひよりの姿があった

ルル「.....これで全員揃ったな」

ルル「じゃあ、時間も遅いしぱっぱと話して早く解散するぞ」

そうして俺達は今日の反省、明日の打ち合わせなどをして....

ルル「よし、こんなもんでいいか」

ルル「他に何か聞いておきたい所があるやつはいるか?」

.......

ルル「よし、じゃあ今日はもう解散にしよう」

ルル「明日も重労働だからな、今日は早く飯食って風呂入って寝ろよ」

ルル「じゃないと明日持たないからな」

ルル「じゃ、明日も頑張ろう」

ルル「解散!」

ルルのそんな宣言と共に生徒会メンバーはぞろぞろと生徒会室から出ていった

俺は帰ろうとする零を呼び止めた

シキ「なぁ神谷」

シキ「今のお前には分からないだろうけどな...」

シキ「これだけは覚えててくれ」

零「?」

シキ「お前は何も悪くない、悪いのは全部俺だって事をな」

零「......」

俺はそれだけ言い残して、生徒会室から出ていくのだった


そして迎えた文化祭二日目

俺は体育館の壁に寄りかかり、その生徒会企画を見ていた

そして....

一「この学校には...」

一「人を3人殺害していながら、のうのうと生きている凶悪犯罪者がいます」

一「そしてその名を...」

一「僕の兄...」

一「神谷零と言います」

この世界の零の弟、神谷一がそんなカミングアウトをした

その瞬間、零が走って体育館から逃げていくのが見えた

俺はただ呆然とその光景を眺めていた

悲鳴をあげる者

一に説明を求める者

ただ騒ぎたてる者

しかし...

そんなパニック状態の会場を見ても

俺にはただ罪悪感だけが募っていった

なんで零が犯罪者にならなければならないのかと憤りすら覚えた

司希「能力、使うか?」

いやでも、何を変えるって言うんだよ

一がバラさなかった世界線?

そんなものバラされる期間が後になる延命措置でしかない

じゃあ俺がする選択は...

司希「この世界での零の行方を見守る、か」


やがて俺が体育館を呆然と眺めていると、ルルが体育館に到着した

ルルは生徒達をなんとか沈静化させ

学校祭二日目を無事終えていた

しかし...

お疲れ!なんて言ってられる空気感ではなかった

学校祭が終わり、時刻は16時を回っていた頃

俺達は生徒会室に集められていた

今日の反省なんかではない...

ルル「で、神谷が人殺しってどういう事だ?」

俺達は逃走した零とそれを追っかけたネル以外の全員で神谷一を問い詰めていた

一「....別にそのままの意味ですよ」

一「あいつは小さい頃に人を殺した」

一「それも三人もね」

ルル「....お前は神谷が人を殺した経験を知っているのか?」

一「えぇ、もちろん」

ルル「....話せるか?」

一「......」

一「あれは———」

神谷一が喋り出そうとした

そんな時....

プルルルルル!

携帯の音が部屋に鳴り響いた

ルル「.....すまない」

ルルはポケットからスマホを取り出し

応答ボタンを押してから、耳にスマホを当てた

ルル「もしもし」

ルル「お母さん?」

ルル「あぁ、文化祭終わった所だ」

ルル「.......」

ルル「え....」

ルル「嘘...でしょ...お母さん...」

ルル「嘘だって言ってよ...!!」

ルル「そん...な...」

ルルは地面にスマホを落とし

その場で膝から崩れ落ちてしまった

司希「....ルル?」

ルル「.......」

ルル「神谷が...海で自殺を図り...海に体を投げ出した」

ルル「ネルはそれを必死に助けようとして...海に飛び込んだ...」

ルル「でも...」

ルル「こんな天気の中でネルが零の事を助けられるわけなくて....!!」

ルル「今は二人共病院に搬送されたけど....」

ルル「二人共...危篤状態らしい...」

ルルは必死に涙を堪えていた

声は震え、時々嗚咽が溢れる

それを聞いた生徒会メンバーも絶句していた

司希「.....」

俺はゆっくりとルルに近寄る

司希「まだ...死んでないんだよな?」

俺は尋ねる

ルル「.....あぁ」

ルル「いつ死んでもおかしくない状態らしいがな...」

司希「なら、大丈夫だ」

ルル「.....!!」

ルル「この状況の何が大丈夫なんだっ!!」

ルルは俺の胸ぐらを掴んでいた

しかし...

ルル「......」

俺の揺るがない目を見て、俺に賭けてくれたのか

その手を離した

ルル「何か...考えでもあるのか?」

司希「あぁ」

司希「まさか、こんなに早くラスト一回が来るとは思ってなかったがな」

司希「俺の能力は死人を生き返らせる程万能じゃない」

司希「でも....」

司希「生きてるなら....なんとでもなる」

ルル「お前は...何言って...」

ルルは本当に意味が分からなさそうにそう言う

司希「もしも...」

司希「ネルが零の事を救えてたなら!」

俺がそう言った瞬間

俺の最後の能力と引き換えに...

世界は造り替えられるのだった


第六十三話 終了


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