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前世勇者の俺が転生した結果!?  作者: Re:Ei


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第六十話 最愛の弟へ

零「ねぇ、兄さん」

零「全部説明してよ」

零「なんで兄さんは今まで俺に嘘をついていたのか」

零「なんで兄さんはこの学園に来たのか」

零「あの日、一体何があったのか...」

零「全部説明してよっ!!」

もう自分を止められなかった

今までずっと知りたかった真実

それが今目の前にあるのだ

司希「....俺の強欲の能力が暴走した」

司希「それだけだ」

零「兄さん!!」

司希「......」

零「俺は何もかも分からないんだよ」

零「能力者の暴走って何?」

零「暴走した能力者の兄が神谷司希」

零「じゃあ...僕が...」

零「僕があの街を...」

零「父さんと母さんを殺したの?」

司希「ち...ちがっ!」

零「じゃあこの紙はなんなんだよっ!!」

俺はそう叫び、その紙を地面に投げ捨てた

司希「......」

零「兄さん...頼むよ...」

零「真実を知っているのは兄さんだけなんだ...」

零「頼むよ....」

俺は縋るようにそう言った

司希「.....零」

司希「俺がこれから話す話はきっとお前にとって辛いものだ」

司希「それでも....」

司希「それでもお前は聞くか?」

俺は兄さんのそんな言葉に...

コクリと首肯するのだった


司希「....そうだな」

司希「お前はまずどこまで記憶にあるんだ?」

零「バースデーケーキの火を消した途端、俺の視界が真っ白に変わった」

零「次に目が覚めた時には、街はもう....」

司希「....そうか」

司希「じゃあそこから話すとするか」

司希「あの日、お前がバースデーケーキの火を消す時...」


司希「ほら、早く蝋燭の火消しちゃえよ」

俺はバースデーケーキをずっと眺める零にそう声をかけていた

零はコクリと頷き

そして

零「ふう!!」

蝋燭の火をけした

次の瞬間...

父・母「これって!」

零の体が白く光った

父さんと母さんは零に能力が発現したと喜んでいた

しかし....

司希「待って....」

司希「様子が...おかしくないか?」

零に宿るその光は収縮するどころかどんどん膨れ上がっていった

その光は巨大なものに変わり

やがて...

その球体は弾けた

司希「.....!!」

司希「父さん!母さん!逃げてっ!!」

俺は必死に叫んだ

でも...

間に合うはずもなく

バアアアアアン!!

その光は轟音と共に衝撃波として街に広がり

一瞬にして街を地獄絵図へと変えた

崩壊する建物

辺り一帯に広がる火

俺はそんな変わり果てた街をぼんやりと眺めていた

しかし、すぐに我に返り

司希「...!!」

司希「....もしも、この傷が治ったら」

俺がそう言うと、みるみるうちに体の傷は癒えた

俺は急いで父さんと母さんの元へ向かい

司希「もしも、傷が治ったら」

そんなもしもを願った

しかし....

父さんと母さんの傷が癒えることはなかった

何度も

何度も願った

だが、それでも父さんと母さんの傷が癒える事はなかった

司希「クソッ!!!」

司希「なんでだよっ!!」

俺は地面に拳を叩きつける

でも...

そんな事を言いながら、俺は原因なんてとっくに気づいていた

....冷たかったのだ、父さんと母さんの体は

あの爆発を至近距離で受けたのだ

俺は七つの大罪の能力者だったから耐えられただけであって

普通の人間ならあんな爆発を喰らったら即死だ

俺の能力は死人を生き返らせるなんていうこの世の理に反した事はできない

つまり...

それは、父さんと母さんがもう戻ってくる事はないという事を表していた

俺は能力を発動する事をやめ

ただ呆然と地面を見つめうなだれていた

何もする気力が起きなかった

そんな時...

???「これは...ひどい有り様だな」

そんな声が聞こえてきた

俺が声のした方向に視線を向けると...

そこには、大人一人と七人の学生がいた

司希「....なんのようだ」

俺は零を庇うように立ち、ナイフの剣先をそいつらに向けた

???「....庇うように立つって事は、なんの用事かは君が一番よく分かってるんじゃないのか?」

司希「......」

こいつらはきっと...零を殺しにきたのだろう

司希「誰がやらせるか」

司希「こいつは俺の弟だ!」

???「....その弟が人殺しでも、君は守るのかい?」

司希「違う!こいつは人殺しなんかじゃない!」

司希「これは事故だ!」

???「能力の暴走は本人の意思じゃないから事故とでも言うつもりか?」

司希「....当たり前だろ」

司希「こいつは何も悪い事をしてない」

司希「違うか?」

???「間違いないな」

???「その子の唯一の罪は」

???「強すぎた事だけ」

???「能力があまりにも強すぎたが故に、精神と身体がついていけなかった」

???「だから暴走...」

???「それは確かに仕方のない事だ」

???「だがな...」

???「この世界には、しかたなくてもやっちゃいけない事があるんだよ!」

そいつは声を大にして言った

司希「.......」

俺はそんな奴の言葉を...

司希「知るかよ」

否定した

司希「人が死んだ?」

司希「街も壊れた?」

司希「そんな事....隣で見てた俺が一番分かってる...」

司希「だから....」

司希「だからこそ....」

司希「俺に残されたのはもうこいつしかいねえんだよ!!」

???「.....そうか」

???「君の気持ちはもう十分伝わった」

???「だからこそ....」

???「残念で仕方ないよ」

司希「....!!」

???「やれ」

そいつがそう言うと

その周りにいた七人の生徒が一斉に動き始めた

俺はナイフを持ってそいつらを迎えうった

しかし....

その勝負は一瞬にして着いた

司希「もしも....」

司希「こいつらが一歩も動けなかったら!」

俺がそう言葉を発した瞬間

そいつらは銅像のように固まった

俺の理性なんてものはもうとっくに切れており

俺は零に危害を加えようとした学生七人の首を掻っ切った

その七人はその場で静かに倒れる

俺は最後の一人にナイフを向けていた

司希「まだ、零を襲おうとするか?」

俺はそう言葉を放った

しかし....

そいつには言葉なんて届いてなかった

そいつは目を見開き

???「....もしもを叶える能力者」

???「お前が...」

???「強欲の...能力者....」

司希「....だったらなんだって言うんだよ」

???「....君に一つ提案がある」

司希「あ?」

司希「自分の状況分かってんのか?おっさん?」

俺はそいつの首元にナイフを当てがった

???「...私はもう、君の弟を狙わない」

司希「狙わないじゃなくて狙えないの間違いだろ」

俺はそう言って地面に倒れてる七人に視線を送る

???「....違う」

その大人は俺の背後を指さした

俺がそっちに視線を向けると...

司希「.....!!」

そこには地面に倒れている零がいた

自力で能力を抑え込んだのか、もう体に光は纏っていなかった

俺はすぐさま、零に駆け寄り

司希「零!零!」

零の体を揺さぶった

しかし...

零は気を失っているのか、返事をしなかった

???「能力を抑え込んだ君の弟を殺す必要は私にはない」

俺はそいつに視線を戻す

そいつが嘘を言っているようにも思えなかったし

嘘をついていたら即刻殺すつもりで

俺は能力を解除した

司希「で、提案ってなんだよ」

???「あぁ」

???「私はもう君達の事は追わない」

???「私は、だ」

司希「つまり、他の勢力が俺達を追ってくると?」

???「その通りだ」

???「君達はこれから警察や政府に終われ、もしかしたら懸賞金もかけられるだろう」

司希「....それでもいい」

???「お前は大好きな弟に逃亡生活をさせたいか?」

司希「......」

???「そこで、君に提案がある」

???「私は能力至上主義の学園で学園長をやっている」

???「まぁ...学園長とでも呼んでくれ」

司希「学園...長...」

学園長「そんな学校のトップをしているから、これでも顔は広くてね」

学園長「警察のトップや政府のトップとも面識がある」

学園長「そこで...」

学園長「君が私の条件を飲んでくれるなら、今回の事件をなかった事にしてあげよう」

学園長「弟君のこれからの安全は保証するよ」

司希「!!」

司希「....条件はなんだ」

学園長と名乗ったその男は不気味な笑顔を顔に貼り付けた

学園長「簡単な条件さ」

学園長「君が、うちの学園に来てくれるだけでいい」

司希「......」

そんな簡単な条件

でも....

それを飲んだら、俺はもう金輪際零と会えなくなる

学園長「この条件を飲むだけで弟の未来は守られるんだぞ?」

司希「......」

俺は零の顔を見る

俺の気持ちか

零の未来か

そんな事....

天秤にかける程でもなかった

司希「...条件を飲もう、学園長」

学園長「ハハッ!」

学園長「君が賢くて助かったよ」

学園長「では、行こうか」

そう言って歩き出す学園長に...

司希「少しだけ...待ってくれないか?」

俺は静止をかけた

学園長「?」

司希「零がまだ目覚めてないんだ」

司希「零に最後の別れの挨拶が言いたい」

学園長「......」

学園長はしばし考えた後

学園長「最後だしな」

学園長「許可しよう」

司希「...恩に着る」

学園長「では、私は少し離れた所で観察している」

学園長「終わったらこちらに来てくれ」

司希「あぁ、分かった」

そうして俺達は一度、解散するのだった


そして俺は一度、零に向き直った

司希「ハハッ起きる気配なんて全然ねーや」

俺はいまだにぐっすりな零を見てそう呟く

司希「頼むから...後少しだけ寝ててくれよ」

司希「俺が完全な悪役になる、その時まで」

俺はこの事件を起こした犯人にならなければならない

じゃないと...

きっと零は納得しない

きっと零はこれからの人生、自分を責め続ける

司希「俺が自分の能力と自分の居場所の差に違和感を覚え、学園に行くために邪魔だった両親を殺害」

司希「そのショックで零は意識と記憶を飛ばす」

司希「最後に俺は能力で街を破壊し、めちゃくちゃにした」

司希「それが今回の全てだ」

俺は零にそう誤認させないといけない

俺は...零に嫌われないといけない

司希「あー嫌だなあ....」

最愛の弟と喧嘩別れする

俺はそれが心底嫌だった

今からでも学園長を殺害し、零と逃亡生活を共にする

そうしようかとも考えた

でも....

司希「....零にそんな事させたくない」

結局俺が選ばないといけない道なんて一つしかなく

俺はその道を選択するのだった

なら...まず俺がやらないといけない事は...

司希「.....」

俺は両親の死体の目の前に立った

俺が両親を殺害したと思わせるためには、両親の体にはナイフで刺された跡が必要だ

俺は両親の死体にナイフを向ける

司希「ごめん、父さん...母さん...」

俺はそして、ナイフを振り下ろした

ザシュッ!

そんな音を立て、ナイフは突き刺さった

司希「あがっ!!」

俺の右足に...

俺はゆっくりとナイフを足から引き抜く

右足からは血が溢れ

ナイフには血がベッタリとついていた

司希「ハハッ....」

司希「できるわけねーじゃん....」

司希「あーあ」

俺はナイフに目をやる

司希「この血でなんとか誤魔化すしかねーか」

俺はそう呟き

痛みに耐えながら、なんとか立ち上がった

そして、いつ零が起きてもいいようにポタポタと血が伝うナイフをずっと両親に向けていた

どれだけ時間が経っただろうか

数分?

数十分?

時間の感覚などとっくに消えていた

ただ無心で肉身にナイフを向けていた

そんな時....

零「....兄さん?」

後ろからそんな声が聞こえてきた

今すぐにでも抱きしめてやりたかった

無事で良かったとそう叫んでやりたかった

でも...

俺にはそれが許されなかった

零「兄さんが....」

零「兄さんが...やったの?」

司希「.......」

零は震える声でそう質問してきた

俺がここでそうだと答えたら一体零はどんな顔をするのだろうか

それを考えるだけでも胸が痛かった

零「やってないって....」

零「やってないって言ってよ!!」

零「悪い能力者がこの街に来てめちゃくちゃにしていたって」

零「そう言ってよ!!」

胸が締め付けられた

それでも....

俺は覚悟を決め、心を鬼にして

首を横に振った

そこからは、もう記憶が曖昧だった

俺は零にひどい事をたくさん言った

ただ零の言葉を否定して、俺は悪役に徹する

零の表情がどんどん歪んでいった

それでも....

俺は最後まで悪役を貫かなければいけない

俺はそして...

司希「神谷零、お前はもう...」

司希「俺の弟なんかじゃねーよ」

俺は零にそう言い放ち

最愛の弟と喧嘩別れした


俺は痛む足を引きずり、学園長の元へと急いだ

やがて学園長の姿が見えてきて

学園長「....別れは済んだか?」

司希「....零、悲しそうだった」

学園長「....そうか」

司希「俺は零の事が大好きなのに...」

司希「こんな...こんな別れ方なんてっ!!」

俺はただ感情を学園長にぶつけた

ただ誰かに縋りたかった

この気持ちの捨て場所なんてどこにもなかった

司希「俺はただ....あいつと平和に暮らしたかった...」

司希「その他なんて何もいらなかったっ!」

司希「なんでっ!なんでっ!」

司希「なんで神様はいつもこうなんだよっ....」

学園長は慰めるわけでもなく否定するわけでもなくただ話を聞いてくれた

俺はそんな学園長に感情をぶつけているうちに...

司希「.....!!」

一本の雫が頬を伝った事に気づいた

それは生まれて初めての涙だった

俺はそれを必死に拭う

涙は弱さだと思っていたから

学園長「....いいんじゃないか?泣いても」

学園長「それだけお前が弟を愛していたっていう証拠なんだからな」

学園長「俺はお前の弟が悪なんて思っていない」

学園長「何が悪いかと聞かれたら...」

学園長「運が悪かった」

学園長「そう答えるしかないないのかもな」

俺はその言葉を聞いて

更に泣いた

泣いて

泣いて

泣きじゃくると

学園長は一度その場で止まった

学園長「あーお前に言い忘れていた事がある」

司希「?」

学園長「お前は年齢的にまだうちの学園には入学できない」

学園長「だから、お前が入学できるのは....」

学園長「第64期だな」

学園長「それまでお前は私の施設でしっかりと管理する」

そう言って学園長は一つのビルに入っていった

俺もその後に着いていくと

学園長は一階の奥の部屋まで行き

一番真ん中のタイルで3回ジャンプした

次の瞬間

ゴオオオオ!!!

そんな音を立てて、隣のタイルが開いた

その下には階段が続いていた

学園長「行くぞ」

学園長にそう言われたため俺も降りると...

そこには様々な機械が置かれていた

学園長「ここは現在、私が使っている研究所だ」

学園長「お前が15歳になるまで、お前をこの部屋に監禁する」

学園長「いいな?」

学園長はそんな事を言いながら、紙に何かを綴っていた

司希「...何書いているんだ?」

学園長「....今回の事件の報告書だ」

学園長「管理対象<神谷司希>」

学園長「とっ...」

学園長はそう言って報告書を書き終え

俺の監禁生活が始まるのだった


司希「.....これが、8年前の全てだ」

俺がそう言った瞬間

零「......!!」

零は俺の事を抱きしめてきた

零「ごめ....ん...」

零「ごめん....なさい...!!」

司希「......」

気づけば零の頬には涙が伝っていた

零「俺のせいで....!!」

零「兄さんは...8年間の間....!!」

零「ずっと...この学校にっ...!!」

零「ごめん..なさいっ...!!」

涙は止まらなかった

そんな零を...

俺は優しく抱きしめ返した

零「あっ——」

司希「....お前は何も悪くない」

司希「学園長も言ってただろ」

司希「お前はただ運が悪かっただけだった」

司希「お前の罪は、強すぎた事」

司希「ただ、それだけなんだからな」

零「うっ...ううう...」

零は嗚咽を溢した

会話もまともにできなかった

そんな零を、俺はただ優しく抱きしめ続けた

やがて涙も枯れたそんな時

零が口を開いた

零「俺...兄さんに嫌われたかと思ってた」

司希「....なわけないだろ」

司希「お前はこの世界でたった一人の俺の大切な弟だ」

司希「逆に俺も驚いたな」

司希「あれだけ言われたのに...よくお前は俺を好きで居続けれたな」

零「小さい頃からお兄ちゃんっ子だったからね!」

司希「はいはい」

司希「お前は何も変わってねーな」

零「ハハッ」

零「兄さんの前だけだよ」

そんな会話をしていた時...

スッと零の表情が引き締まった

零「兄さん...あのさ...」

零「家...帰ろうよ...」

そう言って零は手を差し出してきた

司希「......」

俺はそんな零の申し出を

司希「無理だな」

断った

零「な...なんでっ!」

司希「言っただろ」

司希「俺がここにくる代わりにあの事件を揉み消したもらったって」

司希「そんな俺がここから逃げ出したらどうなる?」

司希「学園長がお前に何をするか分からない」

零はそんな俺の言葉に

零「ハッ!」

笑って返した

司希「....何笑ってんだよ」

零「逆に、兄さんこそこの学園で何を見てきたのさ」

零「俺はもう兄さんに守られるだけの人間じゃないんだよ」

零「忘れたの?」

零「誰があの化け物にトドメを刺したと思ってんのさ」

司希「....!!」

俺は目を見開いて驚いた

零「世界VS七つの大罪第一位と第二位」

零「ってのも、おもしろそうでしょ?」

そんな事をケロッと言う零に..

司希「アハハッ!」

俺は思わず笑っていた

司希「本当にお前は何も変わってない」

司希「無邪気で、少しだけ抜けてて...」

司希「それでも、信念がある」

司希「学園長の提案は乗って弟の提案は乗らないってのは兄貴失格だもんな」

司希「いいぞ」

司希「その提案....乗ってやるよ」

こうして俺達の逃走劇が始まる....

事はなかった

次の瞬間

バァンッ!

そんな発砲音が暗闇に響いた

俺はそんな予想外の攻撃に避ける事ができず...

司希「....あ」

銃弾は俺の心臓部をいとも容易く貫いていた

司希「がっ...」

俺はその場で倒れ、フェンスに背中を預ける

最後の力を振り絞って発砲音をした方を向くと

そこには...

学園長「まだ能力無効化する銃弾が余っていて良かった」

学園長「生憎と....」

学園長「そいつを連れていかれるのは困るもんでね」

そう言って学園長は屋上から姿を消した

司希「あぁ...クソッ」

司希「やられたなぁ...」

俺は天を仰いだ

零「兄さん...!!兄さん...!!」

零は俺の事を心配そうに声をかけてくれた

司希「ハハッ...なんていう顔してんだよ...」

零「だって...」

零「このままだったら兄さんが...兄さんがっ!!」

零「せっかくお互いを知れたのに....」

司希「残念だな...」

司希「あーいって...」

零「兄さん...起きてよっ!」

零「いろんな所に逃げようよ!」

零「海外とか...色んな所を二人で旅しようよっ!!」

司希「.....」

俺は静かに首を横に振った

零「....!!」

司希「なぁ...零」

司希「俺はお前にとって最後まで兄貴でいられたか...?」

零「うん...うん!!」

零は首が取れるんじゃないかという勢いで首をぶんぶん縦に振った

司希「ハハッそうか....」

司希「俺はそれが聞けただけで満足だ...」

零「そんな...」

零「そんなお別れみたいな事言わないでよっ!」

司希「.......」

もう意識も朦朧としてきた

零の声が遠くに聞こえる

だから俺は最後に...

司希「なぁ...零...」

———大好きだ———

俺は俺ができる精一杯の笑顔を向け

最愛の弟に別れの挨拶を...

本当の別れの挨拶をするのだった


薄れゆく意識の中

....運命はいつも残酷だ

神様なんていない

俺達兄弟はそれを痛感した

最後に我儘を言うならば

....あいつと幸せになれる世界線を俺は生きたかった

俺はそう言って

この世界から姿を消すのだった


第六十話 終了


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