表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前世勇者の俺が転生した結果!?  作者: Re:Ei


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
54/65

第五十二話 夏の終わりは絶望を連れて

零「兄さんー待ってよお」

僕達は二人でゲーム機を買いに外に出ていた

兄さんが歩くスピードが早く僕はついて行けていなかった

司希「まったく....」

司希「もう少し体を鍛えたらどうだ?」

零「体を鍛えても能力者に追いつけるわけないじゃん!」

司希「ま、たしかにな」

司希「でも....」

兄さんは僕の頭に手をぽんぽんと乗せてきて

司希「今日でそれも卒業だな」

零「うん!」

司希「残りの2割を引かなかったらの話だけどな」

零「そんな事あるのかなー?」

司希「この世には継続率80パーセントを引けない人達がごろごろいてだな...」

零「....なんの話?」

司希「こっちの話だ、気にするな」

零「ふーん」

零「兄さんは7歳の誕生日に能力開花できた?」

司希「?」

兄さんは少し考えるようなそぶりを見せ

司希「物心ついた時には使えていたな」

零「すご!」

司希「まぁ、俺みたいな事例は本当に稀なんだろうがな」

司希「俺には能力扱えるだけの力も精神もあった」

司希「発動条件も願うだけの簡単な発動条件だったからな」

司希「色々な条件が重なって俺は小さい頃から扱えたんだろう」

零「すごいなぁ」

兄さんは僕の頭をくしゃくしゃと撫でて

司希「お前は俺の弟なんだから」

司希「お前も絶対能力を開花できるよ」

零「....!!」

零「うん!」

僕は大きく頭を振り

兄さんの後ろをついていくのだった


零「兄さん、本当にありがとう!!」

僕はゲーム機を抱えて店の外に出た

司希「気にするなよ、これぐらい」

司希「お兄ちゃんにかかればこんなの余裕で買えるんだからな」

....嘘だ

大人びているから時々忘れそうになるが

兄さんは今9歳、小学3年生だ

ゲーム機をポンッと買えるほどの財力なんてない

きっと僕が前から欲しがっていたゲームを買うためにずっと貯金していてくれたのだろう

本当に...

零「兄さん、大好きだよ!」

司希「どうしたんだよ、急に」

兄さんは少し呆れ気味に笑って

司希「ほら、もうすぐ飯の時間だから」

司希「急いで買えるぞ」

そう言って兄さんは手を差し出してきて

僕はその手を取り

雑談しながら僕達は帰路を辿るのだった


零「ただいまー!!」

司希「ただいま」

そう言うと、リビングの方からお母さんが顔を出した

母「あらら、こんなに高そうなゲーム機なんて買って」

司希「俺のお小遣いの範囲内で出してるから問題はないだろ?」

母「本当に司希は弟想いな子ね」

司希「.....」

母「零、お兄ちゃんにちゃんとお礼は言ったの?」

零「ありがとう!兄さん!」

司希「....もう耳にタコができる程聞いたよ」

母「あらそう?」

お母さんは微笑ましそうに笑い

母「まだ出前届いてないから」

母「先にお風呂入っちゃいなさい」

お母さんにそう言われ

僕はゲームを部屋に置いて、風呂場に向かうのだった


零「ふぅ、さっぱりしたぁ」

僕は先にお風呂に入り、今は兄さんがお風呂に入っていた

僕はお風呂を出て、自分の部屋に行くと...

零「あっ....」

兄さんが僕が風呂に行ってる間にやっておいてくれたのか

テレビとゲーム機が繋がっていた

僕は兄さんに感謝をしつつ、ゲーム機に電源を入れるのだった

僕がゲームで遊んでいると...

司希「零ー?飯だぞ」

兄さんが部屋に入ってきた

僕はゲームをセーブして、電源を切った

司希「楽しいか?」

零「うん!とっても!」

司希「それは良かった」

司希「あんまり夜遅くまでゲームするんじゃないぞ?」

零「はーい」

そんな会話をしながら下に降りてリビングの扉を開けると...

零「わぁ...!!」

そこには寿司やチキンなどとても豪華な食事が並べられていた

僕は足早に自分の席へとついた

やがて兄さんも席に着くと

父「よし、全員揃ったな」

父「では、零の7歳の誕生日を祝しまして」

父「いただきます!」

いただきます!

リビングにそんな声が響き渡り

僕達は談笑をしながら、夕食を食べるのだった


夕食を食べ終え母が片付け

他全員でリビングでくつろいでいると...

カチッ!

零「.....?」

リビングの電気が急に消えた

僕が停電かと思っていると

七つの光が視界に入った

やがて...

母「ハッピーバースデートゥーユー」

母「ハッピーバースデートゥーユー」

母「ハッピーバースデーディア零ー」

母「ハッピーバースデートゥーユー」

そうして

目の前にケーキが置かれた

母「7歳の誕生日おめでとう、零」

父「いい子に育ってくれて本当に誇らしいよ、おめでとう」

司希「おめでとう、零」

零「....!!」

僕は嬉しさで今にでも泣き出してしまいそうだった

すると

司希「ほら、早く蝋燭消しちゃえよ」

兄さんがそう言うため

僕はコクリと頷き

零「すぅ...!」

大きく息を吸って

そして...

零「ふぅ!!!」

その七つの光を僕は勢いよく消した

その時....

パアアアアン!!!

そんな音が僕の耳に入ってきた

クラッカーでも用意してくれたのかと思い僕は恐る恐る目を開けると...

零「......え?」

そこはさっきまでいた部屋ではなかった

なんなら...

さっきまで真っ暗だったその場所は真っ白な空間に変わっていた

僕が辺りを見渡すと

そこには一人の青年がいた

だが...

僕はその青年に見覚えがあり...

零「....勇者」

そいつは前世の僕にそっくりな風貌をしていた

???「.....めんどくさい事になった」

???「まさかこんな事になるとはな」

???「最初から持つ者と与えられるのでは全く違う....」

???「俺は自分とこいつを重ねてみすぎていた...」

???「強欲の能力者.....」

そいつは一人ぶつぶつと呟いていた

零「何一人で言って!」

零「ここがどこなのかを話せよ!」

???「え?」

???「なんでお前がここにいるんだ?」

そいつは驚いたような表情でこちらをみていた

零「そんなの僕が一番知りたい!」

僕は少し声を荒げながら言うと...

???「体と精神が耐えきれずに精神世界に潜り込んだのか?」

???「まぁ、いい」

???「よく聞け」

???「お前がやるべき事はただ一つだ」

零「一つ?」

???「落ち着け」

???「それだけだ」

零「......」

訳が分からなかった

前世の自分と同じ顔のやつが真っ白な世界で命令をしてくる

僕は軽いパニックに陥っていた

そんな僕に...

???「落ち着けと言っているんだ」

そいつは剣先を僕に突きつけてきた

...間違いない

こいつは勇者...

そいつは言葉を続ける

???「お前は何も悪くない」

???「お前に全てを押し付けようとした俺が全て悪い」

???「だから...」

???「現実世界に戻っても」

???「どうか自分を責めないでほしい」

零「.....」

今はただその人の言葉を信じるしかなく

僕はゆっくりと深呼吸をして

やがて落ち着きを取り戻した

???「あぁ、それでいい」

???「また、時期がくればこの力を君に返すとするよ」

???「本当にすまなかった」

そしてそいつは深々と頭を下げ

次の瞬間

パリンッ!!

その世界に亀裂が入り

その世界はパズルのようにバラバラに砕け散った

やがて...


零「!!」

僕は現実世界に戻ってきた

だんだんと意識も覚醒してき

その重たかった瞼を無理やりこじ開けると...

零「......は?」

零「なんで....」

零「なんでなんでなんでなんでなんで」

零「どうなってんだよ!!!」

僕が目を開けると

そこは...

焼け野原だった

さっきまでパーティ会場だったこの家は見るに堪えないものになっていた

火で焼き尽くされ壁も屋根もない

あるのは真っ黒に焦げた板材だけ

この街一帯が火で覆われており

家は全焼

あちらこちらから叫び声が聞こえる

そんな時...

零「!!」

僕は兄さんの姿を見つけた

零「兄さ...ん...」

僕は兄さんを呼ぼうとしたが

言葉が出なかった

なぜならば....

兄さんは血が付着したナイフを持っており

兄さんの視線の先には...

零「お父さん!お母さん!」

お父さんとお母さんが倒れていた

僕は思わず二人の元へ駆け寄り体を抱きしめた

その体はとうに冷え切っていて

触っただけでも死んでいるとわかった

零「....兄さんが....」

零「兄さんが...やったの?」

僕は震える声音で恐る恐る振り向き、そう尋ねた

司希「.......」

零「....やってないって....」

零「やってないって言ってよ!!!」

零「悪い能力者がこの街にきてめちゃくちゃにしていったって」

零「そう言ってよ!!!」

僕は兄さんに縋るようにそう言う

だが....

零「あっ———」

兄さんは首を横に振った

司希「俺がやった、それだけだ」

零「な...んで...」

零「なんでそんな事!!!」

零「分かってるの!?兄さんは人殺しになったんだよ!?」

零「お父さんとお母さんまで殺して...」

零「なんで....」

司希「なんで、か」

司希「しょうがないだろ」

司希「願ってしまったんだから」

零「願った....?」

司希「俺はこんな平和な街で暮らしている自分自身にずっと疑問を抱いてきた」

司希「俺のような最強能力者がこんな所で一生を終えていいのかとな」

司希「そんな思いが日に日に強くなっていった」

司希「そして....」

司希「今日、俺の強欲の力が俺を否定した」

司希「ここにいたくないと」

司希「能力者の学園に行きたいと願ってしまった」

司希「だからまず手始めに」

司希「足枷だったこの街を消す事にした」

司希「それだけだ」

零「......!!」

僕は気づけば兄さんの胸ぐらを掴み上げていた

零「たかがそんな理由で....」

零「そんな理由でお父さんとお母さんは死なないといけなかったのか!?」

兄さんは悪びれる事もなくただ首を縦に振った

零「ふざけるな....」

零「ふざけるな!!!」

僕の中の何かが壊れた

こいつを野放しにしちゃいけない

直感的にそう思った

僕は...

ここで発動できなきゃいつするんだよ...

頼むよ...

零「!!!」

そして...

僕の能力が覚醒する事はなかった

そんな僕をみた兄さんは...

零「あがっ!!」

僕を蹴り飛ばした

今世で初めて喰らう蹴りがこんなにも痛いものだとは思わなかった

腹部よりも胸の奥が痛んだ気がした

司希「....お前は俺に似なかったんだな」

司希「こんなカス遺伝子と暮らしてたら平和ボケもするわ」

兄さんは不気味に笑う

司希「俺は学園に行く」

司希「俺はあの学園で最強になる」

司希「神谷零、お前はもう....」

司希「俺の弟なんかじゃねーよ」

そう言って兄さんはどこかに歩いて去ってしまった

兄さんもこの火で怪我をしたのか右足を引きずりながら歩いていた

やがて兄さんの姿も見えなくなり...

僕はただ一人取り残された

不思議と涙は流れなかった

弟なんかじゃない

その言葉が僕の胸の中にストンと落ちてきて

何も考えられなかった

その時...

零「.....?」

お母さんが何かの袋を大事そうに抱えていた

まるで自分が犠牲になってもこれだけは守り抜くと言わんばかりに大事に抱えていた

兄さんに必死で全く気づかなかった...

僕はゆっくりとその袋を持ち上げ、袋の中を覗くと...

零「!!!!」

僕は目を見張った

その中に入っていたのは...

僕が欲しがっていたゲーム機とソフトが入っていた

袋の中に手紙らしきものも入っており

僕はそれを読む事にした


零へ

まずは7歳の誕生日おめでとう

まだまだ幼いけど、元気で優しい子に育ってくれて私達はとても嬉しいです

これからも元気で優しい子に育ってください

それだけで親としては嬉しいです

いつも口うるさいけれど、それは零を愛してるからって事を忘れないでほしいです

このゲーム機とソフトはお父さんと一緒にお金を出し合って買いました

これで司希と一緒にゲームをして遊んでください

あんた達は仲良いから心配してないけど、喧嘩なんてしちゃダメよ?

もし喧嘩しても話し合ってずっと仲良くする事!

これは親との約束です

改めて...

7歳の誕生日おめでとう、零!

父と母より


それを読み終えた僕は...

零「あぁ.....」

零「あああああああ!!!!」

僕はその場で泣き崩れた

さっきまで一滴も流れなかったのにも関わらず

不思議と涙が溢れた

泣き出したらもう止めることなんてできなかった

零「お父さん...」

零「お母さん...」

零「僕も...」

零「愛してるよ...!」

もうこの世にはいない両親に向けて

僕は精一杯の愛を叫ぶのだった


第五十二話 終了



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ