第四十五話 夜明けが希望とは限らない
迅「.....ん」
僕は目を覚ました
迅「あれ...僕何して....」
そして...
迅「っ!!」
全部...思い出した
迅「零君が山を真っ二つに切って僕は避けきれず...」
僕は自分の胸に手を当てると...
迅「っ!!」
バッジが...なかった
僕は自分の体にのしかかる瓦礫をどかし
辺りを見渡した
しかし、もう零君の姿はどこにもなく
残り1時間で僕は...
退学
その言葉が僕の脳裏に浮かんだ瞬間
迅「絶対に...いやだっ!!」
僕は森を駆け出していた
時間帯で言えば午前5時
もうすでに空は明かった
僕はそんな空の下を必死で走った
理由はただ一つ
退学したくない
その気持ちだけが僕を突き動かしていた
走って
走って
走って
走った結果出会ったのは...
司希「......」
この学園最強のプレデターだった
当たり前のようにその胸にはバッジをつけており
走り回ってようやく見つけた相手が司希という自分の運のなさを呪った
迅「ハハッ.....」
僕の口からは乾いた笑みしか出てこなかった
そんな僕を見た司希は...
司希「随分と落ちぶれたな、迅」
司希「なんで戦う前から戦意喪失してんだよ」
司希「そんなんだから...」
司希「バッジを奪われたんだろ」
司希「そのまま一生地に這いつくばって生きとけよ」
司希「<元プレデター>」
迅「っっ!!」
司希がそう言葉を放った時
僕は人生で初めて感じる感情が胸を渦巻いていた
あぁ...そうか...
これが怒りか
僕はゆっくりと立ち上がり
迅「やろうよ、司希」
僕はこの学園最強に初めて喧嘩を売るのだった
司希「.....」
迅「.....」
僕達はお互いに見つめ合っていた
心中では怒りを覚えながらも僕の行動は冷静だった
やがて司希が最初に動きはじめ
僕の腹部目掛けて拳を振り抜いてきた
僕は未来視でそこにくる事が分かっていたため
僕はそれを体を捻る事で楽々回避していた
.....
はずだった
迅「えっ———」
司希の拳は僕の腹部に深々と突き刺さっており
ドゴオオオオン!!!
そんな轟音をたて俺は数十メートル吹っ飛び
迅「がっ!!」
木にぶつかり動きを止めた
迅「な...んで...」
僕は独り言を呟いたはずだった
しかし司希は数十メートルの距離を一瞬にして詰めており
僕の独り言に反応を返してきた
司希「なんで、か」
司希「お前もよく分かってるんじゃないか?」
司希「いや違うか...」
司希「分かっているから俺と会った時絶望した」
迅「......」
その通りだった
確かに司希が学園最強である
それは揺るがない事実だ
しかしそれ以上に僕は司希と戦いたくなかった理由があった
司希「プレデターは長年一緒に任務をこなしてきた」
司希「故に大体お互いの能力に察しがついている」
司希「そして、お前は未来を見る能力」
司希「それに対して俺は...」
司希「<もしもを叶える能力>」
司希「お前は起こりうる未来を見ているだけ」
司希「だから...」
司希「願いで未来を改変する俺には絶対勝てないんだよ」
次の瞬間
司希「もしも、この蹴りが当たったら」
司希はそう呟いた
僕は未来をみて回避をした
しかし....
迅「がっ!!!」
その蹴りは僕に突き刺さっていた
司希「お前が未来を見るなら俺はその未来を捻じ曲げる」
司希は僕を見下ろしながらそう宣言してきた
迅「はぁ....はぁ...はぁ...」
僕の体はすでにボロボロだった
あぁ...そうだ
だから僕は戦う前から諦めていたんだ
絶望したんだ
僕の能力と司希の能力は相性最悪
最初から勝てるわけがなかった
迅「....それでも..」
司希「あ?」
迅「それでも僕は退学をするわけにはいかなんだよっ!!」
僕はその時初めて自分から攻撃をした
地をけり、拳を固め、司希目掛けて一直線にその拳を振り下ろした
そして
そして
そして
迅「......」
僕は敗北を喫した
僕の攻撃は簡単に避けられそのまま反撃を喰らい僕は意識を落とした
辺りを見渡すが近くにもう司希はいなかった
体もボロボロでもう戦闘する体力も気力も残っていなかった
そんな時....
ボッーー!!!
そんな...船の汽笛が聞こえてきた
その音は試験終了を伝える合図と同時に
僕の退学が決まった瞬間でもあった
迅「あぁっ....」
僕は涙を堪え
船が来た方向へ向かうのだった
ボッーー!!
汽笛の合図が聞こえてき
零「ん....」
俺は重い腰を上げた
俺は迅からバッジを奪った後森に身を隠し朝を待った
そしてついに試験終了の合図が聞こえ...
零「俺が...」
零「プレデターなんだ...」
いまだに実感が湧かなかったがプレデターになったという事実を僕の胸のバッジが証明していた
俺はふらふらとした足取りで船の元へ向かった
零「あっ——」
ずっと森の中にいたから分からなかったが空は随分と青さを取り戻していた
俺は眩しさからか少し目を細め
だんだん慣れてきたため砂浜に目を向けると
そこには俺と死んだ魔王以外の全員が揃っていた
俺はゆっくりとそちらに歩みを進めた
やがて学園長が俺の存在に気づき
学園長「生きてたか」
そう声をかけてきた
零「えぇ、なんとか」
学園長「蓮を知らないか?」
学園長「他の連中は見てないと言うんだが...」
零「......」
俺は少し悩んだが
事実だけを伝える事にした
零「蓮さんは俺が殺してバッジを奪いました」
学園長は少し驚きの表情を浮かべたがいつもの不気味な笑顔をすぐに顔に貼り付け
学園長「そうか...」
学園長「なら、これで試験者は全員揃ったて事でいいのか」
零「えぇ、そういう事になりますね」
学園長「そうか」
学園長「ならば...」
学園長「早速結果発表といこうじゃないか」
学園長は一人一人の胸部分を確認し
合格者の名前を呼び上げた
学園長「合格者は...」
学園長「神谷司希、水瀬美月、桜庭紫苑、一ノ瀬凛
、雨宮湊、神谷零」
学園長「そして最後」
学園長「月城悠!」
零「!!」
あぁ...悠もバッジ奪えたんだ
約束....ちゃんと果たせたな
俺は悠と目を合わせ一緒に笑った
学園長「今呼んだ者を新プレデターとする!!」
学園長「そして...」
学園長「呼ばれなかった九条伊織、相馬迅を...」
学園長「退学処分とする」
学園長がそう言葉を発した
次の瞬間
バンッ!!
そんな発砲音が島に響き渡った
零「えっ———」
僕が発砲音が鳴り響いた方へゆっくりと顔を向けると...
零「あ....」
零「ああぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
後頭部を銃弾で貫かれ
血をドバドバと流しながら砂浜に倒れる伊織さんと迅の姿があるのだった
第四十五話 終了




