第四話 捕食者と無能力者
その日の放課後
僕が寮に帰ろうとしていると....
男子生徒「お前なんであんな奴とつるんでるだよ?」
校舎裏からそんな声が聞こえてきた
いじめ、か
別に今更それほどおどろかない
この学園は弱肉強食
親の顔よりみた光景だ
僕は足を止めずに寮へ直行しようとした
しかし...
???「別に俺がつるみたいからつるむ」
???「それじゃダメなのか?」
僕はそのいじめられている奴の声を聞き
ピタリと足を止めた
なぜならば...
零「....悠....」
校舎裏から聞こえてきたのは月城悠の声だったからだ
つまりこのいじめの原因は...
零「僕、か」
無能力者の僕とつるんでいる悠をよく思わなかったのだろう
僕がそんな事を考えていると...
男子生徒「あ?てめえ何舐めた口聞いてんだよ」
男子生徒のそんな言葉と共に大きな打撃音が響き渡った
僕はどうすればいいのか分からなかった
助けに行くのか?
僕が助けに行ったらややこしくなるのは確実
それに声を聞く感じ複数人
僕のこの力は....
僕がそんな葛藤をしている間にも悠は殴られ続けていて...
悠「.......」
俺はただひたすらに殴られていた
ただ不思議と...
痛みは微塵も感じなかった
省エネの能力が痛みまでも省エネしてくれてるのだろうか?
たがしかしこの能力は攻撃手段を一切持たない
そのため俺は反撃を繰り出す事はできない
ただひたすらにこいつらが飽きるまで殴られるしかないのだ
しかしそんな時...
男子生徒「チッ!」
男子生徒「てめえなんで一切効いてねんだよ!!」
男子生徒「面白くねぇ」
男子生徒「なら....」
痺れを切らした男子生徒は掌を天に向かって突き上げ
その掌から炎を放出させた
男子生徒「この炎でお前を焼き切ってやるよ!!」
俺は流石に身の危険を感じていた
しかしそんな俺の考えとは裏腹に俺の体は全く動かなかった
ただ炎が自分に当たるのを待つしかできる事はなく
男子生徒が掌を俺に向けようとした
その時....
男子生徒「うっ!!」
炎を出していた男子生徒が腹部を抑えてその場でうずくまった
俺は驚き腹部を見た所...
何か刃物で切られたかのような切り傷があった
???「あーあやっぱこの状態じゃ傷をつける程度しかできないか」
隣からそんな声が聞こえてきた
俺は声が聞こえてきた方向に視線を向けると...
白く輝く剣を握りしめた零がいた
悠「な...んで...」
俺の口から出たのは疑問だった
しかし零は俺のそんな疑問に何も返さず
零「4人か...」
零「厳しいか?」
そんな独り言を呟き
そのいじめっ子グループに剣を突き立て
一人一人切りつけていった
しかし剣に殺傷能力はないのか
体は切れるが、死ぬ事はなかった
そのためいじめっ子グループ達も負けじと能力を発動し
零もボロボロだった
零は剣を振い、いじめっ子グループは能力を使った
そして
そして
そして....
最後に立っていたのは...
零だった
満身創痍になりながらもその気絶して地面に倒れているいじめっ子を見下ろす彼は
無能力者であるという事を一瞬忘れてしまう程に強かった
俺はそんな彼に...
悠「零...?」
そう言葉を投げかけた
零はこちらに向き直り
何か口を開こうとした
その時
???「動くな」
校舎側からそんな声が響き渡った
僕はそちらに視線を向けた
そこにはある男子生徒が一人立っていた
その男子生徒を知らない人はこの学園にいないだろうというぐらい有名な男だった
男「プレデターだ」
プレデターとはこの学園トップの実力者が七人集まった特別クラス
しかし同時に生徒間の揉め事、違反行為の処理を任されている執行者でもある
いわばクラスであり生徒会
それがこのプレデターという組織だった
そしてこの男はそのプレデターの中でもNo. 1の実力を誇る
すなわちこの実力主義の学園の一番の実力者
この学園創設以来初めての異例の存在...
異例のランク
唯一の<sssランク>
それがこの男だった
男「これはお前がやったのか?」
そんな男にそう問いかけられた僕は..
零「....あぁ」
否定せず、答えた
男「そうか....」
男「分かっていると思うがこの学園で試験意外で相手に危害を加わるのは御法度」
男「殺すのは明確にダメだと記載されているが」
男「不用意に傷つけるのはNG」
男「それがこの学園の暗黙のルールだ」
男「それは理解しているな?」
零「僕はただ喧嘩を売られたから買っただけですよ」
零「僕からはやってません」
男「それを証明できるものは?」
零「.....」
男「お前は今俺の目からは入れ替わり試験の前に戦力を落とすためにやったとしか思えない」
男「お前の身柄は学園長に引き渡す」
男「処罰は学園長に任せる」
男「ついてこい」
僕は何も抵抗せずにその男について行った
僕はその男にある質問をした
零「一ついいですか?」
男「なんだ?」
零「名前ってなんて言うんですか?」
男「.......」
男は数秒黙り込んで...
男「司希だ」
あぁ....やっぱそうだよな
零「苗字は?」
司希「......」
司希「神谷、だ」
神谷司希....
零「僕の目は間違ってなかった」
零「何も変わってなくて安心したよ」
零「久しぶりだね」
零「ねぇ」
零「<兄さん>?」
僕はかつて同じ家に住み同じ食事をとった兄にそう告げた
しかし...
司希「........」
司希「誰だお前?」
司希「俺に弟なんていない」
司希「妄想話も大概にしろ」
実の兄にそれを否定された
零「.......」
零「あぁ、そうかよ」
零「お前は僕達家族を捨てて出て行っただけでなく、血縁関係すら捨てようとしてるのかよ....」
司希「.......」
司希「俺達が血が繋がってる?」
司希「この学園最強の俺とこの学園最弱のお前がか?」
司希「それ以上ふざけた事言うなら....」
司希「その口塞がねえとな」
兄さんがそう言葉を発した
次の瞬間...
兄さんの手にはナイフが握られていた
兄さんはそのナイフを軽く薙いだ
そうただ薙いだだけだ
僕に攻撃はしていなかった
それなのに...
ザシュッ!!
零「......え?」
僕の体から血が四散していた
司希「外すわけないだろ?」
司希「さて、ご同行願おうか」
零「くっ!」
僕は意識が飛びそうなのをなんとか耐え、体制を立て直してから反撃に転じた
剣を握りしめ、兄さんに一直線
そして....
ザシュッ!!
当たった
剣は確実に兄さんの腹部を貫いていた
しかし....
僕が瞬きをして、次に目を開けたその時...
零「あがっ...」
僕の口から血液がこぼれ落ちた
零「な...んで...」
先程まで僕が持っていたはずの剣を何故か兄さんが持っていた
つまり先程とは立場が逆転しているという事を表していて
自分の腹部に視線を向けると...
深々と剣が突き刺さっていた
僕は段々と意識が遠のき...
司希「俺が負ける未来は存在しない」
兄さんのそんな言葉と共に僕の意識は闇に落ちるのだった
第四話 終了




