第三十話 もしも願いが届くなら
高校生活も慣れてきたのでこれからは月〜土曜日毎日投稿日曜日お休みという形に変更します!
これからも「前世勇者の俺が転生した結果!?」をどうぞよろしくお願いします!
司希「......」
零「.......」
僕達は中央で向かい合っていた
学園長「あぁ、では始めるとしようか」
学園長「実技授業....」
学園長「はじめ!」
学園長がそう言うと...
零「.....え?」
僕が瞬きをしたその一瞬のうちに
僕の視界はだんだんと兄さんから遠のき
零「あがっ!」
僕は遅れて蹴られたのだと理解した
零「うっ....」
僕は地面にうずくまり
兄さんはゆっくりとこちらに歩み寄った
そして冷徹な目でこちらを見下し
僕の耳元まで口を寄せ
司希「あれ、使えよ」
司希「使わねえと戦いにすらならねえぞ?」
零「っ!」
そう、この神谷司希はこの世界で僕の秘密を知っている数少ない人間だ
父
母
そして...
この神谷司希
この3人だけ
零「......」
いや...もう知っているのは
一人だけ、か
司希「...お前が使わないなら戦闘不能にまで追い込むだけだが?」
零「使えないんだよ....」
司希「あ?」
零「あれを人前で使える訳ないだろ...」
司希「....そうか」
司希「なら...お前は俺には勝てねーよ」
司希「まぁ....」
兄さんはそのナイフを振り上げ
司希「使ったとしても、勝てないがな」
そう言ってナイフが投げられた
そのナイフは僕からは大きく外れており
零「はっ!どこ狙って!」
次の瞬間...
ザシュッ!
零「.....え?」
そのナイフは急激に軌道を変え
速度を急上昇させ僕の足を貫いた
その足からは血がとめどなく溢れ
僕は立つ事すらままならなかった
零「ここはもうダメ、だな」
僕がそう呟くと...
キィィィィン!!!
世界が真っ白に染め上げられた
司希「....どこだ?ここ」
兄さんは周りをキョロキョロと見渡し
やがて俺を見つけた
零「やぁ、ここで会うのは初めましてだったね」
司希「さっきまで俺ら闘技場にいただろ」
司希「どこだって聞いてんだよ」
零「....そんなのどうだってよくない?」
零「一つ言える事があるなら...」
零「ここでなら俺は最強だって事だ」
司希「はっ!勇者の剣を握ると一人称が変わる癖は健在のようだな」
零「.....」
俺はその手に力を込めると
粒子が集まりそれは顕現した
零「これで終わりだよ兄さん」
司希「.....」
兄さんは首を傾げ
司希「何言ってんだよ、お前」
心底おかしそうに笑い始めた
零「何がおかしい」
司希「なんでお前のエリアで戦うと思われてんだ?」
司希「ここはお前が本気を出せるエリアなのだとしたら...」
司希「壊すに決まってるだろ」
司希「もしも....」
司希「俺達がまだ闘技場で戦っていたら!」
兄さんは高らかにそう宣言した
しかし....
司希「あ....?」
いくら待とうが兄さんの能力が発動する事はなかった
零「もういい?」
俺は自分の掌を見つめる兄さんにそう尋ねた
司希「....そういう世界なのか?」
零「....何が」
司希「能力を発動した感覚がない」
司希「なんなら...」
司希「能力が体に宿っている感覚がない」
司希「ここはそういう世界なのか?」
零「なんだよ...それ...」
その初めての経験に俺が1番困惑していた
この世界はあくまで前世の力を100パー扱えるというだけの世界
能力を封じるだなんて効果はない
司希「その反応から察するにお前も知らなかったみたいだな」
零「あぁ...」
司希「はっ!」
兄さんは俺の言葉を鼻で笑い飛ばした
司希「お前、自分の力すら理解してねえのかよ」
零「っ!」
僕はその言葉に苛立ちを覚え
零「自分の状況分かってないのか?」
零「能力が使えないそれすなわち...」
零「無能力者vs勇者って事だぞ?」
司希「...学園唯一の無能力者が何言ってんだよ」
零「御託はいい」
零「とっとと終わらせる」
俺はその瞬間四肢に力をこめ
兄さんとの距離を詰めた
そして剣を一振り
普通の人間なら確実に重症を負うような攻撃
そう、普通の人間なら
司希「....ただ剣を振るってるだけだろ?」
司希「時代は変わったんだよ」
兄さんはその圧倒的なまでの身体能力で僕の攻撃を軽々と避けていた
司希「俺は伊織のあの言葉に共感した」
零「....あの言葉?」
司希「能力も確かにいいが...」
司希「最後に信じられるのは自分の力だってな」
司希「俺はお前なんかに負けねえよ」
零「くっ!」
俺は二発目、三発目と兄さんに攻撃を放った
しかし、一撃たりとも当たることはなかった
零「避け続けてたって勝てないぞ?」
司希「能力には制限や代償がある」
司希「こんなでかい力なんの制限もなしに発動できる訳ない」
司希「例えば...」
司希「時間、とかな?」
零「っっ!!」
司希「俺はその時まで待つだけだ」
零「......」
兄さんの言う通りだった
時間にして残り5秒程度だろうか
俺はその時間しかこの世界を作れない
どうすればいい...
どうすればいい...
しかし残り5秒でそんな事を考えられるはずもなく...
零「く..くそがっ!!」
俺は闇雲に兄さんに突っ込み
残り4秒
零「っっ!!」
残り3秒
零「まだっ!!」
僕はただ乱雑に剣を振るった
それでもこの男に一撃も当てる事はできなかった
.....勝てる気がしなかった
頼むよ...
初めてだった
神頼みをしたのは
あんなにこの勇者の力をこの身に宿した神を恨んでいたのに
こんな時だけ俺は頼るしかなかった
一撃でいい...
その一撃さえ届けばいい....
もしも一撃が届いたら
そんなもしもを叶えてくれるよう俺は必死に願った
すると...
零「あ...?」
俺は違和感を感じた
なんだ...?この違和感
残り2秒
ここを右に剣を振り下ろす
そしたら....
零「っ!!」
未来が...見えてるんだ
次に兄さんは...
零「あぁ...そこだよな!」
兄さんは後方へ大きく飛び上がり俺の剣を回避していた
しかし、そこに来ることが読めていた俺は...
司希「.....は?」
初めてだった
兄さんの表情が崩れたのは
そして....
ザシュッ!!!
第三十話 終了




