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第二十三話 勇者だった頃の自分

僕は寮に帰り

そのままベッドに寝転んだ

零「......」

いまだに納得ができていなかった

あの現象に

零「全くなんだってんだよ....」

僕がそんな事を呟いた時...

零「あ?」

僕は気づけば白い空間にいた

そしてそこには...

???「よお」

僕がいた

僕と全く同じ顔同じ声

違う所といえば腰に剣を携えているという点だろうか

零「誰だ?お前」

そいつは僕の目を見つめ

???「どっからどう見てもお前だろ」

零「何言ってんだよ」

零「僕はここにいる」

零「お前は誰だって聞いてるんだ」

そいつは頭を掻き

???「だからお前だって言ってんのに...」

???「まー正確に言えば」

???「勇者だった頃のお前の人格だな」

???「ま、勇者とでも呼んでくれ」

零「っっ!!」

僕は気づけばそいつに近づき拳を放っていた

しかし...

勇者「勝てるわけないだろ」

僕は逆に腹部に強烈な一撃を叩き込まれ

勇者は倒れている僕に剣先を向けてきた

勇者「勘違いするな」

勇者「お前は俺の力を扱いきれていない」

勇者「そんなお前が俺に勝てるわけないだろ」

零「......」

零「何が目的だ」

僕は勇者を睨みながらそう言った

勇者「さあな」

勇者「ただ....」

勇者「俺はお前だ」

勇者「何もする気なんてない」

勇者「ただ、少し話し合いをしようと思ってな」

零「話?」

勇者「あぁ」

勇者「月城悠」

零「っ!」

勇者「あいつおもしれえな」

零「....何が」

勇者「あいつ、俺の剣に触れたぞ」

勇者は自分の腰の剣を見つめ

勇者「これは勇者しか持つ事を許されない剣」

勇者「あいつはそれを平然と使いやがった」

零「っっ!」

零「ふざっけんじゃねえ!」

零「お前も俺なら分かるだろ!?」

零「あれはぽっとでのやつが使っていい代物じゃない!!」

零「俺達の苦労、孤独感、責任、苦い記憶」

零「あいつはそれを何も知らないで剣を振るった」

零「いいわけないだろ!?」

勇者「.....」

勇者「あぁ、そうだな」

勇者「俺達は生まれながらにしてその人生を決められた」

勇者「モンスターを倒し寝てはモンスターを倒す」

勇者「ただその力を持って生まれただけなのに」

勇者「確かにそれを月城悠はしらないだろうな」

零「あぁ!やっぱお前なら分かってくれると!」

勇者「ただ....」

勇者「知ってる必要ってあるのか?」

零「....は?」

勇者「あいつはただ願っただけだ」

勇者「最強の剣が欲しいと」

勇者「それでこの剣が顕現されただけで資格だのなんだのってのは....」

勇者「少しおかしな話じゃないか?」

零「じゃあなんで...」

零「なんであの剣が使えるんだよ!」

零「あれは勇者にしか扱えないはずだろ!?」

白い空間に僕の叫び声だけが響く

静寂

勇者は少し目を細め

勇者「使えてねーから消えたんだろ」

零「.....え?」

勇者「あの剣は勇者しか扱えない」

勇者「それが勇者の能力だからな」

勇者「肉体があの強大な力に耐えれるわけねえ」

勇者「なのにあいつは一度だけとはいえ触れられた」

勇者「だからおもしれぇ」

零「.....」

勇者「ま....」

勇者「1番イカれてんのは...お前だけどな」

零「.....何がだよ」

勇者は嘲笑うかのように笑い

勇者「普通の奴は人格なんて残んねーよ」

零「....どういう意味だよ」

勇者「さあ?」

勇者「それくらい自分で考えたらどうだ?」

その時、勇者は上を見上げた

勇者「行けよ」

零「....どこに」

勇者「なんでもかんでも聞きやがって」

勇者「俺は教師じゃねーぞ?」

勇者「まぁ...そうだな...」

勇者「目覚めた時、お前の直感に従え」

勇者「それがお前の行くべき場所だ」

その瞬間

パリンッと世界が崩壊を始めた

そして....

僕は目を覚ました

なぜだか僕は..

零「屋上...」

そう呟いた

僕はその直感に従い屋上に向かった

屋上への階段を登っていると...

???「剣よ...出てこい!」

そんな声が聞こえてきた

僕は屋上の扉に手をかけ開けた

ビューと夜風が吹き抜けた

奥に目をやると...

悠「.....あ」

そこにはなぜか悠がいた

零「....何してんの?」

悠は気まずそうに目を逸らし

悠「アハハ....能力の練習?みたいな....」

零「はぁ....」

僕は悠へと歩を進めて

零「何かコツは掴めたのか?」

悠「それが全くなんだよねー」

悠「剣を願っても出ないし」

零「.....そうか」

悠「今日はもう疲れたしやめにしようかなー」

零「もう夜だしな」

悠「あぁ、疲れたー」

そう言って悠は屋上の扉へ体を向けた

悠「疲れてる時はここから寮に戻るのですらめんどくさいよねー」

悠がそんな事を言った

その瞬間....

零「.....え?」

悠が隣から姿を消した

辺りを見回すと

屋上の扉の前に悠がいた

悠は夜空を見上げ

悠「そっか....」

悠「これが...」

悠「俺の能力なんだ——」


第二十三話 終了

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